タッグプレー
体勢を深く沈め、弓を平行に構えるが風圧によって、どうしてもブレてしまう。
このまま放てば、失速どころか、飛ぶ方向すら解らない。
どうすればいい!?
このままでは、間違いなく雄揮は地面に激突してしまう。
だが──悩めば悩むだけ、時間は経過する。
「あっちに向かいなさい!」
観佳は黒い物体の上で暴れ、物体は頭を雄揮の方向に向けると、空中で大きく翼を広げた。
そのまま観佳を落とさないように、雄揮に向かって加速を始めたではないか。
「よし!」
後は雄揮の剣に矢を打ち込み、それに……。
しかし観佳の言葉が止まった。
矢を打ち込み……どうする?
あんな布に矢を放って、どうしようとしているのか、観佳自身も不明になってきた。
しかし頭に湧くイメージでは貫いた矢を雄揮に握ってもらい、助かるという単純な図柄が出来上がってしまう。
──そんな簡単に上手く行くはずはない。
なのに、どうしてかその行動を止められないのだ。
観佳は覚悟を決めて、急接近する。
矢を口に加え、再度弓を握った。
「観佳!?」
「話かけないで!」
もう2人の距離はほとんどない。
観佳は片目を閉じ、弓に矢を装着する。
キリキリと弓が絞られ、思いを全て矢に託す。
これで外れたら、雄揮は助からない。
観佳は願いを込めて叫んだ。
「当たって――――!!」
放たれた矢は強風にも負けず、一直線に布に向かって飛ぶ。
そのままを維持し、矢は布を貫いたまま、引っ掛かった。
「ナイスショット!」
雄揮は確認するや否や、矢を掴み、素早く白い布を手に巻き付けた。
何をする気だろうかと観佳が見つめる中、雄揮は自分の剣に向かって命令を下した。
「変化!ワイヤー!」
風にはためいていた白い布は、あっという間に頑丈なワイヤーとなり、雄揮を上空に弾き飛ばした。