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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

空色杯「五百文字未満の部」参加作品

赤い花と少女

作者: 野中 すず

五百文字制限企画に参加予定の物語です。

 深い森の先に、赤い花が咲き乱れる草原が広がっている。金属製のレールの様な物が何本も縦断し、遥か遠くの古代遺跡まで伸びている。

 このレールや遺跡が、いつ、何の為に作られたのかは誰も知らない。


 先程から激しい雨が降り続いていた。

 赤い花たちの中央で、全裸の少女が瞬きもせずに立っている。


 そこへ腹を減らした雄の熊がやって来た。少女を見付け近付いていく。

 少女は目の前。熊はヨダレを垂らしているが、少女はずぶ濡れのまま、微動だにしない。

 熊は鼻をヒクヒクと動かした。すぐに己の過ちに気付き、森に帰って行った。




 しばらくすると、今度は男がやって来た。盗人。

 遺跡に金目の物があると踏んでいる。

 全裸の少女を見付け驚く。

 美しい顔、身体を水が伝い続けている。強烈な色欲に襲われ、走り寄る。


「なあ、あんた……」


 その声を聞いた少女は笑った。男が恐怖を感じた瞬間、地面から生えた巨大な蔓に引きずり込まれた。

 悲鳴さえ上げられなかった。



 新たな赤い花が、正確には赤い雄しべが一本生えてきて、やはり赤い花粉を空に向かい噴き出した。空中で雨と混ざり、少女に降り注ぐ。少女は血まみれに見える。




 この()()の雨の日にしか出来ない、狂った受粉が終わった。


 


 最後まで読んで頂けて嬉しいです。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 片や本能で命を守り、片や本能で命を喪う。 いやはや野生の勘ってすごいですね。 とはいえ、盗人は「強烈な色欲に襲われ」という文を見る限り引き寄せられた部分とかもあるのかしら、とか人の姿で誘う…
[良い点] 世界観とアイデアが好みです。 美しさと残酷さの同居が堪りません。 個人的にとても好きな作品です。 500文字という非常に少ない文字数でありながら、きちんと世界を確立させていて、凄いなあと…
[良い点] 短い文字数できちんと話をまとめているのはすごいですね!
2023/05/21 23:53 退会済み
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