第二十話 指導されるバカ3人
間違えて前話を投稿するタイミングでこの話を誤投稿してしまいました。すぐに差し替えたのでこの話を読んでない方の方が多数だと思いますが、もしタイミング良くこの話を先んじて読んでしまった方は暖かい目で見守ってください!
「さっき警官の方から連絡があった。うちの男子生徒が女子生徒を恫喝している現場に遭遇したため事情徴収をしようとした所、その男子生徒が女子生徒を抱えて逃げ出したとな。男子生徒の特徴は金髪で若干人相が悪く、あとから現れたもう一人の男子生徒は赤毛でガタイが良かったとのことだ。つまり、お前たちで間違いないな?」
確認するように俺たちに問い掛ける一花。
俺たちは阿吽の呼吸で手を挙げると、
「「「異議あり」」」
声を揃えてそう言った。
「ほう、つまり人違いと言うことか?」
「「「イエスマム」」」
「そうか。なら心当たりは?」
「金髪の野郎は隣のクラスの翁駕馬之助だな」
「赤毛の野郎は三年の畑山門三郎」
「僕は超絶可愛いけど男なのでちがいま〜す」
「ちなみにだが虚偽の申告をした場合、私の所で保留しているお前たちのやらかしを豪田先生に報告する」
「「「俺(僕)たちで間違いありません!」」」
これまた阿吽の呼吸だった。
◇
「はぁ……朝から呼び出しをさせるな。私はお前たちと違って暇じゃないんだ」
「なら呼び出さなきゃいいじゃねぇか……っててててててて!!?? ちょ、ちょっと一花ぁ!? 腕が!? 腕が曲がっちゃいけない方向にぃぃぃぃぃぃ!!??」
「それで? 話を聞いたところ、湊斗が陽那の悪ふざけを受けたということでいいな?」
「この状態で話を進めないで一花せんせぇ!?」
「うん! 二週間ぶりに湊斗に会ったからかいたくなっちゃって〜」
「湊斗で遊ぶのは一向に構わんがほどほどにな。いつも私が対応できるワケじゃない」
「はーい、以後気を付けま~す」
「明らかに聞く気の無い返事をするな。で、司はそれに巻き込まれたんだな?」
「その通りだ七瀬先生。理解が最高にスムーズで助かる」
「お前に関しては関係者として体裁上呼んだが特に言うことはない」
「おいおい完全な呼ばれ損か。泣いちゃうぜ」
「そう思うならもっと賢く立ち回ることだ。お前ならできるだろ」
「……へーい」
なんか見透かしたような一花の言葉に、司はバツの悪そうな顔をした。
二人の間では理解してるみてぇだが俺にはさっばりだ。
「さてと、話は以上だ。もう教室に戻っていいぞ。あとのことは私が対処しておく」
そう言って、一花は俺を解放する。
「ってて、メチャクチャ痛かったぜ一花先生よぉ」
俺は反抗のつもりで、自分でも分かるくらいイヤミったらしく一花に言った。
「私も心が痛かった。仕方がなかったとはいえ、可愛い生徒に関節技をキメたんだからな」
「嘘つけぇ!? お前なんにも心痛んでねぇだろうがぁ!!」
あまりにもサラリと嘘を吐く一花に、俺は堪らず叫んだ。
◇
「ったく一花のヤツ……今に見てろよ」
一花からの生徒指導が終わった俺たちは、自分たちの教室に向かって歩いていた。
「あははムリムリ。湊斗じゃ一生一花先生に勝てないって」
「うるせぇ! なんと言われようとやってやるんだ俺はぁ!!」
俺は固ーく決意する。
この五年で俺は何度も一花への仕返しをしようとして、その度に撃沈していることはナイショだ。
「七瀬先生への仕返しもいいけどよ湊斗。それより優先すんのがあるだろ」
「ん?」
が、そんな司の指摘に思わず首を傾げる。
「アレ」
分かってないことを察したのか、司は指で前を指した。
「おはよミナト」
「おはおは湊斗ー」
――完ッ全に忘れてた……。
そこには、いつもの調子で俺に挨拶をする星名と根上の姿があった。
「ねぇねぇ司。どーいうこと?」
「実はカクカクシカジカで……」
「へぇ〜?」
司から話を聞いた陽那はニヤニヤした表情で俺の方を覗き込んだ。
「おい余計なことすんなよ陽那」
「だいじょぶだいじょぶ。安心して!」
「なんも安心できねぇ!」
いい笑顔で親指を立てる陽那に、俺はたまらず叫ぶ。
「ミナト、その子って……」
「え!? あ、あぁコイツは俺の……」
友達で、そう言おうとした矢先……。
「どもども! 胡桃陽那でーす! 湊斗の彼女でーす!」
ったく、やっぱりワケ分からんこと言い出したな陽那。
けどまぁいい。別にこれなら星名が初手不機嫌になることも……。
「は……?」
いやメチャクチャ不機嫌なっとるぅぅぅぅぅぅぅ!!??
すんごい圧を飛ばしてくる星名を前に、俺はブワッと冷や汗をかいた。
「お、おいなんとかしろ陽那ぁ……!」
小声でつばさに助けを求めるが……。
「……」
肝心の陽那はまるで生まれたての子鹿みたいに足を震わせながら、体を俺の腕に密着させていた。
「た、助けて湊斗ぉ……」
「ざけんなお前ェ!? お前のせいでこうなってんだろうが責任取れ……!!」
「だってこんなブチギレるとは思わなかったんだもん……!」
「知るか!! オラ前に出ろ!!」
「いやぁぁぁぁぁ!! こんなか弱い僕をタンクにするなんて酷いよぉ!! タンクなら湊斗の方が経験豊富じゃん!!」
「好きでタンクしてるワケじゃねぇんだよ! 星名さん!! 責任はコイツが身体でちゃーんと払いますから!! なんでもやっちゃってくださぁい!!」
「いやぁぁぁぁぁ!?」
と、ジタバタする陽那を抑え込みながら星名に差し出そうとしたその時……。
「千聖、あの子知ってる。メチャクチャ可愛いって評判の男子だよ」
「……ふーん」
根上のそんな一言によって、星名から放たれてた圧が消えた。
た、助かったのか……?
陽那の一言でキレたかと思えば根上の一言で元に戻った……ワケ分からん!!
理解不能だが、とりあえず助かったことに安堵する。
「ミナト」
「ひゃい!?」
突然星名に名前を呼ばれた俺は、腕に引っ付いていた陽那ごと飛び上がった。
「ソイツと付き合ってるワケじゃねぇんだよな?」
「え? はい。付き合ってないっす。だってコイツ男ですよ」
「でもよー、今アレだろ? タヨウセイ? ってやつ、流行ってんじゃん」
「ちょ、なに言ってんすか星名さん!! ほかのヤツはどーか知らないっすけど、俺が好きなのは女子です!」
「うぇー、でもミナトって顔が良けりゃあ男とか女とかカンケー無く付き合いそうだし……」
「顔が良いだけじゃ付き合いたいとは思わないですよ!! 大事なのは顔が良いこと……そしておっぱいが大きいことです!! その二つがあって初めて俺は女子と付き合いたいって思います!」
アレ? なんか周りの視線が急に冷ややかに……。
「湊斗しょーじき過ぎ〜」
「否定はしないが、最低って思われてもしゃーないな」
と、陽那と司が呆れたように声を漏らす。
はっ!? なにを言ってんだ俺はぁ!! おっぱいが好きだなんておっぱいがデケェ星名の目の前で堂々と……!!
己の欲望を叫んでしまった俺は、その失言っぷりに思わず口を手で覆う。
そして同時に死を悟った。
「ふーん」
が、これまた意外や意外。星名は目を少し細めながらそう言うだけで、俺をブン殴ってはこない。
「ま、いいや。教室いこーぜ」
「は、はい」
マジで殴ってこねぇ。どうなってんだ……?
不思議な星名の行動に首を掲げていると、
「てい」
「おうふ!?」
突如として脇腹にこそばゆい衝撃が走る。
横を見るといつの間にやら俺の隣にいた根上が指を立ててなんとも言えない顔をしていた。
「えーと、根上さん?」
そんな根上に恐る恐る話し掛けると……。
「バカやろー」
いつも通りの平坦な声で放たれたその一言に、俺は面食らうしかなかった。
◇
「いやぁホントに死ぬかと思った……」
湊斗の腕から離れた陽那。
彼は湊斗が首を傾げている後ろで安堵の溜息を吐いた。
「にしても予想以上の反応だったなぁ〜。ねぇねぇ司、やっぱりあの二人って湊斗のこと好きだよねぇ? 反応超分かりやすいもん!」
つばさは司から端的に話を聞いた瞬間、大方の事情を理解し把握した。
湊斗が面白いことに巻き込まれている……陽那が首を突っ込む理由には十分だった。
「いや、どうかな」
「へ?」
なんとも言えなそうな司の言葉。陽那が疑問を呈すのも無理はない。
「どっちかって言うと……アレは恋愛対象っていうか、自分のパシリって認識じゃないか? さっきのも自分のパシリに良く言われたり悪く言われたりしただけの反応っつーか」
司に言われ、陽那は視線を湊斗たちに向ける。
「ミナト、これ持って」
「へい!」
「湊斗ー、琴葉のリュックもよろー」
「喜んで!」
そこには立派に星名と根上のパシリとして立派に職責を果たす湊斗の姿があった。
「あー……」
そんな彼を見て、陽那は納得の声を漏らす。
たしかにこの様を見ると、湊斗がただ恋愛感情抜きに気に入られて、コキ使われているということが分かる。
なーんだ。湊斗の恋愛沙汰なんて最っ高に面白そうだったのに。
と、少し気を落とす陽那。
ま、いっか!!
湊斗が女子にパシられてんのもそれはそれで面白いし!!
が、彼の切り替えは早かった。
ここまで読んでいただきありがとうございます!
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