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あるく

しばらくして、校内は「誰がベルゲルを殺したか?」という話題で持ちきりであった。


面白可笑しく自分勝手な想像を話す生徒を私は複雑な気分で見つめていた。

「マレウスさんですね。」

声は私のすぐ近くから聞こえた。

「単刀直入に聴きますが、あなたはベルゲルとすれ違ったさい、彼は確かに『殺してやる』と言っていたんですね?」

「あ、ああ。確かにそう言ってた。」

私の返答を聞くなり顎に手をあて瞑目するセイレン。


セイレン・イルク・ドミナス

学院始まって以来の鬼才。

その知識は殆どの教授を上回り、歴代の天才が頭を抱えた難問をいともあっさりと解答してしまう。

華奢な体に宿した鮮烈な存在感と怜悧な意思は、ドラゴンの如し。


「大変参考になりました。」

ぼーっとしている私にそう言うと彼は踵を返した。

「ま、待ってくれ!」

「なんです?ご存知の通り忙しいのですが?」

思わず声を掛けてしまった。

氷のような眼光に怯むが口は勝手に動いていた。

「君の捜査に同行させてくれないか?」

「理由が見当たりません。あなたと同行して、私にメリットがありますか?」

「…ない。だが気になるんだ」

「気になる?それは何がですが?彼が死んだ理由?死因?」

「この一連の出来事にまつわる事全部が」

自分でも驚くほどに訳がわからないか事を口走る。

セイレンは値踏みするような視線を私に向けたが、すぐに歩き出した。


ダメか。

思いのほか落胆してしまう。

確かに私のような凡才、彼のような天才にしてみれば足手まといにしかならないだろう。


「来ないのですか?」

少し先から、そう聞かれた。

一瞬意味が分からなかった私だが、すぐにセイレンの後を追った。


「良いのかい?」

「連れて行く理由もありませんが、拒否する理由もありません。」

淡々と答えるセイレンを私は不思議な感情を持って見つめた。

「何ですか?」

「え。あ、いや…どこに向かっているんだい?」

「容疑者の所へ」


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