(4)侯爵令嬢から、なんでこうなるの?
「フラン侯爵令嬢、貴女との婚約を破棄する」
「え? 第二王子様?」
私は、卒業パーティーを前に、なぜか王宮に呼ばれました。
そして、昨年の卒業パーティーと、同じことを言われました。
婚約破棄に慣れている自分が怖いです。
ここは王宮の貴賓室です。
国王と王妃が上座に座り、「コ」の字状に、第一王子と私が、右側に立っています。
第二王子が左側に立ち、その横に第一王子の婚約者が椅子に座っています。
この立ち位置は、通常ではありえません。
「兄上、第一王子の婚約者であるこちらの令嬢と、婚約を破棄して頂きたい」
「え? 婚約破棄?」
第一王子は、婚約破棄が初めてのようで、意味がわからないようです。
「二人とも、落ち着いて聞きなさい」
王妃が疲労の色で、口を開きました。
「第一王子の婚約者は、第二王子の子を宿しています」
「「へ?」」
第一王子と私が、ハモリます。
これは、第一王子の婚約者と、第二王子とが、ダブル不倫していたの?
「私は、王命を受け入れ、婚約者の座をお渡ししますが、、、」
すでに、伯爵家は侯爵家へ爵位が上がっておりますので、これはボロ儲けです。
第一王子は、激怒しすぎて、声も出ないようで、拳を握りしめています。
この気配は! 国王陛下の御前で、暴力はまずいです。
「第一王子様、ここの場は、こらえて下さい、お願いです」
私は、第一王子を押さえます。
◇
第一王子の元婚約者、第二王子、そして私は学園を休みました。
第一王子の婚約破棄、第二王子の婚約破棄は、すぐにニュースとなりました。
うわさ好きの令嬢が、今度は、うわさの的になっています。
お義父様の話では、王宮では事態の収拾で大騒ぎだそうです。
「第一王子の新しい婚約者を探しているが、この国の伯爵令嬢は、ほとんど婚約者がいる」
「隣国まで範囲を広げたが、すでに醜聞が広がっており良い顔をされない」
お義父様は、侯爵として忙しそうです。
◇
国王からの命令で登城、、、これは前もありましたね。
今回は、第一王子と婚約するようにとのお話でした。
「フラン侯爵令嬢、今回は政略結婚とはしない」
「第一王子の人柄を知ってもらう期間を設ける」
国王も疲労のようで、目の下にクマが見えます。
「お心遣いありがとうございます、でも、、」
「でも、、、なんだ?」
「私は、すでに第一王子様のお人柄を存じております」
「第一王子様は、傷心の私を、毎日見舞ってくれました」
「このような誠実な方を、私はずっと探しておりました」
国王の表情が緩みました。
「第一王子はどうなのだ?」
「彼女は、意志が強く、冷静で、私のことを考えて、、、彼女には、ぜひ、私の横に立ってほしいです」
国王はうれしそうです。もちろん私もうれしいです。
「予想よりも早く決まったな」
「第一王子の結婚式を、予定どおり婚約者の卒業後に行う」
「第二王子は廃嫡、国外追放とする」
国王が宣言しました。
「フラン侯爵令嬢には、今から王太子妃の教育を受けてもらう、以上だ」
ほよ? 王太子妃としての教育が加わりました。
教本に「人間、一生勉強だ」と書いてありましたが、私の場合、何かが違うように思えます。
普通は、勉強して成果が出るのですが、私の場合は、成果が先行し、後から勉強しています。
周囲には「勉強は好きです」と言いながら、心の中では「げ!」とつぶやく、今日この頃です。
◇
来週は王太子と私の結婚式です。今はもうラブラブです。でも、、、
「フラン様、これからの一週間は、花嫁修業です!」
うは! 花嫁修業が加わりましたが、でも、うれしいです。
━ FIN ━
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