過去の記憶?
時が経つのは早いですね〜。
いつの間にかこの小説も、1周年を過ぎていました…。
まだまだ先は長いので頑張って書いていきます( ˶˙º˙˶ )୨
暗い暗い闇の中を、重力に任せて落ちていく。
ふと、意識を失っている間に見た、走馬灯を思い出す。
かつて、小学生の頃に両親と行った遊園地。
楽しかった思い出のはずなのに、なぜか違和感が消えない。
僕に親はいないはずだ。
死んでしまったとか、どこかに失踪したとかではない。
元から存在しないのだ。
記憶にすら存在しない人物との思い出が、確かに存在する違和感。
1つの違和感に気付くと、かつての日常に潜む違和感にも気付く。
なぜ、親も兄弟もいなかったのに、普通に生活が出来ていたのか…。
なぜ、親がいないことを、今まで疑問に思わなかったのか…。
そもそも、自分はどこから産まれたのか…。
『マスター』
ヘルの声で、意識が現実に引き戻される。
「ヘル…。ど、どうしたの?」
『マスター、後ほどお話があります。今は、厄災に集中してください。もうすぐ地面です。』
頭の中はヘルには筒抜けのようだ。
「…わかった。ありがとう。」
『お気になさらず。』
闇の中をぐんぐん落ちて、遂に地面が見える。
丁度、ガルムと厄災が睨み合っている所に落ちてきたようだ。
そして、そのまま勢いを落とすことなく着地する。
盛大に土煙を上げつつ、体の状態を確認するが、特に異常は無さそうだ。
「…おー痛くない。それにしても高かったなぁ〜。」
独り言を呟いていると、横から声が聞こえる。
「なぜ、お前が生きてる?さっき殺したはずだ。」
厄災が戸惑っているが、とりあえずシカトしておこう。
それより、ガルムが心配だ。
目立った異常は無さそうだったが、万が一がある。
「あ、ガルムさん。大丈夫でしたか?」
「ユウ…か。ったく…。気の抜けたこと言うんじゃねぇよ。
俺があんな奴に負ける訳ねぇだろうが。」
まだまだ大丈夫そうで安心した。
「それで、厄災はどこに?」
本当は、気配感知のスキルで気付いているが、知らないフリをする。
「馬鹿!後ろだ!!」
ガルムが叫びながら走り出したのが見えた。
「お前だけは絶対に逃がさない。次は確実に絶命させる。」
続いて、すぐ後ろから厄災の声も聞こえた。
頭上から攻撃の気配がしたので、右に1歩動いて躱す。
心做しか、周囲の動きが遅い気がする。
すぐ横に厄災が、地面に斧を振り下ろしているのが見えた。
振り向きざまに、身体の捻りを利用して、厄災の顔面に蹴りを入れる。
厄災は、避ける素振りもなく蹴りを受け、そのまま後ろに飛んで行った。
「…意外と呆気ないな。」
あまりにも呆気なくて、呆けていると、ガルムが不思議そうに見てくる。
「ユウ。お前、そんなに強くなってたのか?」
「えーと…いろいろありました。ははは…。」
正直、自分でも頭が追いついていない。
厄災の件が片付いたら、1度整理してみよう。
「まぁ、いいか。俺としてもその方がありがたい。」
ガルムと談笑していると、奥から足音が近付いてくる。
「お前、一体なんなんだ?」
未だに厄災は戸惑っているようだ。
「なんなんだって言われても困るんだけど…。」
「この短時間で何をした?…いや、いい。お前は殺す。」
どうしてそんなに殺意が高いのか分からないが、迎え撃つしかなさそうだ。
それに、早く片付けて考え事をしたい。
「僕も別の用事があるから、次で終わらせるよ。」
挑発混じりの宣言をすると、明らかに厄災が苛立っているのが伝わってきた。
しかし、さっきの手応えからして、渾身の一撃をお見舞すれば、頭ぐらい砕けそうだ。
厄災が、腕を大きな刃に変えて突っ込んで来る。
流石にあの刃を受けると、怪我してしまいそうだ。
「オレの前からさっさと消えろ。」
厄災が跳躍し、両腕を振り上げて切り付けてくる。
それを、厄災の下を潜って回避。
後ろで跳躍し、がら空きの背中に両足で飛び蹴りを入れる。
そのまま一緒に落下し、左足で地面に押さえ付けて、何かされる前に右足で頭を思いっきり蹴り飛ばす。
しかし、思った以上に頑丈で、動きは鈍くなったものの、仕留めるには威力が足りなかった。
「ユウ!離れろ!!」
声が聞こえて上を見ると、ボコボコと沸騰したような赤いエネルギーを右手に纏うガルムが、回転しながら落ちてきていた。
急いで飛び退くと、ガルムは雷でも落ちたかのような爆音を鳴らし、迷宮の地面を破壊していった。
5層程破壊して、ガルムの勢いが止まる。
『ヘル、厄災は?』
『絶命しています。』
『ありがとう。』
「ガルムさん!厄災は倒せたみたいです!」
「だな。ったく…頑丈にも程があるだろ。」
人間ではないにしろ、初めて会話の出来る生物を殺した。
あまりいい気はしない。
が、仕方ないと割り切るしかない。
「ガルムさん、倒したのは良いんですが、死体はどうします?」
「そうだな、念の為回収したいが、今の状態で、こいつを担いで上まで登るのは、少し骨が折れる。」
どうしようか悩んでいると、ヘルが話しかけてくる。
『マスター、魔力の袋をイメージしてください。』
『魔力の袋?』
『はい。魔力で作った見えない袋です。』
『わかった。』
適当に、スーパーやコンビニで貰えるビニール袋を想像する。
『その袋に厄災を入れるようにイメージしてください。』
ヘルに言われた通りにすると、目の前にあった厄災の死体が一瞬で消失した。
「な?!何かしたか?ユウ。」
『スキル 収納を獲得しました。』
「えっと、僕のスキルです。」
袋に入れるイメージで収納出来るなら、そこから出すイメージで排出出来るはずだ。
すると、目の前に厄災の死体が現れた。
「そ、そうか。流石に焦ったぞ…。」
「すみません。では、登りましょうか。」
「ん?この穴を登るのか?」
「え?違うんですか?」
「まぁ、そっちの方が速いか。よし、行くぞ。」
1層ずつ穴を登って行き、アテナの所に戻って来た。
周りを見ると、他の人達も全員見える範囲まで戻って来ているようだ。
アテナがこちらに気付き、駆け寄ってくる。
「ユウさん!ガルムさん!厄災は…」
「おう!ちゃんと倒してきたぜ!」
「厄災の死体は、僕のスキルで収納しています。必要になったら言ってください。」
「ありがとうございます。
お二人共、ご無事で何よりです。細かい傷の治療をしたら、王城まで帰りましょうか。」
厄災を倒したのは良いものの、気になる事が多すぎる。
ヘルも後で話があると言っていたし、早く帰って話をしたい。
考え事をしている間にも治療は進み、アテナに声をかけられる。
「ユウさん?どうかしましたか?」
「あぁ、いえ。少し疲れてしまったもので…ははは…。」
「それもそうですね。では、早く帰って休みましょう!」
そう言ってアテナはニッコリ笑った。
感想、ブックマーク、評価等々よろしくお願いしますm(_ _)m




