戦う人々2
今いる場所は寂れたビルのある路地裏だ。
退路は左右しかない。ビルに入りたいが、崩れてケガはしたいと思わなかった。
「右どうだ?」
「大丈夫」
二人の神経が刷り切れかけた時だった。
カラン!
近くで空き缶が転がった。
普段ならなんのことはないが、
「あっちか」
少年の内、1人が光が漏れる場所にゆっくり近付く。
「あ、危ないよ」
臆病な少年が小さく呟くが聞こえていない。
もしかしたらと思うと、寒気がする。
光が射し込む先は大通りだ。
頬を伝う冷たい汗。
小さく息を飲み、壁を背に大通りを覗いた。
そろりと覗くと、青いポリバケツの横に影が見える。
「!!」
そこにいたのは漆黒の羽を持ち、赤眼がおぞましく光る、化け物。
彼の敵、悪魔だった。
幸い気付いてはいないようで、辺りを伺っている。
今しかない!
右手に少年は青い魔法銃を構えた。
「俺の最後の一撃で倒す!」
少年は自分に言い聞かせるように言うと、力強く頷き大通りに飛び出した。
「やい悪魔!」
燃えるような赤い目が少年を捉えた瞬間、少年は引き金を引いた。
バガァン、とド派手な音で放たれた弾丸は白く輝きを放ち、悪魔に当たった。
「やった!」
悪魔を倒したと確信したが、悪魔は……
「え?消え……ない?」
少年は唖然としていた。
どんな一撃でも当たりさえすれば倒せる。
それが当たり前だった。
だからこそ少年は驚く。
魔法銃から放たれた弾丸。
間違いなく当たったのに、と。
「た、助けて―――!!」