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第8章 次の標的

未来創生党の控室は、重苦しい沈黙に包まれていた。弁護士から「次の逮捕がある」と告げられた翌日、誰もが口には出さないまま、その言葉の意味を反芻していた。


「……次は誰なんだ」


若手の1人がぽつりと呟いた。すぐに別の議員が顔をしかめる。


「やめろ、名前を出すな。根拠もないのに口にすれば、それが現実になる」


しかし噂は止まらない。


「地方遊説の回数が多かった議員は危ない」

「SNSを積極的に更新していた連中が狙われる」

「秘書給与の処理がずさんだったところから来る」


結党メンバーの1人が机を拳で叩いた。


「どれも普通のことだ! 俺たちがやってきたのは、どの党でも同じ日常の活動だろう!」


だが、その声にすら誰も反論できなかった。検察がどんな論理を積み上げてくるのか、もはや彼らには見当もつかない。やがて幹事長が低い声で言った。


「……いずれにせよ、われわれは狙われている。誰が次に連れていかれるかは問題じゃない。党として、どう受け止め、どう抗うかだ」


その言葉にも、返す声はなかった。会議室の時計だけが、重く秒を刻んでいた。

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