BATTLE second 終局
雄揮はぶら下がったまま、魔法使いを眺める。
「ふぅ……危ねぇ危ねぇ」
真下にいる魔法使いに刺さった矢は、自分のいた場所でもある。
あの場で浮かばなかったら、撃ち抜かれている所だった。
寸前までは良かったが、まさに紙一重だ。
「バカな……私が人間に負けるだと!?」
突き刺さった矢を見ながら、魔法使いは信じられない心境だった。
全力には及ばないにしろ、人間に遅れをとることすらなかった。
それがこんな少年、少女になんて……。
「俺たちの勝ちだな」
雄揮は天井から離れると、綺麗な着地を決めた。
そのまま剣を突き付ける。
「フフ……みくびっていたわい。だが……」
魔法使いは自分の煙幕弾を使う。
「うわっ?」
真っ白に包まれ、雄揮は腕を盾にして目を閉じてしまった。
数秒後、雄揮が魔法使いを見ると、姿はなかった。
「しまった!」
煙幕弾に気付いた雄揮は慌てて辺りを探す。
<また会おう。くれぐれも殺されないようにな。フハハハハ……>
何処からともなく、魔法使いは笑い声を上げ、消えていった……。
「ち……なんでだ?」
雄揮は今気付いた。
魔法使いは間違いなく、致命傷を受けたはずだ。
それなのに消えなかった。
そしてこの惨事。
窓ガラスは全て割れ、校舎は半壊している。
いざ目にすると、これがゲームでないと、改めて実感した。
この状態で学校が再開することはないだろう。