戦う人々5
さらに同日。
13:13
アメリカ サンフランシスコ郊外。
ここでも戦いが起きていた。
野次馬が集まる中、ウェスタン風の巨体男性が挑んでいる。
「なんでだ?何故消えない!」
ショットガンを構え、男は震える。
何度も何度も当てているのに、敵が消滅しない。
現実に関与しない世界のゲーム。
それが売りであったはず。
だが今は、住宅が破壊され、住む場所もなくなった住民が白髭の魔法使いと対峙していた。
「お、おまえは何者なんだ!?」
魔法使いに問うが、魔法使いは何も言わず、手をスッ、と伸ばす。
その手をまじまじと見ていると、中心から渦が生まれた。
「な……!?」
次第に渦が大きくなり、魔法使いの手から離れた。
離れてなおかつ、渦は巨大になり、住民に向かって突き進む。
「うわぁぁぁ!」
「な、なんだこれは!?」
「ひいいっ!」
何もなかった場所に突如、巨大な竜巻が現れ全てを飲み込む。
引き裂かれる感覚はバーチャルではない。
激痛がそれを証明していた。
悲鳴が悲鳴を呼び、次々と住民が空に消える。
「ばかなっ!?このゲームは安全じゃないのか――――!」
その問いにも魔法使いは答えない。
だが男は見た。
一瞬、魔法使いが不気味に口元に笑みを浮かべるのを。
その時、男は悟った。
これは偶然ではなく、何者かが関与しているのだ、と。
「誰か……奴を」
止めて……くれ。
手遅れになる前に……!