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夜になると  作者: 壱
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第1ラウンド

真夜中の寝静まった時間


その音は必ず聞こえてくる


ガチャッ ガチャッ ガチャガチャッ


誰かが玄関のドアノブを動かす音

その音は、長い時には10分以上続くこともあった。


このマンションに引っ越してきて、まだ間もない。ごく一般的なワンルームのマンションで一人暮らし。その現象は越してきた初日から始まった。


初めは、ガチャッと1度だけ音が鳴る程度だったので、気のせいだろうと思っていた。


それが、2日、3日、4日と毎日のように続くとさすがにこれは異常なのだと気付く。

それに、日を増すごとに音が鳴る時間が少しずつだが、長くなってる気がする。


僕はそこまで怖がりではない。

いけないとわかりながらも心霊スポットには行くし、お化け屋敷だって平気だ。


だから、僕はある日スマホを準備して、その現象が起こるのを待ち伏せることにした。

その瞬間をカメラの映像に収め、そして玄関の扉を開けて、外を確認する。


凄い映像が撮れたら、友達に自慢しよう。

それくらいの、軽い気持ちだった。


その現象が起こるのは、いつも夜中の1時過ぎくらい。

僕はテレビを見ながら待つことにした。


1時を少し過ぎた頃。


ガチャッガチャッ


「きた!!」


少しだけ緊張した。


スマホのカメラを起動しようと、スマホを操作しようとした。


「あれ?電池切れてる?画面が真っ暗で何も映らない。そんなはずはない、だってずっと充電器に挿したままにしていた。

ちゃんと、充電できてなかったのか?

いや、違う。時間を確認するために何度もスマホの画面は見た。その時は異常なかった。充電出来ていなければ気付くはず」


そう考えている間もドアノブは激しく動き音を立てる。


「クソッ、カメラは今日はもういい!

とりあえず、外を確認しよう!」


まずは、覗き穴から外を見てみる。

誰もいない。


僕はゆっくりと、ドアに近づき鍵を開ける。

ドアノブはまだ動いている。


ドアノブに手をかけた。

さっきまで激しく動いていたドアノブはピタッと動きを止めた。


少し手に汗をかいていた。


ガッと勢いよくドアを開けた。


やはり誰もいない。


誰か人が逃げたような感じもしない。


やっぱり幽霊?


再び、スマホを確認すると

あれ、ついてる。

「さっきのは、なんだったんだよ」


その日は結局これ以上は何も起こることは

なかった。


その後も、何度挑戦しても前回と同じ結果だった。

スマホが急につかなくなる。

別にカメラを用意してみたが、それもダメ。

その時だけ、なぜか電源が入らない。


どうしても、映像に撮られたくないってわけか。シャイな幽霊め。


何度も失敗してるうちに、僕は映像に収めることを諦めたのだが、日に日にエスカレートするドアノブの音にストレスを感じ、夜も寝つきが悪くなってきた。


引っ越しから1ヶ月くらいが過ぎた頃。

僕はある作戦をたてる。


あいつが、ドアノブを動かし続けるなら、こっちにも考えがある。

僕はダイニングテーブル用の椅子を玄関に持っていき、その椅子の背もたれをドアノブの下にピタッとハマるように設置した。

このドアノブは、下にしか動かないタイプ。

上には動かないので、上に対しての対策は必要ないのが幸いだった。


自分でドアノブを動かそうとしてみたが、椅子の背もたれがガッチリとハマりビクともしない。


「よし、これで大丈夫。やれるもんならやってみろって感じだ」


そして、夜になる。


僕はドアノブの方が気になったが、明日の朝が早いため今日は早めに寝ることにした。


今日は音に悩まされる事なく、ぐっすり眠れるだろう。


そう思っていた。


メキッメキッ バキッ


突然の大きな音で僕は目を覚ました。


一瞬何が起こったのかわからなかったが、すぐに、ドアノブか!!と気付く。


急いで玄関にいく。


ガチャガチャ ガチャッ


ドアノブが動いている。


つっかえとして、ドアノブの下にガッチリと、固定していた椅子の背もたれはバキバキに折れていた。


ドアノブをとてつもない力で下ろしたことてで、折れたのだろう。


「こいつ、なんてパワーなんだよ!!

こんな力技で来るとは。幽霊ならスーッと入ってきて、椅子をどかすとかできないのかよ?ドアノブ触れるんだから、それくらいできるだろ?てゆーか僕の椅子、どうしてくれるんだよ、マジで」


数分間ドアノブは動き続けたが、やがて音は止んだ。


動かなくなったドアノブを見つめながら、とてつもない敗北感を覚えた。


「あのやろう、今日は負けを認めてやる。明日だ。明日は絶対に勝つ!見てろよ!」


その日から、僕と幽霊のドアノブ攻防戦が幕を開けた。










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