雄揮の前に現れたのは
雄揮は周囲を警戒すると、観佳に指示を出した。
「観佳、ここの敵、解るか?」
「大丈夫!えーとね……『赤眼のベルズ』属性は悪魔だよ」
「上出来!」
雄揮はニヤリと笑い、観佳の頭を撫でた。
「いいか?ここからは作戦で戦う。行くぞ!」
「OK!任してよ!」
雄揮と観佳は背中合わせに駆け出し、大通りへの寸前で影に隠れる。
そして合図として大きく手を振り、位置に着いたと知らせ合った。
「今だ!」
同時に動く2人。
だが敵はいなかった。
「ちっ……ハズレかよ!」
雄揮は舌打ちして小石を蹴飛ばす。
そういえば観佳の方は?
慌てて雄揮は観佳の元に向かう。
反対側にはいなかったが、観佳の方にいたかもしれない。
雄揮は先程と同じ行動を取ると、剣を握った。
「観佳!」
大通りに飛び出した雄揮は信じがたい光景を目の当たりにした。
「な……なんだよ?これは……」
敵の姿はない。
だが変わりに巨大な白い繭が2、3個ほど大通りに横たわっていた。
その大きさは雄揮より4倍ぐらいの大きさだ。
雄揮は繭に近付き、1番近くにあった繭に触れようとした。
だが――
グオオオオ――――――ンンン!!
大地を揺るがす雄叫びに嫌がおうでも雄揮は反応してしまう。
いる。近くに敵が!
観佳の話では悪魔と聞いている。
悪魔。
未知の敵だが、観佳の所在が分からない今、やれるだけやるしかない。
雄揮は繭の裏に隠れ、声が聞こえた方向を向く。
「いつでも来い!」
この時、雄揮の真上に巨大な影があった事を繭の裏に隠れた雄揮には分からなかった。