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第十四話 ギャルと風呂る

 星名の宣言通り、メシのあと俺たちはドンキに来ていた。

 

「これならサイズ合ってるか?」

「バッチシですね」


 俺がそう答えると、星名は手に持っていたスウェットの上下を俺の持っていた買い物カゴに放り込む。

 これでドンキ(ここ)に来た目的は達成された。


「うし、あとは適当に回ってなんかあったら買ってくか」

「お菓子とエナドリ、そろそろ無くなりそー」

「マジか。じゃー買ってかねぇとな」


 歩き出す星名と根上。俺は黙ってそのあとをついて行った。



 ドンキでの買い物を終え、根上のマンションに戻って来た俺たち。


「んじゃー風呂るか。一緒にはいろーぜコトハ」

「ムリ」

「え、なんでだよ」


 星名の誘いを断る根上。

 理由は知らんが俺には関係ない、そう思いながら買って来たエナドリを飲み始めるが……。


「琴葉は湊斗と入る」

「ぶうぅぅぅぅぅぅぅ!!??」


 次の根上の一言で、俺は思いっきり口に入れたエナドリを噴き出した。

 

「はぁ!? おいコトハ、なに言ってんだよ!?」

「そうですよ!! 意味分かんないですって!!」


 動揺する星名と俺。

 が、根上はなんてことないように続けた。


「今日琴葉を助けてくれたお礼、まだし切れてない。だから一緒に風呂ほかる。嬉しい? 湊斗」

「えぇ!? い、いやそりゃあ根上さんみたいな可愛い人と一緒に入れるなんて最高ですけどぉう!?」


 思わず出た本音。瞬間、俺の脇腹に強い衝撃が走る。


「なに流されそーになってんだミナトてめぇ!!」

「すんません……」


 床に膝を突いた俺は、辛うじてそう返すのが精いっぱいだった。


「なぁ考え直そーぜコトハ?」

「ダメ。琴葉の意思は固い。絶対湊斗と一緒に入る。もし湊斗がイヤがったとしても気絶させて無理やり一緒に入る」


 それはもう礼でもなんでもなくねぇか? そう思わずにはいられなかったが、口に出しそうになったところで俺は言うのを止めた。


「で、でもよぉ。流石に高校生の男と女が一緒に風呂ってのはダメだろ?」

「そうなの? 泊まりはいいのに?」

「泊まりと風呂はなんかこう、違うじゃんかよ……」

「分かんない。どー違うの?」

「えーとぉ、だからアレだよ!? なんかさぁ、とにかくアレなんだよ!!」

「意味分かんない。湊斗、行こ」

「い、いやー……俺もあんまりよく無いかなーって……」

 

 あとでどんな難癖ナンクセ付けられるか分かったモンじゃねぇからな。


「行こ?」

「……」


 とてつもない圧で見つめられた俺は、無言で立ち上がった。


「ちょ、待て待て待て! おいミナト行くんじゃねぇぞ! 行ったら100発殴っかんなぁ!?」


 なにィィィィィィィィ!?


 放たれた星名の最悪の言葉に、俺は思わず足を止める。

 行くも地獄、戻るも地獄。一気に冷や汗が出た。


 ま、マズいどうする……!? 根上にはなにされるか分かんねぇし星名のゲンコツ100発なんて死んでも喰らいたくねぇ……!!

 

 二人に挟まれた俺はコンマ数秒の中で葛藤する。


 か、考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ俺ェ……!!


 なんとかこの窮地を乗り越えるため、必死こいて頭を回す。そして俺が出した答えは……。



 どーして、こうなった?


 腰にタオルを巻き、風呂場の椅子に座る俺はそう思わずにはいられなかった。


 ――ガチャリ


 その直後、風呂場の扉が開く。


「じゃじゃーん」

「……」


 現れたのは、水着姿の根上と星名。

 窮地に立たされた俺が出した答え……それは『三人で風呂に入る』だった。

 冷静に考えてみれば意味が分からない。自分でもどうかしてると思う。


 けど仕方ないじゃない!! 命が惜しかったんだもの!!


「どう湊斗? 琴葉の水着」

「え? あー、メチャクチャ似合ってるっすケド」


 これは全然お世辞ではない。カラフルなワンピースタイプの水着は根上の良さを最高に引き出していた。


「そかそか。コレそろそろ捨てよーかと思ってたけど、ちょっと考え直そー」

「ははは……」


 無表情のまま水着のすそをヒラヒラさせる根上。だが今の俺はそんなことよりも気掛かりなことがあった。


「……」


 メチャクチャ機嫌悪そうなんですけど星名さぁん!?


 根上と同じく、水着姿の星名。

 こちらに目を合わせようとせず、その横顔は明らかに不機嫌だった。


 ヤベェ、なんとか機嫌を取らねぇと……!!


「い、いやぁ星名さんも似合ってますねその水着!」


 根上とは違ってビキニタイプの黒い水着。最高にセクシーだ!


「あぁ……?」


 あ、俺死んだ♡


 ギロリと睨み付けられた俺は死を悟った。


「千聖、照れてる」

「は、はぁ!?」


 が、そこに放たれてた根上の一言で星名の顔は一瞬にして真っ赤に染まる。


「別に恥ずかしがる必要ないのに。同じような格好で海とかプール行ってるんだし」

「こ、この状況だとなんか変な感じすんだよ!」


 ――ん? なんだ星名の反応……。


 慌てる星名を見て、俺はそう思わずにはいられなかった。


 そういやさっき根上が一緒に風呂入るとか言い出した時もこんな感じだったな。

 アレ? ひょっとして星名って……。


 この時、俺の中にある疑問が浮かぶ。それは……。


 ――意外と清楚、なのか?


 考えてみれば、根上が俺と一緒に風呂に入り始めると言った時もそうだ。星名のヤツ、明らかに動揺してた。


 意外とこーゆーのに耐性無いのか? 制服とかかなり露出が多いように着崩してるし、俺が胸揉んじまった時も全然動じて無かったから、エロいの全然オーケーなタイプだと思ってたんだが……。


 そんなことを考えた直後、俺の脳に電流が走る。


 はっ!? もしかしてこれ、使えるんじゃねぇか……!?


 俺の予想が正しいなら、今この状況は星名にとって弱点。

 なら、ここで俺が更に攻めて星名コイツの弱点を突きまくることで、優位に立てるんじゃねぇか!?


 あまりにも名案過ぎる名案。俺が行動しない理由は、一ミリも存在しなかった。

 

 ――よし!!


 覚悟を決めた俺は、小さく息を吐く。


「すんません。星名さん、一つ頼みがあるんすけど」

「あぁ? なんだよ」


 若干動揺が残ってる星名。

 対して俺はいたって冷静。そして星名と正面から向かい合った俺は……。


「俺の身体、洗ってくれませんか!?」


 腰に巻いていたタオルを取り、局部マイサンを見せつけた。


ここまで読んでいただきありがとうございます!


少しでも

「面白そう!」

「続きが気になる!」


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