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第十三話 ギャルの家でお泊まり

本作が現実恋愛部門日刊ランキング47位に入ってました!

応援してくださってるみなさんのおかげです!ありがとうございます!

 根上に案内され、俺は根上が住んでいるというマンションの前まで来た。


「ここの一番上がコトハの部屋」


 デカいマンションだな。家賃とかヤバそう。小遣いもすげぇもらってる感じだったし、根上の親って金持ちなんだな。


 なんてことを思いながら、俺は中に足を踏み入れる。



「着いたー!」


 根上が住んでる部屋に到着した瞬間、星名は大声を出しながら、家主の根上より先にバタバタと奥へ進んでいく。

 まるで自分の家みたいな感じだ。


「荷物とかてきとーに置いてー」

「分かりましたー」


 根上の言葉に従い、持たされていた大量の荷物をリビングの端っこに下ろす。

 腕に掛かっていた負荷が消えて、解放感がハンパない。


 よっし!


「じゃあ俺は帰りますね! また学校で!」

「ちょい待ちミナト」


 颯爽と帰宅しようとした俺の肩を、星名はガシッと掴んだ。


「な、なんですか星名さん……?」

「萎えること言うなよ。メシくらい食ってけ」

「MESI?」

「おう。今日の感謝代ってやつだ。いいよなコトハ?」

「モチ。湊斗は琴葉守ってくれたから、お礼する。ぜったい」


 どうやらメシを食わすまで根上も俺を帰すつもりは無いらしい。

 

 ……はぁ、仕方ねぇか。

 

 俺は観念して星名と根上の言葉に従うことにした。

 

「分かりました。ゴチになります」

「そーこなくっちゃな」

「うぇーい」

「じゃあちょっと家に電話してきますね」

「わざわざ連絡すんのか? 意外とマメなんだなミナト」

「いや、マメって言うか……まぁ家庭内事情ってのがありまして」


 俺は言葉を濁しつつ、スマホを持って席を外す。


「ホントはメッセージがいいんだけど、直で掛けないと気付かねぇからなぁ」


 そう言いながら玄関先まで来て、俺はLINE電話を掛けた。

 

 ~~♪


 数秒の呼び出し音。そして直後、スピーカーから向こうの声が届いた。


『へーいへい。愛しの姉ちゃんだぞー』


 通話の相手は束橋えま、俺の姉だ。


「おーアネキ。ワリィけど今日帰んの少し遅れっから」

『うぃー分かった。じゃあご飯は冷蔵庫だなー?』

「いや、それなんだけど今日はもともと作る予定だったからさ。作り置きが無いんだよな。だからテキトーになんとかしてくれ」


 まるで親が子供にするような連絡だが、これが俺の家の普通だ。


 俺の親はどっちも普段家を空けてる。

 家には俺とアネキの二人だけ。

 そーなると、家事も当然俺とアネキが分担してやることになる。


 ……だが、段々とアネキは家事をしなくなり、今では家事全般は俺がやっている。

 気付けば俺は、アネキの世話係(飼育員)になっていた。


 今回の連絡はその延長ってワケだ。

 さてアネキの反応は……。


『なん、だと……!?』


 納得いってないことはスピーカー越しに嫌でも分かった。


『ヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダァ!!』


 駄々をこね始めるアネキ。

 ドタドタという音から、床に寝っ転がり手足をバタバタ動かしてる姿が容易に想像できる。


『姉ちゃんは湊斗のご飯食べないと死んじゃうんだぁ! 姉ちゃんを殺す気かぁ!』

「死なねえだろ。二、三日帰って来ないのザラのくせによ」

『正論パンチやめてぇぇぇぇ! 大学から留年を突きつけられて姉ちゃんのライフはもう0なのぉぉぉぉ!』

「うるっさ!? 急に叫ぶなって! じゃあそーゆーコトだから。もう切るぞ」

『うわっ! なんて無理やり終わらせる気!? なんて愛が無いの私の弟は!! お姉ちゃんはそんな弟に育てた覚えはございません!』

「育ててやったのはむしろ俺の方だけどな」

『だから正論パンチ禁止カードだってぇ!? もー! お姉ちゃんにご飯作るより大事な用ってなんなんだよぉぉぉぉぉ!!』

「うっ、い、いやそれは……」

『お? なんだぁ、ガチで動揺してんな? 姉ちゃんに誤魔化しはきかねぇぞ?』

「う、うっせぇな! 色々あんだよ俺にも!」

『まさか……女か?』

「っ!?」


 ドンピシャなアネキの予想に、心臓がドクンと跳ねた。


「……ち、ちげぇよ」

『おい今の間!! ぜったいそーじゃん!!』

「だからちげぇって!!」


 このままでは面倒なことになりかねない。

 俺は音圧でなんとかごり押しするが……。


「おーいミナト? 大声出してどしたー?」

「あ」

『あ?』


 そう聞いてきた星名の声は、スマホのスピーカーを通り、ばっちりアネキに届いてしまった。


『おぉい!? やっぱり女じゃん!! 姉ちゃんに内緒で彼女作っとるやんけぇ!! ダメダメダメ!! 姉ちゃんの審査を通ってないのに許さ』


 ピロン♪


「あ、だいじょぶです。今終わりました」


 全てを諦めた俺は、通話終了ボタンを即押しして、星名にそう言った。


 ――顔が引きつってんのは自分でも分かった。



「湊斗、うまい?」

「うめぇっす」

「ドンドン食べて。たくさんある。全部琴葉のおススメ」


 根上に勧められるがまま、俺はメシをごちそうになる。

 ちなみに言っておくと、これは根上が作ったワケじゃなく、根上がウーバーで頼んだモンだ。

 

 あの流れでお前が作るんじゃないのかよと思ったが、これが根上なりの感謝の気持ちなんだろう。

 自作なのかウーバーなのか、なんてのはどーでもいいことだ。


 うん、やっぱうめぇ。


 そうして、俺が口に入れたメシの美味しさを実感していると……。


「はぁーあ。にしても今日は運が悪かったな。まさかあんなのとバッタリ会っちまうなんて」


 ラフな格好に着替えた星名が現れ、近くにあったソファに脱力するように座った。


「さっきの奴、星名さんと同じ中学みたいでしたね」


 そんな星名を見て、俺はそう尋ねた。興味本位ってやつだ。


「あぁ。全然覚えてねぇけど」

「はは……。あ、あとアレですね。メチャクチャ強かったですね星名さん」

「まぁなー」


 なんてことないように、口にポッキーを加えながら星名は答える。


「なんか格闘技とかやってました?」

「いんや? 力はもともと男より強かったし……あー、でも中学までは不良とケンカばっかしてたな」

「さ、さいですか……」


 え、なに? なんで一昔前の不良漫画みてぇな経歴してんのこの女?

 

 サラッと放たれる星名の爆弾に発言に背筋が凍る。

 なんとかそれを表に出さないようにしながら、俺は言葉を続けた。

 

「で、でもそれじゃあなんでウチの高校に入ったんですか?」


 俺たちの通う私立歩和高校(ふわこうこう)はかなり校則が緩く自由な校風のため、いろんな奴らがいる。

 が、それでもヤンキーみたいな生徒は数えるほどしかおらず、ガチの不良高には遠く及ばない。


「別にケンカすんのが好きってワケじゃなかったからな。突っかかって来た奴をブッ飛ばしてただけだし。そーいうの無さそうでウチが入れそうなトコ選んだって感じ。あと……」


 そこまで言って、星名は突然口をつぐんだ。


「あと?」


 俺は思わず聞き返すが、


「……なんでもねぇ」


 そう言ってはぐらかされてた。

 なんだろうか、言いたくないって感じだ。


「あ、そーだミナト。上はウチのパーカーとか貸せっけど下はサイズ的にムリだからよぉ、このあと近くのドンキで買い行くぞ」

「え?」


 そして気付けば、俺はサラッと泊まることになっていた。


ここまで読んでいただきありがとうございます!


少しでも

「面白そう!」

「続きが気になる!」


と思っていただけましたら、ブックマークや評価をいただけると嬉しいです!

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