BATTLE5 敵の猛追 観佳
空中で苦しそうに蠢くフェイントバード。
弱点である右目を今なら狙えそうだ。
だが観佳は未だに動けない。
なぜ苦しそうにしてるのか、という理由を求めていた。
「分からない……」
やはり解せない。
コンパクトミラーに太陽は反射しなかった。
ここが教室じゃなければ、周りにある何かだと分かるだろうに。
考えても答えは出ない。
観佳はコンパクトミラーを閉じてみた。
「あ……なんだろうあれ?光ってる?」
ちょうど、コンパクトミラーの真下にそれはあった。
「これって……」
落ちていたのは何かの破片だった。
数日前に教室で授業に使った刃物の破片だ。
これに太陽光が反射したのだろう。
なんてことない偶然が重なって観佳は助かったのだ。
「よし、行くわよ!」
トリックが判明した途端、フェイントバードが動いた。
しかしそれよりも早く観佳が動く。
フェイントバードの爪が観佳をかすめ、衣服に爪痕を残した。
やはり近距離から狙うのは危険だ。
観佳は教壇まで突っ走る。
それを見たフェイントバードが窓から飛び込んできた。
「もう……あと少しなのに!」
真っ直ぐに迫るフェイントバードを寸前で躱す。
体勢の整わないまま躱したため、弓を構えるに至らない。
「当てさえすれば」
間違いなく勝てるのに……。
それは遥かに叶わない。
敵は更に速度を上げ、観佳は躱す。
敵はそのまま窓際にあった、ピアノにぶつかった。
「痛っ!」
肌に当たった糸より頑丈な線。
よく見るとそれはピアノ線だった。
もしやと思い、ピアノを見るとピアノは案の定、大破している。
「ピアノ線……」
指でクリクリ回し、引っ張ったり弾いてみる。
なかなか頑丈ならしく、切れそうにない。
もし、これを使えたら……。
「あれ?私、思いついたかも!!」