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初戦闘は意外と呆気なく



 <ラビット>

 第一都市¨ヘルアメス¨の付近に生息している魔物の中でも最弱の生物。

 大きさこそ現実の兎より何倍もデカいが、温厚で臆病な性格と主な攻撃手段がイノシシでももうちょい考えてるぞと思ってしまう程に一直線で鈍い突撃と言った特徴から、子供でも勝てる弱い魔物。


 当然、始めたばかりとは言え他ゲーをやり込んでいる自分の相手に成るわけも無く、動きを確かめる練習にもならない。こちらに驚いては怯えながらゆっくり突っ込んでくる兎を木刀で殴り飛ばし、ちょうど良い練習台を探し求めてずかずかと奥へ進んで行く。


 都市を出て直ぐにあるフィールド¨始平原¨……別名、¨動く最弱の巣¨とも呼ばれる平原を進んで行くと、兎より強い敵が生息している¨ヘルアメス平原¨と呼ばれるフィールドに着く。こっちが本当の初期フィールドとも呼ばれており、ゲーム慣れしている初心者はこっちの平原で動きやスキルの練習をしている。


「……お、早速良さそうな敵を発見!」


 兎とは違い、こちらを認識した瞬間うえへへっカモがやって来たぜヒャッハー!と言わんばかりに涎を流し牙を剥く痩せた犬の魔物。

 

『グルルル……っ!』


 このゲームは、敵と接敵した際に自動で敵を識別してくれる機能があり、自身が遭遇した事無い敵でもエルを含めて誰かの知識として認識されている存在なら、敵を知る事が出来る。

 

―<痩せた魔犬:Lv4>


 このように、種類と名前が敵の上に表示される。……ほう、三つ上の魔物ですか。これは良い練習台になりそうだ。


『グルァ!』


「おっと!流石に兎より速いな!」


 先ずは木刀を試そうと腰に下げていた木刀を右手で正眼の構えを取ると、魔犬が飛び掛かってくる。

 先程の兎と比べると月とスッポンぐらいに違い、結構な俊敏さで迫った魔犬を横ステップで躱す。


「今度はこっちの番って事で……≪一閃≫!」


『キャウッ!……グルルルア!』


「あらら、怒っちゃった?」


 武技とは、スキルに内包されている又は効果によって繰り出される技や技術。別名、¨スキル技¨と呼ばれるシステムで、武技はその中でも攻撃系統に属するモノの名義だ。

 刀カテゴリーの初期武技である≪一閃≫を繰り出し、魔犬の横顔をぶん殴る。本来なら鋭い一閃で敵を切り裂く技だが、刃の無い木刀では勢いよく敵をぶん殴る技に成っている。


 勢いよく打撲され、少し後ろに下がった魔犬はてめぇふざけんな!と言わんばかりに顔を怒りで歪ませる。……よく見たら、めちゃくちゃ表情豊かな敵だな。

 少し良い武器を使っての武技だったからか、思った以上に威力があり敵のHPバーが二割半程減っている。


『グルぁ!』


「それはもう見たっ…ての!」


『キャウウ!』


「―テェストぉ!」


 怒りの儘同じ様に飛び掛かってきたので、今度は両手で持ちすくい上げる様に木刀で魔犬を跳ね上げる。

 顎をカチ上げ、上半身……いや前半身?をエビぞりに反らせ、上空を見つめる頭部に向かって渾身の一振りを叩きつける。

 カチ上げからの叩きつけによる失墜。魔犬の頭部が地面にめり込み、体の力が入らないのか四肢をだらーんと伸ばし五体投地している。


「……あ、気絶してる」


 魔犬のHPバーの下に、¨気絶¨を表す状態異常のマークが付いている。HP自体も残り二割あるかどうかと言った感じで、魔犬が瀕死に成った事を示してる。……見た目が可哀想な事に成っているが、まあ敵なので遠慮なく倒す。


「はい≪一閃≫。」


『……―』


 首部分に≪一閃≫を当ててHPをゼロにすると、魔犬は声も無く消滅していく。

 戦闘が終わると戦闘の成果を告げるウインドが現れ、今の戦闘で得る事が出来たモノを教えてくれる。……ほう、結構素材を貰えるんだな。今の戦闘で、魔犬から<痩せた犬皮>×5と<鋭い牙>×3がドロップした。


―<種族と職業のレベルが上がりました。15SPと21PPを獲得しました。>―


「お、やっとか。」


 ここまでに大体十二匹ほど倒してきたが、経験値が微々たるものなのか単純にこのゲームのレベルが上げにくいのか、一向にレベルアップの気配が無かった。……多分、上げないといけないレベルが種族と職業で五つもあるんだし、単純に上がり難いのだろう。

 三つ上の敵を倒してやっとレベルが上がったので、ステータスを開きすぐさま割り振る。



―――――――――――――――

「ヒアト」

:種族 

メイン・[電子人間(アバター):Lv2]

サブ・[普人:Lv2]

:職業

メイン・[憑依使い:Lv2]

サブ・[機人使い:Lv2][精霊使い:Lv2]


:ステータス(SP0)(スキル補正)

[HP:11]

[MP:11]

[STR:13(+2)]

[VIT:11]

[INT:20]

[DEX:20]

[AGI:13(+2)]

[LUK:20]


:スキル(PP15)

≪操縦者≫≪精霊術≫≪憑依一体≫≪武具の心得≫≪防御の心得≫

≪調教≫≪契約≫≪格闘≫

―――――――――――――――



「マジでスキル特化なんだなぁ……」


 [普人]の効果で獲得PPが+2され、スキル習得時の消費PPが-2される。その結果、6PP必要なスキルが4PPで取れて、何時でも好きなスキルを習得する為の貯金も簡単に出来る。……スキル特化なのは良いが、今からちゃんと熟練度を上げれるかが不安になってきた。

 因みに、種族効果なしの獲得PPは15PP。メインとサブでレベルアップ時に5PPずつ貰える。


 ステータス項目は今伸ばしているモノに多く振り、あとは均等に分けた。スキルは何故か≪調教≫、≪契約≫、≪格闘≫の三つが習得可能一覧に乗っていたので、取れるのは全部取ろうの精神で習得した。


 それぞれのスキル効果は簡単。


 ≪調教≫はその名の通り、自身より弱いor降参か命乞いをしてきた魔物を従魔として仲間にして、仲間にした従魔にスキルを覚えさせることが出来る様になると言うモノ。

 

 ≪契約≫は、他の存在と契約できる様になる。相手と自身が納得できる内容であれば好きな様に契約を結べるが、契約を破った場合はスキルによりランダムで罰が与えられる。

 

 ≪格闘≫は魔法や武器を持たない攻撃に補正が掛かり、拳や脚を使った攻撃の威力を上げるモノ。ステータス項目の[STR]と[AGI]に+2。


 ≪格闘≫は兎を偶に蹴っ飛ばしたりしてたから習得可能に成ってもおかしくないが、≪調教≫と≪契約≫に関しては全く覚えが無い。……強いて言えば、≪契約≫は新生児(ニューエイジ)だけど精霊のアリセと契約してるからか?


「まあ分らん事を考えてもしょうがない。次はタクトの方を試してみるか」


 別に問題に成っている訳でもないし良いかっとそこで思考を切り上げる。

 道中の兎と今回の魔犬と戦ってきて分かったが、このゲームでは自由に体を動かす事が出来る。バク転をしようとしたら出来るし、宙返りも可能。自分が思う通りに体を動かせるので、これなら一人二人守る対象が増えても問題ない。

 次からはフェクティとアリセの新生児を交えて戦ってみよう。


「さて、俺の新生児はどんな感じに成ってるのかな?」


 その場で見渡すと周辺に魔犬はいない為、新生児たちへの期待を胸に場所を変える。


 あっ、胸に機体(フェクティ)と期待…………割とうまい事言ったのでは?



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