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謎の集団

新キャラ登場で、久々に筆がノッてます(ง ˙-˙ )ง(やっと登場です)

 迷宮を出るまでに多少のモンスターと遭遇したものの、特に問題なく入口まで戻って来られた。


 アルリスが連絡してくれたお陰で、入口の前には準備の整った馬車が用意されていた。


 アテナ、ガルム、アルリスと次々に馬車に乗っていく中、妙な気配を察知した。


 空間にぽっかり穴が空いており、それが複数個動いているような気配だ。


 そして、それぞれの穴の気配の近くに、不自然に動き回っている人のような気配がする。


 かなりの速度で移動していて、逃げているようにも感じる。


 気配を遮断した集団にでも追われているのだろうか。


 だが、気配は気配。実際に見てみなければ正確な事は分からない。


「皆さん、少し気になる事があるので少し待っててもらえますか?」


「ん?どうした?」


 ガルムが不思議そうにしているが、気にせず走り出す。


「あ、おい!…ったく。どうしたってんだ…?」


「ガルムさん、ユウさんは森の方へ向かいました。はぐれてしまっては事ですので、一旦大人しくしていましょう。」


「…まぁ、ユウなら大丈夫か。」





 気配のした場所は、迷宮から出て左側にある森の中だ。


 森の中はおそらく足場が悪いはず。それに、木も邪魔なので、このまま森を進むと追いつけないかもしれない。



 空から行く方が手っ取り早い。



 実験も兼ねて狂化を発動し、以前に比べてかなり上昇したステータスをフルに使って、気配のした方へ跳躍する。


 その瞬間、身体にかなり強い負荷がかかる。


 流石にフルパワーだと速すぎるようで、目を開けていられない。


 上昇速度が落ちてきたので目を開けると、辺り一面真っ白だった。


 この世界に来る時に女神様と話をしたあの部屋のように…。


「へ?死んだ?」


 突然の事で、混乱する。


「…マスター。雲の上です。」


 ヘルの声から、呆れが伝わってくる。


「………うん。」


 なんだかすごく恥ずかしい。


 それにしても、思いっきり跳べば雲の上まで来れる、とは思ってもみなかった。


 今更だが、この世界でもかなり上位の強さを持つであろうガルムのステータスが気になってきた。


「マスター、大気を足場だと思って蹴ってください。」


 突然、ヘルが変な事を言い始める。


 しかし、これだけの脚力があればいけるかもしれない。


 試しに空中を、両足でジャンプする要領で蹴ってみると、1m程移動することが出来た。


「スキル 空翔そらかけを獲得しました。」


「ありがとう、ヘル。もしかして、スキルの取得条件とかわかるの?」


「私達ヘルプは、元々マスターのような異世界の方々をお助け出来るよう、この世界のデータベースから情報をインストールされています。

 何でもわかるわけではありませんが、国ごとの大まかな歴史や地理、スキルや称号の獲得条件等はほぼ全て記憶しています。」


「そっか、元々そう言うスキルだったんだもんね。

 言葉も流暢になったし、普通の人間みたいな感覚で話してたよ。」


「いえ、そう思って頂けるなら幸いです。

 どうせなら、友人、親友、姉、妹などと思ってもらっても構いませんよ?

 私は、マスターであれば大歓迎です。」


 どうやら揶揄っている訳ではなさそうだ。


 さっきも思ったが、人格を得たことで感情が芽生え始めているのだろう。


 そのうちヘルの身体も用意した方が良いのかもしれない。


 そうこうしているうちに、結構時間が経ってしまった。


 話している間も、空翔で浮かび続けていたので、高度はあまり下がっていない。


「マスター、そろそろ向かった方が良いかと。」


「うん、そうしよう。」


 空中を蹴るのを止め、自由落下する。


 ぐんぐん高度が下がり、雲の中に突入する。


 濃霧に包まれているような感じで、周りがほとんど見通せない。


 少しして雲を抜けると、森の中に木が揺れている場所が目に入る。


 結構な速さで動いている為、おそらく気配の正体達だろう。


 視界の端には迷宮の入口と馬車、そして大きめの破壊跡が見える。


 跳躍した衝撃で出来た跡だろう。後で説明しなければ…。


 高度もかなり下がって来たので、空翔で森の上空を飛んで追いかける。


 ついでに、遠見を使って観察する。


 全身真っ黒の人が木の枝を飛び回って逃げている。


 その後ろから、全身真っ黒の集団が四方から追いかけている。


 集団の方は、全部で4人。短刀や杖、弓を所持しており、時折攻撃を仕掛けている。


 追いかけられている方は、後ろが見えていると言わんばかりに攻撃を避けている。


 懸念通り、ただ事じゃないようだ。


「同じ服装だけど…。仲間割れか?それともスパイ?」


 見るからに怪しい奴らに関わりたくはないが、目の前で殺人を見せられるのはあまり気分の良いものではない。


 後ろを強めに蹴って加速し、間に割って入る。


「すみません、お話を伺いたいのですが…」


 追手の4人はそれぞれ武器を構える。


 話す気は無さそうだ。


 一対多の戦闘は、まず支援を行う後衛を潰すのが定石。


 後衛は弓と魔法が1人ずつ、攻撃が早いであろう弓使いの方に突進して腰周りを掴む。


 そのまま魔法使いの方に投げ飛ばすと、2人とも木に激突して気絶した。


 前衛は短刀2人、突然の事に驚いているのか後退りしている。


「すみません、お話を伺いたいのですが?」


 さっきより少し強めに言ってみると、


「貴様には関係ない事だ。部外者が首を突っ込むんじゃない。」


「殺されそうな人を見殺しにするなんて寝覚めが悪いじゃないですか。」


「貴様には関係ないと言っただろう。だが、我々の仕事を見た以上、生きて返す訳にはいかんな。」


「まぁ、でしょうね。だってめちゃくちゃ怪しいし…」


 こちらが話している最中に、2人が別々の方向から斬りかかってくる。


 が、遅いので余裕で回避出来る。


「人の話は最後まで聞きましょうって習いませんでした?」


 もう話す気は無いらしい。黙々と攻撃してくる。


 避けながら、どうやって無力化するか悩んでいると、不意に攻撃が止んだ。


 見ると、2人とも息切れしている。


 隙ありと後ろに回り、1人の首を掴んでもう1人に投げる。


 2人はまとめて飛んでいき、地面に落ちて気絶した。


「さてと、どうしようこの人達。」


 とりあえず4人まとめて、ローブやツタ等を使って縛り上げた。


「もう出て来ていいですよ。」


 木に隠れているのだろうが、気配感知でバレバレである。


 出て来たのは、全身真っ黒の服に真っ黒のマスク、出ているのは金の瞳を持つ目とその周りだけのおそらく女性だ。


 身長は約150cm、かなり小柄だ。


「…ぁ、ありがとう…」


「僕は、月永悠。悠とでも呼んでください。…えーと、仲間割れですか?」


「ま、まぁそんな感じ…。

 アタイはリリィ。訳あって教団から追われる身になったんだ。」


 敵じゃないとわかったのか、少し元気になった。


「ん?教団?それって、エルダス教ってこと?」


「エルダス教とは別の宗教だよ。というより、エルダス教を敵視している過激派の宗教だね。」


「そんなのあるんだ…。こいつらの連絡手段は?」


「通信魔道具と伝書鳩。一応取り上げておいた方が良いと思う。」


 4人の服の中を探ると、アルリスが持っていたのと同じ水晶玉が4つ出て来た。


「じゃ、僕は戻るけど、どうする?」


「あ、アタイも一緒に行く!…その……身寄りが無いというか…なんというか……」


「うん、わかった。じゃあ、少し飛ぶからしっかり掴まってて。」


「わ、わかった。」


 縛り上げた4人を担ぎ、反対の腕にリリィが掴まる。


 狂化を発動し、来た時よりかなり弱めの力で跳躍する。


 木の上5m程の高さまで上がった。


「ゔにゃァァァ!!高いにゃァァァ!!」


「あ、ごめん。ちょっと我慢して。」


 リリィが猫みたいな悲鳴を上げているので、馬車までさっさと戻る。


 数十秒程で馬車の所まで戻って来ると、ガルム達が怪訝な顔でこちらを見つめていた。

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