終われない!
こんな所で終わるのか?
いや、仕方ないのかもしれない。
自分が相手にするには敵が強すぎる。
たった一撃、しかも防いだはずなのにこのザマだ。
雄揮はゆっくりと瞼を塞いだ。
これで終わるかと思うと悔しいが。
「悔し……い?」
そんなバカなことが?
今、自分は諦めて目を塞いだ。
それなのに、今更悔しいと思える自分が不思議だった。
なら、ここで倒れている自分は誰だ?
雄揮は自問自答を繰り返し、答えを掴もうとしていた。
目を閉じて浮かぶのは恋人の泣き顔。
なぜ──泣いているんだ?俺が守れなかったからか?
雄揮は幻影の観佳に手を伸ばした途端、観佳は笑顔で胸の辺りでガッツポーズをしていた。
──ガンバレ!
雄揮はそう聞こえた。
あの泣き虫の観佳が涙を讃えて、自分を応援している。
それなのに自分の姿はなんだ!?
「まだ……諦められないよな?」
そうだろう?観佳──?
ここで倒れて眠れば、待つのは死だけだ!
倒れてる場合ではない!
雄揮は痛みの走る右腕を押さえ、剣を強く握りしめた。
「感謝するぜ観佳!」
剣を握る右手を開いたり、閉じたりしてみる。
多少の違和感はあるが、戦えない程ではない。
雄揮は剣を握り、遥か上空にいる敵を睨み付け、叫んだ。
「伸びろ!!」
叫んだ瞬間、地表から空に伸びる柱は地上から離れた位置に鎮座する鉄塔よりも伸び、想像を絶する高さに伸びた。
ここにいるはずだ!
雄揮はくまなく視線を張り巡らし、敵の姿を確認しようとした。
「雄揮!」
耳の奥底まで響く声。
何度も聞き慣れた、恋人の声だ。
「どこだ!?」