限界突破の恩恵
門を出てすぐに見えていた森に入ると、早速ホーンラビットがぴょんぴょん跳ね回っているのが目に入った。
「ほんとにあの草原って生物が少なかったんだな。
ついでにレベル上げするか。」
今は昼を過ぎた頃、日本で言う14時頃だろう。
「ヘルプ。スキルの熟練度の上げ方は?」
「スキルは、そのスキルに対応する言動や戦闘、修練を行えば上げることができます。
また、モンスターや動物を倒すと経験値の一部が倒す直前に使ったスキルに割り振られます。」
「ふーん、なら素振りとか的当てとかは?」
「剣の素振りは剣術、的当ては弓術等です」
「そっか。ならとりあえずレベル上げが先かな」
方針が決まったところで10m程先にいるホーンラビットにそっと近付く。
そして草原の時と同じように、思いっきり蹴飛ばした。
ホーンラビットをみつけてはそっと近付き、蹴飛ばすを繰り返す。
最初の1匹を入れて、8匹目を蹴飛ばした時、
「ピンポ〜ン、レベルが上がりました」
クイズ番組の早押しのボタンみたいな効果音と共にレベルアップのアナウンスが聞こえてきた。
ついでに確認してみる
「お、上がったな。ステータス」
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ツキナガ ユウ
Lv 2
ステータスポイント 3
STR 0
INT 0
VIT 0
DEX 0
AGI 0
HP 13/13
MP 53/53
物攻 104
物防 104
魔攻 104
魔防 104
速度 104
スキル
限界突破 ヘルプ 必要経験値減少
スニーク+1
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「おぉ、スニークってやつ覚えてる。確かに、コソコソやってたからな。
で、HPとMPは3ずつ、その他は4ずつ上昇ね。たぶんだけど。
ついでに、ステータスポイントも使っちゃうか。」
ステータスポイントの所をタッチすると、それぞれの説明文まで出てきた
STR:主に物攻が上がる
INT:主に魔攻が上がる
VIT:防御力と体力が上がる
DEX:器用になる
AGI:主に速度が上がる
「ん?器用になる?まぁ、俺がやってたゲームでは、詠唱速度とか命中率とかが上がってたから間違ってはないか。」
「う〜ん…。とりあえずSTRに2、VITに1振っとくか。」
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ツキナガ ユウ
Lv 2
ステータスポイント 0
STR 2
INT 0
VIT 1
DEX 0
AGI 0
HP 23 /23
MP 53/53
物攻 114
物防 109
魔攻 104
魔防 109
速度 104
スキル
限界突破 ヘルプ 必要経験値減少
スニーク+1
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「これでよしと。また、薬草探しながらレベル上げ続行だな。」
〜6時間後〜
「……やばい、没頭し過ぎた。」
自分のステータスが上がるのが楽しくて、つい時間を忘れてモンスターを狩りまくってしまった。
辺りはほとんど真っ暗で、狼の遠吠えまで聞こえてきた。
今は先程みつけた大樹の洞の中に座って休んでいる。
何故帰らないかと言うと、レベル上げに没頭し過ぎて自分の場所が分からなくなったからだ。
やる事が無さ過ぎてステータスを開く
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ツキナガ ユウ
Lv 15
ステータスポイント 39
STR 2
INT 0
VIT 1
DEX 0
AGI 0
HP 62/62
MP 92/92
物攻 166
物防 161
魔攻 156
魔防 161
速度 156
スキル
限界突破 ヘルプ 必要経験値減少
スニーク+2 腕力強化+4 脚力強化+4
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途中から隠れるのが面倒くさくなって、みつけたら走って行って殴る、蹴るを繰り返していたら腕力&脚力強化のスキルを手に入れた。
ステータスには反映されないみたいだ。
そこでふと思った。
「ヘルプ、スキルの後ろの+値って何?」
「+値はスキルレベルのようなものです。
+値が無いスキルはレベルが存在しないスキルになります。
スキルレベルは最大10段階まで上昇します。」
「なるほど〜。脳筋みたいなスキル欄になりそうだな、はは」
自分が脳筋かもしれない事実に乾いた笑いが出た。
その時、近くでガサガサと草木の揺れる音と獣の唸り声が聞こえた。
「グルルルル……」
おそらく、この周辺に放置したモンスターの死体から漂う、血の匂いに釣られてやってきたのだろう。
その証拠に、ブチッ、グチャグチャと何かを咀嚼する音があちこちから聞こえてくる。
気になって少し顔を出して見てみる。
そこには、黒い毛の体長1m程の狼が3匹、各々少し離れた場所で死体を捕食している。
ふと、倒せるのか試したくなった。
ステータスを割り振る。
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ツキナガ ユウ
Lv 15
ステータスポイント 0
STR 17
INT 0
VIT 10
DEX 0
AGI 15
HP 152/152
MP 92/92
物攻 241
物防 206
魔攻 156
魔防 206
速度 231
スキル
限界突破 ヘルプ 必要経験値減少
スニーク+3 腕力強化+4 脚力強化+4
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ついでにスキルの説明も一応読んでみる。
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必要経験値減少
レベルアップに必要な経験値が
減少する
※限界突破可能
スニーク+2
隠れる時、周囲に気付かれにくくなる
腕力強化+4
腕力が強化される
脚力強化+4
脚力が強化される
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必要経験値減少の説明に限界突破可能と赤文字で書いてある。
すかさず限界突破させる。
「スキル〈必要経験値減少〉がスキル〈限界突破〉の効果により〈必要経験値減少+2〉になりました」
ーーーーーーーーーーーーーー
必要経験値減少+2
レベルアップに必要な経験値が半分になる
ーーーーーーーーーーーーーー
準備ができたところで、そっと洞から出る。
1番遠い、15m程離れた狼に狙いを付け、思いっきりジャンプする。
「キャンッ!!」
少し跳びすぎて狼の上に着地してしまった。
下の狼は死んではいないもののかなりぐったりしている。
「「ワォーーン!!」」
その光景を見た他の狼達は、いきなり遠吠えし始めた。
四方八方で草木がガサガサ鳴っている。
どうやら増援を呼ばれたようだ。
「耐久力はあんまり無さそうだな。」
と、独り言を呟きつつ、下の狼にトドメを刺して立ち上がると、後ろから急に首を噛まれ、押し倒された。
「ッ!いってぇな、クソが!」
後ろに手を回し、狼の首を絞める。
すると、口が開いたので脱出し、渾身の蹴りをお見舞する。
狼は木にぶつかって死んだようだ。
首から少し血が出ているが構っている暇は無い。
攻撃が当たれば倒せる、ざっと10匹ぐらい増えたが、問題ないだろう。
「ほら、こいよ」
手を叩いて挑発する。
すると次々に飛び掛ってくる。
それを片っ端から殴って、蹴ってを繰り返す。
レベルアップする度に身体が軽くなり、力が湧き上がるような感じがする。
しかし、そう簡単に当たらない。
数十秒後、数が減ってきたと思ったらまた遠吠えし始めた。
どんどん狼が集まってくる。
「ハァ…ハァ…どんだけいるんだよまったく…」
それを10分程繰り返していると、流石に諦めたのか狼達は少しずつ逃げ始めた。
「ぜェ……ぜェ………もうちょっと…ハァ…早く……諦めて欲しかったな……はぁ。」
こんなに激しく動くのは、ずっと帰宅部だった俺にはかなり厳しかった。
ステータスが上がってもスタミナはあまり変わらないようだ。
ヘルプに聞いてみると、あの狼はシャドウウルフという名前だと分かった。
闇に溶け込み、持ち前の素早さで命を刈り取る。
所謂、初心者殺しのモンスターだそうだ。
門番さんが言っていたのも、アイツららしい。
かなり疲れたが、それに見合う収穫もあった。
ホーンラビットやスライムと違って一体ずつの経験値が高かったようだ。
木の洞の中に戻って、ステータスを開く。
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ツキナガ ユウ
Lv 40
ステータスポイント 75
STR 17
INT 0
VIT 10
DEX 0
AGI 15
HP 227/227
MP 167 /167
物攻 341
物防 306
魔攻 256
魔防 306
速度 331
スキル
限界突破 ヘルプ 必要経験値減少+2
スニーク+3 身体強化+3 自然治癒+2
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レベルがかなり上がり、新しいスキルも覚えた。
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身体強化+3
身体能力が強化される
自然治癒+2
1秒毎に+値分、HPを回復する
ーーーーーーーーーーーーーー
「ヘルプ〜、腕力と脚力の強化どこいったの?」
「腕力強化と脚力強化のスキルは耐久力強化を習得し、統合されました。
+値は1度リセットされています。」
「統合とかあんのか。ごちゃごちゃしないで済みそうだな。
…そういえば、必要経験値減少の限界突破できる?」
「可能です。実行しますか?」
「頼む。あと、他のスキルも限界突破できるようになったら教えてくれ。」
「承りました。」
「ありがとう。…ふわぁ〜……
休憩したら眠くなってきたな。
どうせ夜中じゃ門前払いだろうし、ここで寝るとするか。」
明日は宿で寝たいな………zzZ
またアテナ達に戻りますm(*_ _)m