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エボリューション・グロウワールド 略してエボグロ、始動!



―――――――――――――――

「ヒアト」

:種族 

メイン・[電子人間(アバター):Lv1]

サブ・[普人:Lv1]

:職業

メイン・[憑依使い:Lv1]

サブ・[機人使い:Lv1][精霊使い:Lv1]


:ステータス(SP0)

[HP:10]

[MP:10]

[STR:10]

[VIT:10]

[INT:15]

[DEX:15]

[AGI:10]

[LUK:20]


:スキル(PP0)

≪操縦者≫≪精霊術≫≪憑依一体≫≪武具の心得≫≪防御の心得≫

―――――――――――――――



 職業の欄を見ていると最終尾にこの三つが並んでおり、いかにも貴方の新生児との相性は抜群ですよ!って感じだったので、職業をこの三つに決めた。

 職業を決めると、スキルの≪操縦者≫≪精霊術≫≪憑依一体≫が習得可能に成ったので習得して、[普人]の効果でPPが余ったので前線を張れそうなスキルを習得した。


 ≪操縦者≫の効果は、機人や機械と言った絡繰り系統のモノに対して発揮する。機械操作が上昇し、機人に命令を出したり指揮をしたりして、その命令を執行する機人を強化するというもの。

 強化効果に消費MPの軽減もあったので、序盤でも多少はフェクティも戦える様になるだろう。


 ≪精霊術≫の効果は、配下や眷属の精霊を通じて自由に属性魔法を発動すると言うモノ。精霊との意思疎通が完璧に成る程、魔法の自在さは広がり効果も強化される。あと、仲を深めた精霊と契約できる様になる。

 今の所、アリセが使える属性は無属性だけだが人型精霊+新生児なので意思疎通はほぼ完ぺきに取れる。つまり、無属性だけでも色々な使い方を出来る訳だ。……多分。


 ≪憑依一体≫の効果は、他の存在を自身に憑依させ憑依存在の力を借りると言うモノ。憑依させれるのは自身の配下か眷属、従魔や仲の良い存在と言った繋がりがあるモノのみ。また、自身を他の存在に憑依させる事も可能。憑依存在が強力な程、代償が高くなる。


 ≪武具の心得≫の効果は、自身が装備した武器の技を熟練度に合わせて使う事が出来る様に成ると言ったもの。ただ、≪剣術≫の様な武器種の攻撃補正や動きの補正が無いので武器の扱いが自身の腕に依存する。今までやって来たゲーム経験を活かして様々な武器を使いたかったので習得した。

 一様、現実で鎌と刀は扱えるので、最悪その二種を使って過ごせばいい。因みに鎌は親戚の農業の手伝いで、刀はお爺ちゃんが師範代をしていた教室で習った。


 ≪防御の心得≫も武具のと同じ様な効果だ。盾やガードと言った防御に関する技を熟練度に合わせて使える様に成るが、防ぎ方や防御力の補正がない。攻撃を防げるかは自身の技量しだいと言った感じだ。他ゲーで割とタンクもやっていたから、多分きっと大丈夫だろうと希望的観測も込みで取ったスキルだ。


 俺のステータス構成は、序盤は手数を増やしてクリティカルを狙う準幸運技量戦士。スキル構成は新生児たちと連携して前を張る劣化版魔法剣士と言ったところか。………スキル設定の前にステータス項目を割り振れたらもうちょいマシな感じに出来たんだがな。何なら新生児作成を一番最初にさせてほしかった。


「ま、終わった後に文句を言っても始まらないか」


 ステータスやスキル決定を終え、新生児の作成も終わった。すると、ニコニコしながら眺めていたビニーが一冊の本を渡してきた。


「―¨貴方が紡ぐ物語(無題)¨……?」


<それは、この世界で貴方が過ごした全てを描くもの。日誌、小説、冒険譚………内容名称に違いは有れど、貴方が主人公の物語。それを記録するがその本です。これはAIの役割ではなく、私個人のお願い、私の我が儘です。

――どうか、その本を完成させて。私にヒアト様の物語を読ませて欲しいのです。>



―――――――――――――――

〈シナリオクエスト:「紡がれる物語」〉 

 感情抱く電子の命が願う、貴方が描く物語。

¨世界書庫¨に住んでいる「ビニー」から託された、真っ白な一冊の本。

空白の絵本に優しき絵を。描かれぬ冒険譚に激しき旅路を。主演なき日誌に貴方の存在を。

―中身のない本に、貴方の物語を綴りて描こう。

・クエスト内容

種族レベル50以上+合計職業レベル150以上の達成。

・クリア条件

内容を達成した状態で「ビニー」に¨貴方が紡ぐ物語¨の提出。

・推奨レベル 

種族レベル1~50 職業レベル1~150

―――――――――――――――



「……クエストか!」


 シナリオクエストは、所謂連続クエストだ。クリアするごとに新しくクエストが発生していき、時間や労力が割と掛かるがその分達成感がヤバイらしい。少し前に海がエボグロの自慢をしてきやがった時に聞いた事がある。


 ¨エボグロ¨は、只のクエストと言う名のユニーククエストが存在する。

 その理由は、ゲームの住人……¨エル¨の存在だ。エルは従来のAIでは無く、本物の感情があるAI……代わりのいない電子生命体とでも言うべき存在だ。その為、ゲーム内でエルが死ぬと人が死ぬのと同じ様にデータが消滅する。二度と同じエルは生まれる事は無い。

 

 そして、そんなエルだからこそのクエストやシステムが生まれていく。エルの鍛冶屋が一人のプレイヤーに惚れこみ、惚れこんだプレイヤーの専属鍛冶士に成る事でその鍛冶士からは装備を買えなくなったり、親友になったプレイヤーの為に自身を変えてただ一つのアイテムになったりと、色々なクエストや物語がエルの数だけ生まれていく。


 現実と変わらない五感。現実の命と同じ存在が生きる仮想世界。無限の職業に限り無いスキルに因る無量大数のプレイスタイル。

 一プレイヤーが超大型イベントを起こせ、エボグロの未来を変える程の影響力を持てる圧倒的な自由度とやり込み要素。仮想空間に出来たもう一つの現実。その他諸々を含めた無限の要素こそが、エボグロ……¨エボリューション・グロウワールド¨と言う存在を世界で一番熱狂している神ゲーへと押し上げている。


「ああ。面白おかしい冒険を描いて見せるよ。」


<――ええ!楽しみ待っています。……では、貴方もこの世界を楽しんで。>


 とくれば、クエストを拒否する理由は無い。クエストを承諾し、¨貴方が紡ぐ物語¨を受け取る。

本をストレージに入れ、目の前に開いた光の扉の前に立つ。この扉をくぐった先から、俺……PN「ヒアト」のゲームが始まる。


「――さあ……エボグロを楽しもうか!」


 新しいゲームを始める興奮と期待。やはり俺は根っからのゲーマーなのだと思える程に心から溢れるドキドキとワクワクが織りなす喜楽の感情。多分、俺は今凄い笑顔なんだろうなと分かる。

 俺の笑顔を見て何故か嬉しそうにしているビニーに見送られながら、二人の新生児と共に俺は¨エボリューション・グロウワールド¨に足を踏み込んだ。






――エボグロを始めたプレイヤーが初めに降り立つ第一都市¨ヘルアメス¨。


 見た目や雰囲気がザ・ファンタジーな感じのこの都市は周りに生息している魔物のレベルが低く、下位ではあるモノの色々な職業やスキルを覚える事が出来る為、初心者プレイヤーがレベルを上げるには持って来いの場所だ。売っているアイテムも序盤から手に入るものにしては性能が良く扱いやすい。


 そして全ての職業の始まりは下位職から始まる為、欲しい職業を取る為に上級者のプレイヤーも結構な数が滞在している。

 因みに、下位職とか言っているが職業に位は存在しない。これはプレイヤーがパーティーの役割分担をやりやすくするためにそう称しているだけだ。戦闘職や生産職と言った分類わけ、就職難易度や制限は存在するが正確に下位職や上位職と言った区別があるわけはない。


 

 そんな都市に降り立った俺は現在、初期資金で自身が扱えそうな武器を買う為に色々な武具屋を散策している。装備自体は初期配布のものがあるが、まあ初期武器だからあまり性能が良くない。後、単純に職業と相性が良い武器が無かった。

 

「――マスター、これなんてどうでしょうか?強度、効果共に良きものと当機(ワタシ)は思考します。」


「お、どれどれ?」


 新生児はプレイヤーと一心同体の運命共同体だ。プレイヤーが死ぬと新生児(ニューエイジ)もリスポーンする。新生児が倒れると、プレイヤーに何かしらのデバフが生じる。

 その為、新生児は新生児特有の能力としてプレイヤーの仮想世界における精神空間と呼ばれる専用スペースに入る事が出来る。

 これは新生児専用のセーフゾーンとも呼ばれており、専用空間に居る間はプレイヤー関係のものを除き外部との全てを一切通さず遮断する。

 その為、いざと言うときの新生児の緊急避難として良く最前線のプレイヤーが活用しているそうだ。


 因みに、その専用空間に入っている間はその新生児を表す独自の模様がアバターの一部に刻まれる。俺の場合は、両腕を胸元で交差させて両手を剣と銃らしきもので武装しているフェクティを表す絡繰り乙女の模様が、バスケットボール程の球体を包む様に大事に抱え込んで微笑むアリセを表す精霊賢女の模様が胸元に刻まれている。

 

「……ふむ、【初木製の木刀】と【ソードタクト『ファスト』】か。」



―――――――――――――――

【初木製の木刀】

一般的な木々に比べて少しばかり頑丈で良質な初木で作成された木刀。

僅かだが大地の魔力が宿っている為、大地系統の属性威力が少し上がる。

:[品質:普通][耐久値:最大][攻撃補正:打撃]

・装備効果

『耐久値上昇(小)』『属性補正・大地(極小)』


【ソードタクト『ファスト』】

魔兎の魔核角を核に、鉄や木材を使い作成された少し太めのレイピア型タクト。

指揮杖として魔力を強化して仲間を支援、剣として敵を掃う。杖の役割と剣の役割を持つ二重武装(デゥアルウェポン)

素材と成ったものが全て序盤で手に入るモノなので、特にクセも無く初心者でも扱える。

核と成った魔兎の影響により、刺突攻撃と魔力に補正が掛かる。

:[品質:良][耐久値(杖):最大][耐久値(剣):最大][攻撃補正:魔法+剣]

・装備効果

『魔力補正(小)』『刺突攻撃力上昇(小)』『指揮強化(小)』

―――――――――――――――



 わぁお、配布とは比べ物にならない高性能。これは買いだな。………と思ったが、今の手持ちで買えるのか不安になったので少しだけ購入を待ち、所持金を確認する。

 初期資金が10000マネー。んで、目的のお値段が……1000マネーと6500マネーで合計7500マネーか。買えるが、できれば盾も欲しいところ。お、意外と近くにあったな………って、これ3000マネーもするのか!?……うぅむ、フェクティ達の事を考えると壁役が出来る様に盾は持っておきたい。―あ、待てよ?配布武器を売れば足りるのでは?……まあ、どちらにせよポーション類は買え無さそうだな。


 結局、初期配布されているポーションで何とかすればいいかと言う結論に落ち着き、手に取っていた二つの武器に加え【初木製の木盾】を購入して店を出た。


「さぁて、性能確認も兼ねて早速初戦闘とまいりますか!」


 最初はどれだけ動けるか、どの程度自由に出来るのか確かめる為、フェクティ達を空間に帰還させてソロで挑む。自身の出来る範囲を測り、その後にフェクティ達と連携を確かめる。デスポーンは出来るだけしたくないからな。このゲームに慣れるまでは安全第一で行くつもりだ。

 

…………楽しみだなぁ。

どんな敵がいて、どんなクエストがあるのか。どんな事が出来るのか、どれ位自由に楽しめるのか。


「~~♪」


『~~♪』


 

「『~~♪』」


 

 これからのゲーム生活は楽しいモノになるなぁ……っと思い、気分が上がった俺は途中から参加してきたアリサと一緒にハナ歌を奏でながら都市の外へと歩いて行く。




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