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夢想劇  作者:
2/4

第1話【全てが終わる日始まる日Ⅰ】

SIDE[W]


とある教会、



孤児院を併設しているこの場所で、太陽が照りつける中、子供たちが元気に遊んでいる。



そのなかに1人の少女、


子供たちの保護者的立場なのか、孤児院の広場全体を見渡せる位置に椅子を置いて本を読んでいる。



緑色の長い髪、整った顔つき、スラッと背の高いスタイルのいい身体、


「美少女」と言っても過言ではない容姿である。



しかし、表情は寂しげであった。



「クレアお姉ちゃん、どうしたの?」



1人の女の子がその少女に話しかける。



「えっ?」



完全に不意をつかれ、少女は少し驚く。



「クレアお姉ちゃん、いつも元気なのに今日はどうしたの?

神父様もいつもは遊んでくれるのに、今日はお祈りしてばっかりだし。」




女の子が泣きそうな声で聞いてきたので、少女は女の子の頭を撫でながらそれに答える。




「今日は、1つの魂が神様のもとへ向かうの。

だから神父はお祈りしてるんだよ。」




「ふーん、そうなんだ。」




よく解らなかったのか、女の子はまた遊びの輪のなかへ戻っていった。







雲ひとつなかった青空が、淀み始める。










城下町



市場が並んでいるここでは常に多くの人でにぎわっている。




今日はあるイベントが行われるため、いつもより多くの人がいる。




「あら、ルクルーシャちゃん。久しぶりねぇ。」

市場での買い物帰りの主婦たちが、店番してる少女に声をかける。



ルクルーシャと呼ばれた少女はとても小柄な身体で、子供と言われてもおかしくない姿だった。




しかし短い白髪と氷のような表情がそれを否定する。



「こんにちは」



ルクルーシャは静かな声で、表情を全く変えず機械のように会釈をする。




「御両親が亡くなってから毎日仕事頑張ってるわね。

困ったことがあったらいつでも言ってね。」



主婦たちはそう言って彼女の前から去っていった。




ルクルーシャの耳に、主婦らの小さな話し合いがはいってくる。



「ルクルーシャちゃん、昔はかわいい子だったのに・・・。」


「やっぱり、両親をあの悪魔に殺されたから・・・・・。」



「でももう大丈夫よ。あの悪魔は今日で死ぬんですから・・・。」










空に淀み始めた雲は、照りつけていた太陽を覆い尽くす。

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