(1)聖女候補は、平民から男爵に成り上がる
「フラン、君との婚約を破棄する」
学園の1年生および2年生の終業パーティーで、今流行りの婚約破棄が出ました。
卒業パーティーでは定番になりつつありますが、学年最後のパーティーで、これをやりますか?
私の名前はフラン、銀髪で平民の女性、特待生として王立魔法学園に入学しております。
「伯爵令息様、何故ですか?」
さっきまで婚約者だった、色の薄い金髪の男性に問いかけます。
横には、色の薄い赤毛の令嬢が寄り添っています。
「光属性の魔法が少し使えるからと、調子に乗ってこの男爵令嬢に嫌がらせをするなど、私は許せない」
私は、光属性の魔法を使えることが3年前に判明し、現在は聖女として修行中です。
「私には、嫌がらせの心あたりがありません」
なるほど、この状況は、私が悪役令嬢で、伯爵家令息とヒロインの恋路を邪魔した罪で、婚約破棄されるパターンですね。
「いつも、放課後に彼女を呼び出しているだろう」
来ました、お決まりのパターンです。
「私は、午前中は学園で勉強して、午後からは神殿で聖女教育を受けていますので、その様なことは出来ません」
毎日、ランチの時間になると、パンを口にくわえ、神殿へ走ってる私です。
「嘘をつくな」
「本当です」
「・・・」
え? これだけ? 断罪イベントは、伯爵令息様の準備不足で、しょぼいです。
これでは、悪役令嬢が光りません!
「伯爵令息様は、横に立たれている男爵令嬢と結ばれるのですか?」
「そうだ、俺は真実の愛に目覚めた、ふん!」
なに、その満足そうな顔は?
そのセリフを言いたかったのですね、呆れてしまいます。
「わかりました、婚約者の座は、そちらの令嬢にお渡しします」
「そうか、わかれば良い。聖女といえど、平民が伯爵家に嫁ぐとは不相応だ」
そちら家の伯爵様から頼まれて、交わした婚約なのですが、、、
伯爵令息の浮気で、あっけなく破綻しました。
「では、私は学園長に呼ばれておりますので、これで失礼いたします」
カーテシーを作り、会場から退席します。
◇
「失礼します、フランです」
「はいりなさい」
「フラン嬢、申請が通りました」
私は、学年首位を続けています。
成績優秀な平民に与えられる一代限りの男爵の称号、これの申請をしていました。
「フラン嬢、貴女に一代限りの男爵を授与します」
「謹んでお受けいたします。男爵の地位に恥じぬよう、今後も精進を重ねます」
学園長から、黒のサッシュを肩からかけていただきました。
「おめでとう!」
「ありがとうございます、学園長のお力添えのおかげです」
「貴女が伯爵家との婚約を得たからですよ」
「その婚約は、さきほど破棄されました」
「は?」
学園長が固まりました。
「では、伯爵家へのお礼は、私から伝えておきます、、、」
破棄でショックを受けているのは、私の方なんですけど、、、
「貴女は、春休みに、女男爵としての教育を受けてもらいます」
げ! 学園の勉強と聖女の教育に、女男爵の教育が加わりました。
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