冒険者ギルドと職業ギルド
「これより、我らは都市探索に移る!各隊員、少しでも気になる事があれば報告する様に!」
「了解しました。」
『~~♪』
「では出発進行!」
フィールド探索を終えて都市に戻った俺達は、早速へルアメスの探索を開始する。
この都市はエボグロの中でもかなりの大きさを誇り、端から端までの全てを回ろうとしたら一日だけでは足りなくなる。その為、今回の探索ではマップ全制覇を諦め、主要施設と覚えて損は無い店がある四つの大通りを見て回る予定だ。
「―先ずは一つ目の大通り、冒険者ギルドや職業ギルドがありそれに関する施設が充実している¨冒険通り¨!」
この冒険通りは、終盤で手に入る様なモノから俺と同じ初心者用のモノまで色々な装備をしているプレイヤーやエル、それと新生児たちで賑わっている。
「……お、あそこが冒険者ギルドと職業ギルドか。うむ、周りの建物より二回りはデカいな。」
道行く人達の装備やアイテムをチラ見しながら歩いて回ると、ひと際大きな建物が通りをはさんで向かい合う様に建っている。
冒険者ギルドと職業ギルドはその名の通り、冒険者と職業に関するアレコレを色々としてくれる組織だ。
冒険者ギルドでは、主に魔物や遺跡、ダンジョンに関する討伐や探索系統のクエストを受ける事が出来る。他にもギルド内ランクを上げる事で、様々な支援を受ける事が出来るそうだ。
「探索序にギルド関係は登録しておくか。」
俺は初めて直ぐに武具を買ってフィールドに出たので、こういう重要そうなモノに登録していない。都市探索は、ギルドとかの必要そうな要素を持つモノへの登録も含めている。
勿論、メインは楽しそうなモノや店探しだ。
「中は他のRPGと変わらず受付と酒場が一緒になった感じだな。」
ギルドの中に入ると、他のRPGとテンプレを外さず王道の冒険者が集まる酒場と美人イケメンが並ぶ受付所がある。そしてそこに並ぶ美人とイケメンを求めたプレイヤーとエルの冒険者たち。
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<ようこそ、新たな旅人よ!>
冒険者ギルドに登録すると、以下の内容に書かれた支援を受ける事が出来ます。
・ランクに合わせた魔物討伐クエスト。
・倒した魔物の高額買収。
・貴方に合うパーティーの紹介。
・ランクが上がる事に因る支援強化。
<冒険者ギルドに登録しますか?>
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「うぉっ!ビックリした~。」
流石にこの列に並ぶのは遠慮したいと考えていると、目の前に登録画面が現れたので内容をサラっと流し読み、そのままギルド登録を完了させる。
―<冒険者ギルドに登録しました。登録特典として【ギルドカード:冒険者】を獲得した事により、システム一覧に<ギルドシステム>が追加されました。>―
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<冒険者ギルド>
:ギルド貢献度「G」
:受注可能クエスト「Ⅰ」
:達成済み・報酬未受取
〈<痩せた魔犬>討伐・十体〉〈<ラビットの毛皮>納品・十個以上〉〈<痩せた犬皮>納品・二十個以上〉
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早速追加されたシステムを開き、確認する。
どうやら、自身が受ける事が出来るクエスト内で既に達成条件を満たしているのは自動的に完了処理をしてくれるみたいだ。ただ、報酬は自分で受け取らないといけない感じか。
アイテムを納品して達成済みに成っているクエストから報酬を受け取り、中身を確認する。
「依頼完了で合計<3500マネー>の収入か。ラッキー、これで自由に出来る金が増えた。」
意外と増えた所持金にホクホクしながら冒険者ギルド後にする。こういう楽なシステムが有るのも神ゲーの秘訣なのかねぇ。
次は職業ギルドに登録する為、冒険者ギルドの目の前にある職業ギルドに入って行く。
「―ようこそ、職業ギルド・へルアメス支部へ。今回はどの様なご用件で?」
「今日が初めての利用なんですけど、ギルド登録って出来ますかね?」
「成る程、初めてのご利用者様でしたか。勿論ギルド登録は可能ですよ。宜しければ当ギルドについての説明をいたしましょうか?」
「お願いします。」
冒険者ギルドとは打って変って、職業ギルドはきっちりとした役所みたいな感じになっていた。入口に職員らしき人が立っており、入った瞬間に要件と案内を尋ねられる。その雰囲気に呑まれて、つい敬語で対応してしまった。
一人一人に対応している仕切りがある受付に案内され、職員ギルドについての説明を聴く。
「このギルドでは――」
「―あざしたー!」
対応してくれた職員に礼を言い、ギルドを後にする。思いのほか色々と好都合だったため、少し長く居座ってしまった。
「まさか、初日から<エルクエスト>を受けれるとはねぇ……」
職業ギルドは、登録者が付いている職業に合ったスキル習得条件の情報、自身のステータスやスキル構成に合った職業の就職又は転職、自身が就いている職業に関する技術やスキルを教える事が出来る人物への斡旋と言った感じで、正しく職業に関する大事な事をアシストしてくれるギルドだった。
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〈エルクエスト:「憑依使いは霊と踊る」〉
¨憑依使い¨とは――霊と共にある者である。
職業ギルドより渡された紹介状。その紹介状に記された場所は、都市の端にある古い教会。
憑依使いについて教えを乞う為、憑依使いの新人「ヒアト」は古い教会へと向かった。
――曰く、その教会は呪われているとか。
・クエスト内容
ベテラン¨憑依使い¨からの指導。
・クリア条件
未定
・推奨レベル
未定
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俺が今就いている職業は、[憑依使い]、[機人使い]、[精霊使い]の三つ。
今回はメインである[憑依使い]を教えてくれる指導者への紹介で、その内容がクエストに成っている。
「ただ、クエストのテキストが怪しい感じなんだよなぁ……」
呪われているかもしれない教会とか、怪しい以外の感想を持てない。多分、一波乱は有るかもだな。まあ、この後直ぐに行くわけでは無いし、今は都市巡りを楽しむとしよう。
「そうと決まれば、次は常に新しい何かが作られている大通り―通称、¨クラフト通り¨に行ってみよう!」
この大通りはお気に召さなかったのか、シャクティとアリセは一言も話さなかったし次のクラフト通りでは気になる者があると良いな。