表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

23/25

2度目のピンチ

「アルリスさん、少し良いですか?」


「ユウ殿か。無事で何よりだ。どうかしたか?」


「はい、少し身体を動かしておきたいので、モンスターがいないかと思いまして。」


「了解した。少し待ってくれ。」


 アルリスはそう言うと、懐から直径5cm程の水晶玉を取り出した。


「各員、周辺にモンスターはいるか?」


 アルリスが水晶玉に向かってそう言うと、チカチカ光り出した。


「こちら東側。前方にストーンゴーレムらしき巨岩を確認。現在、動きはありません。」


「こちら南側。少し離れた場所にオークを数匹捕捉しています。」


「こちら西側。現在、モンスターは確認されていません。」


 水晶玉から声が聞こえてくる。

 通信魔道具のようだ。


「オークとストーンゴーレムがいるらしい。ユウ殿、どちらにする?」


 体に慣れていない状態で知らないモンスターと戦うのは気が引けるので、オークにする。


「オークの方に行ってきます。」


「わかった。気を付けてな。」



 アルリスから場所を教えてもらい、オークの所まで向かう。


 ついでに、少し走ってみることにする。


 幸いここは先が見えないほどの空洞になっているので、壁にぶつかることはないだろう。


 初めて狂化した時は、思いっきり地を蹴ったせいで目が追いつかなかったので、今回は爪先で軽く蹴る程度に留めておく。


「それじゃ、行ってきます。」


 アルリスに一言残して、地を蹴る。


 次の瞬間、南側に居たと思われる騎士達の姿が見えた。


 辛うじて反応できたが、本気で走ったら大変なことになっていただろう。


「あ、どうも」


「な?!一体どこから…」


「驚かせてすみません。こちらでオークを捕捉したと聞いたので、身体を慣らすために少し戦ってきます。」


「え、えぇ、了解しました。オークはこの先に5匹確認されています。お気を付けて。」


「ありがとうございます。」


 お礼の言葉を残して、再度爪先で軽く地を蹴る。


 瞬く間に景色が変わり、オークを捕捉する。


 歩いているのが3匹、座っているのが1匹、寝ているのが1匹、少しずつ離れた場所にいた。


「じゃあ、まずは寝てるやつから…」


 走った勢いそのままに、寝ているオークの横腹に爪先で蹴りを入れる。


 すると、蹴りが当たったオークは弾け飛び、その先の地面に衝撃波が走る。


 その衝撃波は、地面に跡を残しながら100m程飛んで、消えた。


「うえぇ…血が……。この服、捨てるしかないか…。」


 オークを蹴った瞬間、その場で弾けたので、返り血を大量に浴びてしまった。

 今すぐ全身を洗い流したい。


『マスター、残りのオーク達がこちらに気付いたようです。』


「まぁこれだけ騒いだら気付くよね。」


 せっかくなので、防御力も試したい。少し怖いが、オークの攻撃を受けてみることにする。


「ヘルプさん、オークの攻撃受けてみても大丈夫かな?」


『問題ありません。ただ、ダメージはありませんが、衝撃は今まで通りなので、マスターの体格だと吹き飛ぶと思われます。お気を付けください。』


「了解〜」


 そうこうしてるうちに、歩いていたオーク達がゆっくり近付いて来ている。


 座っていたオークはこちらに興味がないようで、動く様子がない。


「ブヒィィィィイイイ!!」


 近付いてくるオークの内の1匹が棍棒を振り上げ、鳴き声をあげながら走ってくる。


 相変わらず鳴き声がうるさい…。


 今回はあえて防御せず、攻撃を受けてみる。


 ヘルプさんの話では吹き飛ぶらしいので、受身を取れるようにしておく。


 オークは10m程の所で、棍棒を両手で持ち、真上から振り下ろしてきた。


 棍棒はそのまま頭に当たり、真ん中から真っ二つに折れてしまった。


「ほんとに痛くないな。…そろそろガルムさんの所に加勢しに行かなきゃ。」


 既に意識が戻ってから5分以上経過している。


 防御力も試し終わったので、残りのオーク達を掃除して、アテナの所に戻った。






「戻りました。」


「?!いつの間に……。随分早かったですね?」


「足が速くなりましたので。」


「そうですか…。ガルムさんはおそらく、何階層か下にいると思われます。」


「そうなんですか?」


「はい。と言うのも、ユウさんが目覚める前に爆音と大きな揺れがありました。

 ガルムさんはパワータイプの方なので、迷宮の床を破壊する事も出来るでしょう。」


「つまり、ガルムさんの攻撃で床を破壊して、もっと下の層に落ちたって事ですか?」


「おそらく。どこまで落ちたのかは分かりませんが、降りる際は気を付けてください。」


「わかりました。では、行ってきます。」





 下の層に続く階段を降りると、大きな穴が見えた。


 覗き込んでも、底が見えない。


「ほんとに穴空いてる…。」


 わざわざ階段を使うのも馬鹿らしいので、この穴に入る事にする。


 しかし、深過ぎて下に何があるか分からない。


「ヘルプさん、ここ降りて大丈夫かな?」


『絶対に大丈夫とは言いきれません。』


「だよねー…。しょうがないか。…そうだ、ヘルプさん、名前決めていい?」


『名前、ですか?』


「うん。人格を獲得したって事は、1つの個体として存在が確立されたってことでしょ?

 だから、名前あった方が親しみやすいなって思って。」


『なるほど。名前を頂けるとは思ってもいませんでした。ありがたく頂戴します。』


「おっけー。じゃあ、ヘルプから取ってヘルにしよう。」


『個体名ヘル。登録しました。』


「よし、じゃあ行くよ!」


 そのまま目の前の穴に飛び込んだ。








 〜ガルム〜


「ちっ、参ったなこりゃ…」


「いつまで逃げ回るつもりだ?

 貴様の攻撃は俺には通じない。さっさと諦めたらどうだ?」


「はっ!てめぇの攻撃も俺には当たってねえだろうが。

 どれだけ強かろうが当たらなきゃ意味ねえよ。」


 厄災の動きは速いが、難なく回避出来る。


 かと言って反撃しても、生半可な攻撃では傷一つ付かない。


 お互い決め手がなく、膠着状態が続いている所に突然、上から黒い何かが降ってきた。


 それは、地面に衝突し、盛大に土煙を上げたかと思うと、ゆっくりと立ち上がった。


「な、なんだァ?」


「…おー痛くない。それにしても高かったなぁ〜。」


「!なぜ、お前が生きてる?さっき殺したはずだ。」


 厄災の声を聞いて、もしやと思っていると、その人影から声が掛かった。


「あ、ガルムさん。大丈夫でしたか?」


 土煙で見えないが、最近よく聞いている声だ。


「ユウ…か。ったく…。気の抜けたこと言うんじゃねぇよ。

 俺があんな奴に負ける訳ねぇだろうが。」


 嘘は言っていない。

 負けはしないが、勝てもしないだけだ。


「それで、厄災はどこに?」


 その時、ユウの背後から厄災が近付き、腕を大きな斧に変えて振りかぶっているのが見えた。


「馬鹿!後ろだ!!」


 叫びつつ、なんとか庇おうと走り出すが、厄災の斧は既に振り下ろされ始めている。


「お前だけは絶対に逃がさない。次は確実に絶命させる。」



 間に合わない。






 そのまま、斧は振り下ろされた。

感想、ブックマーク、評価等々よろしくお願いしますm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ