第三十二話 湊斗の目的
【お詫び】今回の話ですが、間違えて前話を投稿するタイミングで投稿しており、4時間ほどそれに気付かなかったという愚行をしてしまいました。ですので今回のお話を既にお読みになった方がいらっしゃるかと思います。そういった方は大変お手数ですが、修正済みの前話より読んでいただけると幸いです。
「なんだあの野郎!!」
「さっきから卑怯すぎんだろぉ!!」
「ちゃんと戦えこの野郎!!」
先ほど同様、俺のIQ10000の作戦に不良たちからブーイングが飛んでくるが気にしない。
このチャンスを逃さねぇ!! ここでダメージを稼ぐ!!
不自由になった視界、金的によるダメージ。俺は畳み掛けるように殴る蹴るの攻撃を続けた。
「……」
「なっ!?」
だがそれも数秒間のこと。
俺が繰り出したパンチを創は目を瞑ったまま手で受けた止めた。
ギリリリリリリィ……!!
腕、動かねぇ!?
その場から距離を取ろうと試みるが、創が俺の手を握りしめていてビクともしない。
そして奴はゆっくりと目を開け、赤くなった目で俺を睨み付けると、
バコォォォン!!
「ぐほぉあっ……!?」
俺の腹に凄まじい一撃を放った。
威力のままに後方へと俺は吹っ飛ばされる。
「流石に驚いた。けど、慣れた。この数秒で、微妙な空気の変化でお前の動きは手に取るように分かるようになった。一応感謝しとくよ。お前のおかげで、俺はまた強くなった」
『うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!』
「さっすが創さんだぜぇ!!」
「小細工なんざ通用しねぇ!!」
「そのままぶっ殺しちゃってくださぁい!」
ペッと口から血を吐き出しながら言う創に、手下の不良たちは歓声を上げる。
「クソがぁ……!!」
この土壇場で強化イベントとか主人公か、ざけんじゃねぇ……!!
「ぅあ……!」
や、ヤッベェ。モロ入った……!!
俺は腹を押さえながら、呼吸を整えるようにゆっくりと立ち上がる。
「さぁ、続けようか。と言っても、もう終わりそうだけど」
「はっ、ほざけよ!! まだまだ勝負はこっからだろぉ!!」
「減らず口を……っ!?」
その時だった。こっちに向かって来ようとした創が、足をよろめかせる。
「はは、良かったぜ。俺の攻撃、ちゃんと効いてるみたいでよぉ」
「……」
煽るように笑う俺を、創は睨み付けてくる。
「……関係ない。俺がどんな状態だろうと、お前の敗北は揺るがない」
「どーだかなぁ……?」
言い合いながら、俺と創は互いに歩き出す。
そして、俺たちは互いの攻撃の間合いに入った。
「もう逃げなくていいのか?」
「そんだけ弱ってんだったら、逃げる必要ねぇだろ?」
「……そうか」
——……。
「ふんっ!!」
「っ!?」
瞬間的に放たれた創の右ストレートを、俺はすんでの所で避ける。
そこから続けざまに繰り出される攻撃を、なんとか防御し、なんとか避ける。これを繰り返した。
「うおらぁっ!!」
「ぐっ!?」
一方的にやられてばっかりなワケにはいかない。俺も攻撃に転じてさらに創にダメージを蓄積させる。
腹にヤベェのくらったが、それでもまだ俺が有利!! このまま一気に畳みかける!!
「図に、乗るなぁぁぁぁぁ!!」
「うぉっ!?」
だが創は叫びながら一気に攻撃の手数を増やした。そして、その威力は増し続ける。
俺は再び防御と回避を余儀なくされた。
「ちょ!? てめぇ!! どっからそんな力出んだよ!?」
「千聖ちゃんを思う心!! それが俺に無限の力をくれる!! お前みたいな何の志も無い空っぽのチンピラ風情に、負けるワケがないだろ!!」
「っ!?」
マズイ!! 反応が遅れた……!!
「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!」
俺の隙を、創は見逃さなかった。その瞬間、奴は一気に俺に攻撃を叩き込んだ。
「があぁぁぁぁぁぁぁ!!??」
上半身全体に打ち込まれる創の拳。
防御も回避も間に合わなかった俺は、それらすべてを一身に受けた。
「トド、メだぁ!!」
「ぁっ……」
最後といわんばかりに放たれた創の回し蹴り。
それは見事に俺の頭に直撃した。
「がぁっ……」
勢いに乗せて吹っ飛ばされた俺は、再び地面を転がった。
「……」
や、やっべぇ……。力が、入らねぇ。
つか、意識も……。
「はぁ、はぁ、はぁ……。これで、俺の勝ちだ」
「ぐぁ……」
そう言いながら、創は俺の首を掴んで俺を持ち上げる。
「宣言通りだ。お前に痛みを与え続け、後悔と恐怖を完全に刻み込む。二度と、千聖ちゃんに近づかないように」
はは、徹底……してんなぁ。
そんな風に思った時だった。
『おい俺!! こんなトコで潰れんじゃねぇぞ!!』
『僕!! しっかり意識を保って!!』
俺の中の悪魔と天使が必死にそう呼び掛けてくる。
『俺たちの目的を思い出せ!!』
『そうです!! 僕たちがついています!! 気を張ってください!!』
この前は対立していた二人だが、今回は一致団結して、俺にエールを送ってくる。
そう今回に限っては、俺たちの思いは一つだ!!
「うらぁ!!」
「っ!? 小細工を!!」
創の腕に全身で巻きつき、そのまま関節技をキメようとした俺。
だが手遅れになる前にそれを察知した創は勢いよく腕を振って、俺を振り払う。
空中でなんとかバランスを取った俺は、そのまま両足で着地することに成功した。
「まだそれだけの力が残っていたか。しぶといヤツだ……!!」
「あいにくこっちにも譲れねぇモンがあるんでなぁ!! 覚悟なんざとっくに決めたんだよぉ!!」
「いくら覚悟を決めようが、お前のやってることは無謀に過ぎない。もう分かっただろ。お前がどれだけ卑怯な手を尽くそうが、俺はその尽くを凌駕する」
「だとしても、だとしても……俺は、諦めねぇ!!」
「なんでだ。そこまでの痛みを耐えて……お前の目的は、なんだ……!?」
「あぁ……? ンなの、決まってんだろ……!!」
俺はそして息を大きく吸い込み、叫んだ。
「千聖の、おっぱいだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
『……』
瞬間、その場が凍りついたような気がした。
「……なにを、言ってるんだお前は?」
「てめぇが千聖と付き合ったらよぉ。てめぇが千聖のおっぱい独り占めってことだろぉ!? ンなもん許せねぇ!! 千聖のおっぱいは俺のモンで、俺が揉むんだぁ!!」
「……」
俺の言葉に、創は言葉を失い、明らかに動揺していた。
「ち、ち、ちちちち千聖ちゃんの……お、お、おっ…胸だと!? な、なななななんだその不純な動機は……!? ふ、ふふふふふざけるなぁ!?」
「ふざけてねぇ!! 大真面目だ!! 俺は千聖のおっぱいのためにここに来た!! それだけの力と価値が、あのおっぱいにはある!! てめぇも揉んでみりゃあ分かるぜ!! 俺みたいによぉ!!」
「……」
俺がそこまで言うと、創の表情が一瞬にして固まった。そして、
「コロス……!!」
これまでと比べものにならない圧倒的な殺意で俺に向かってきた。
これが束橋湊斗という男です。
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