BATTLE6 観佳 必殺の一撃
観佳は閃いた。
今使用している弓の弦をピアノ線に変えてはどうだろう。
速射率が上がり、僅かなタイミングで打てるのではないだろうか。
元々、弓の弦は切れにくく、頑丈である。
しかしピアノ線の頑丈さはしなやかな上、弾く速度も全く違う。
恐らく今より速い、『速射』は可能だ。
観佳は素早い動作で、
『PSAS』
の『武器』を選ぶ。
『PSAS』には
姿、形は変わらないが、物質のデータを使い、より頑丈に強く出来るシステムがある。
例えば最初は銅で出来た短剣があるとしよう。
そこに鉄パイプなどのデータを入力すれば、すぐさま短剣は『鉄の短剣』に生まれ変わるのだ。
しかも重さは変わらないため、扱いも全く変わらない。
加えられたのは『武器』の強度だけである。
観佳の場合は『弓』のため、変えれるのは、
『矢』『弓』『弦』の3種類だ。
そうこうしている内に観佳の弦が変わる。
「うん。これなら……」
前より気持ち軽い。
間違いなく『速射』は可能だ。
試しに観佳は一撃だけ放つ。
速いのも想定していたが、想定外のことが起きる。
パシュン!
「えっ?」
観佳が驚くのも無理はない。
軽く矢を引っ張っただけの一撃。
それでも矢の速さが異常なのだ。
まるで弾丸のような速さ。
しかもその一撃は相手を貫通してしまい、フェイントバードは地面に倒れる。
「………………」
唖然とする観佳の前でフェイントバードの姿は灰になって消えた。
呆気ない。
あまりにも呆気なく、観佳は戦いに勝った。
だが、それはピアノ線の強力な弾力があったからだが。