BATTLE
みんな参加者だろうか?
いや参加してる人間なら武器を持っているはずだ。
それに『PRAS』が2つしか起動していない事から、時間が流れているのが分かる。
つまり、リアルタイムでの戦い。
あのニュースみたいに物が破壊されるのだ。
「観佳。これは多分――」
「分かってる」
観佳は怒ったように言うと、弓を引き絞った。
同時に雄揮も剣を真っ直ぐ構える。
観佳は外を狙い、雄揮は教室の外を見張る。
「来る!」
雄揮の剣に一層、力がこもる。
観佳が叫ぶ。
「こっちにも現れたわ!」
「冷静に対処しろ。大丈夫だ。いざとなれば俺が……」
「任せて。心配はいらないから」
この日の観佳はいつになく頼もしかった。
今までなら、観佳は雄揮の後ろに隠れていただろう。
しかし今回は自ら前線に立っている。
雄揮は深呼吸すると、廊下に飛び出した。
廊下に飛び出すと、やはりいた。
「なるほど……お前が敵か」
雄揮はニヤリと笑う。
敵は黒い影を持った、魔術師であった。
強そうだ。
ちょっと手こずりそうだ、と雄揮は覚悟を決めた。
「行くぜ!」
雄揮は勇んで、左足を地面に叩きつけた。
ドン、と廊下を揺らした後、激しく切りかかる。
しかし魔術師もバカではない。
スッ、と半歩下がり、それを受け流す。
雄揮は流された剣を持ち直し、今度は払う。
だがそれすらスルリと抜けられてしまった。
「く……なんて厄介な奴!」