おわる
《キュイ?》
えらく気の抜けた声のあと足元に心地よいくすぐったさを覚えた。
まだチカチカする視界で見下ろすと、何だ丸くてちっこいのがいた。
《キキュイ?》
「げぇ!アルフリザード…!」
私の足に体を密着させているのは絶滅危惧種のドラゴンだ。
「なるほど。確かにこいつは高く売れるな。」
力なく呻くゴットンに保安官は手錠をかけた。
かくして、レトール王立学院で起こった不可思議な「死亡事故」は幕を閉じた。
細かい動機や、経緯などはもう一介の学生が関与するべき事では無い。
なぜセイレンはベルゲルの死を事故と見破ったのか?
なぜセイレンはゴットンの密輸を看破できたのか?
知りたいこと、知らなくてはならないこと。
諸々あるが、今解っているのは1つだけ。
私の魔道式か、それとも召喚という行為自体かは分からないが「召喚魔法」は恐ろしいまでに体力を使った。
貧血に近い症状で眩暈を感じた私はセイレンの肩を借りようとしたのだが、物凄い勢いで手を払われそのまま倒れてしまった。
セイレンが薄情な人間だという再認識ができた。
あとで、こんな男に少しでも気を許した自分を責めよう。
…ぁあ。クラクラする。
これは本格的に気絶するな。
いろんな人間が心配そうに声をかけてくる。
意識が朦朧とするから、あまり聴こえないが…
そうだ。
今、もの凄く気になった事を聞いておかなければ…!
セイレンの肩に手を回した時、何か柔らかいモノに手が触れた。
華奢で小柄だとは思っていたが、セイレン。
もしかして君は……
雑になりますが、この話はこれで完となります。
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