BATTLE second 観佳の実力
観佳は必死だった。
自分がどうなろうが構わない!
だけど雄揮だけは守りたい。
それが強く現れ、観佳の矢は先程以上に強くなっていた。
「ぬう……こしゃくな真似を」
イラついたように魔法使いも風の刃を雄揮に定める。
決して止まらない観佳の連射。
魔法使いは更に速度を上げる。
「ああああああっっっ!!!」
「ぬぅぅぅぅっっ!」
もはや人間技ではない。
観佳の力は既に音速に近付いている。
魔法使いも焦りを感じつつあった。
「すげぇ……」
真上で繰り広げられる高速の戦い。
刃が降る寸前を矢が抜け、掻き消している。
雄揮に一切当たらず、雄揮は観佳を見た。
必死に、ひたすら必死にそれは現れている。
汗も脱水寸前なのに止まらない。
雄揮は自分に問う。
なんとか観佳を助けてやれないかと。
「この、いい加減にっっ」
「また上がった!?」
魔法使いの速度に際限はないのだろうか?
あれほど必死な観佳よりまだ早い。
しかし観佳は諦めていなかった。
雄揮は不思議に思い、観佳の弓を見る。
なにも変わらないはずなのに、強度が、威力が違う。
雄揮は決死の思いで、観佳に向かって跳んだ。
「雄揮!?」
「観佳!お前、なにしたらそんなに強くなった?」
観佳は矢を放ちながら、腕を指す。
小さな声で「武器の強度」とだけ言った。
雄揮は魔法使いに見えないぐらい、小さく頷き、
『PSAS』
を再起動させた。
「そうか……これが」
『武器』の欄を調べ、雄揮は『強度』を選択する。
「え〜と、『武器の強度となるデータを右手に持ってください』?」
雄揮は周りをみるが、何もない。