BATTLE second 先手は魔法使い
それは信じられない事だった。
雄揮が武器強度変換を選ぶと、なんと1〜9まで変換可能だったのだ。
観佳の武器強度変換は1〜4。
雄揮はとんでもない数の変換が可能になっていたのだった。
まさに最高の変換を可能にするものだ。
雄揮はPSASを片手にニヤリと笑みを浮かべる。
「雄揮……どうしたの?」
「観佳……俺は天才かもしれない」
観佳が怪訝そうにする。
その時だった。
「うわぁ!」
「キャア!?」
突然、自分達のいる場所の前方に大きな爆発が起きた。
白煙に包まれているが、微かに見える穴は自然に起きたものではない。
雄揮は観佳を守るように立ちはだかった。
「やっと見つけたぞ」
白煙からゆっくり伸びる黒き布。
漆黒に包まれた魔法使いが、ジワリジワリ、と歩を進めてきた。
「雄揮!退いて!」
観佳はなりふり構わず、矢を放つ。
近距離にいた雄揮の頬をかすめ、矢は魔法使いに飛んだ。
当たる寸前、マントに弾かれたが。
「あ……」
「観佳!?」
カラン、と観佳の弓が地面に転がる。
先程まではこれで対抗出来た。
勝てる自信もあったのだ。
けれど今度は矢を弾かれた。
この時点で観佳は敗けを悟ったのだ。
「人間にしては手こずったよ。だけどそれも終わり。潔く消えるがいい」
魔法使いは両手を組むと、再び呪文を唱え始めた。
今度こそ逃げ場はない。
観佳は諦めたようにうなだれる。
「まだ、負けてねぇよ。観佳、諦めんな」
雄揮は観佳を励まし、両手に何かを握る。
「死に損ないめが。まだ諦めてなかったか」
「悪いな。諦めるには足りないんだよ」
「足りないだと?」
「お前みたいな弱い奴じゃ恐怖がな」
「面白い!」
魔法使いが更に魔力を高める。
「ならば喰らえ!『ブレイクホール』」
「うお!??」
魔法使いの魔法が雄揮のいる地面を割り、雄揮は観佳を庇いながら下に落ちた。