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(2)聖女候補は、男爵から伯爵に成り上がる   



 女男爵の教育が一段落した時には、もう春休みが終わり、私は3年生になりました。


「伯爵様は激怒して、一人息子の令息を勘当したそうですよ」


 私に教えてくれた彼女は、うわさ話に精通している同級生で、第一王子の婚約者で金髪というハイスペック令嬢です。


「もう関係ありませんから」


 平民上がりが、王宮で働けるようになるためには、学園で首席を維持しなければなりません。

 毎日が地獄の勉強漬けで、そんな昔の事にかまっていられません。


 もちろん実技の試験もありますが、聖女教育のおかげで実技はなんとかなっています。


 聖女は祈っているだけのイメージがありますが、実際は、懺悔を聞く精神的修行、重症者を助ける現場修行、救助に必要な筋トレと、肉体労働も多いのです。



「伯爵家では養子を探したけど、適任者がいなかったようだよ」

 ハイスペックな同級生の第二王子までが、淡い金髪をかきあげながら、余計な話をしてきます。


「もう関係ありませんから」


 もう関係ありませんが、平民だった私に優しくしてくれた伯爵様と夫人様が困っているのは、心苦しいです。



 ◇



 夏休みを前に、伯爵夫人からお茶会の招待があり、今日は緊張しながら伯爵家を訪問しています。


 ドレスは着用せず、学園の制服でとの指示でしたけど、なぜか応接室に案内されました。庭園ではないのですね?


「お久しぶりです伯爵夫人様」

「久しぶりですフラン嬢、すっかり女男爵していますね」

「ありがとうございます」


「伯爵様のお力添えがあったからと聞きました。お礼の挨拶が遅れ、申し訳ありませんでした」

「学園長から聞いています。貴女は、ずっと教育で忙しかったことを、知っておりますよ」

「感謝申し上げます」


「早速、本題に入ります」


 応接室に伯爵様が入って来ました。

「え?」


 びっくりです。お茶会に伯爵様が同席する場面は、女男爵の教育にはありませんでした。

 立ち上がってカーテシーを執ります。


「フラン嬢、息子がヒドイことをしたこと、伯爵家として謝罪します。息子は廃嫡しました」

 伯爵様は少しやつれたように見えます。


「私が至らないため、申し訳ありませんでした」


 座って話を続けます。


「私たちは、以前から貴女を高く評価していました」

「どうか、私たちの養女になっていただけませんか?」

 伯爵様から驚きのご提案です。


 これが“寝耳に水”という古い儀式? 理解が追いつきません。でも、うれしいです。


「私に、伯爵様のお話を断ることは出来ません」

「では?」


「よろこんで、お義父様、お義母様と呼ばせて下さい」


「「ありがとう」」

 伯爵様と夫人様、いえ、お義父様とお義母様は、心から喜んでいます。

 私も、このお二人と家族になれること、神の祝福に感謝いたします。


「では、夏休みに、伯爵令嬢としての教育を受けてもらいます」



 へ? 夏休みは、伯爵令嬢としての教育が加わるようです。



お読みいただきありがとうございました。


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ありがとうございました、読者様のご多幸を祈願いたします。


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