第5章 反響
小山田と秘書が逮捕された報が駆け巡った翌朝、永田町は騒然となった。記者クラブのテレビには「運動員買収で未来創生党の議員逮捕」「新興勢力に激震」のテロップが並び、ワイドショーも一斉に特集を組んだ。
与党・自由保守党の幹事長は、淡々とした口調でコメントした。
「法の厳正な適用がなされたに過ぎません。政治に対する信頼を回復するため、粛々と受け止めるべきでしょう」
公正党も立憲、国民協和、社会市民も、いずれも「捜査の行方を見守る」とだけ述べ、批判も擁護も避けた。沈黙の壁が厚く築かれる。かの会合を途中退席した4党はノーコメント。
街頭インタビューでは「やっぱり新しい党は怪しいと思っていた」「検察が動いたなら間違いないだろう」といった声が編集され、ニュース番組に流れる。SNSでは「連座制で全員アウトか」「また政治とカネか」といった言葉が拡散し、未来創生党の支持者の反発の投稿は埋もれていった。
国会の廊下で、未来創生党の残された議員たちは記者に取り囲まれる。
「給与支払いも国政報告も当たり前の活動だ。なぜそれが犯罪になるのか、私たちも理解できない」
そう繰り返すしかなかった。だが、メディアの論調はすでに「疑惑の党」を決定的に描き出しつつあった。