聖女の力
大変長らくおまたせしましたm(*_ _)m
やっとやる気が復活したので、これからまた更新していきます。(無断休載ごめんなさいorz)
「…やっぱり変だなァ?てめぇ、本当は何処から来やがった?」
「何を言っている?オレはアルバンから来たと言ったはずだが?」
嘘を吐いている様子はない。
「あぁそうかい。知らねぇなら教えてやる。ここは、アルバンだ。」
「…」
「そして、この世界アルバンを創ったのは、お前が大嫌いな、女神エルダスだ。」
「お前らのような生物は見たことがない。それに、明らかに全員オレより弱い。同じ世界とは思えない。」
戦闘もせずに弱いと言われ、ガルムのこめかみがヒクヒクする。
「おいおい…聞き捨てならねぇなァ?誰が、誰より、弱いってェ?」
ガルムの両拳には、既に気のエネルギーが大量に集まっている。
今までにない程のエネルギーを凝縮し、纏うガルムの拳は、白い光を放っている。
しかし、厄災は動かない。
「防御しなくてもいいのかァ?」
「何故だ?」
どうやら、ガルムの攻撃を脅威と見ていないらしい。
「へぇ…後悔すんなよ!全員、この場から離れろ!!」
調査隊の協力を得て、アテナ達は悠の治療をしながら、迷宮を上っていく。
「…まだなのか?」
「もうちょっと待ってろ。」
ガルムはそう言うと、狂化を発動する。
今まで白く光っていた気のエネルギーが赤くなり、ボコボコと沸騰し始める。
さらに、拳を突き合わせ、両拳に纏っていたエネルギーを右拳に集中させる。
「待たせたな。そのままじっとしてろよ。1発で仕留めてやる。」
そう言いながらガルムは、上へ跳び、空中で横にグルグル回転して勢いをつける。
そのまま、厄災の真上から落下し、渾身の力で拳を振り下ろす。
雷が落ちたかのような爆音が鳴り、迷宮の地面を破壊する。
通常、迷宮の地面はかなり分厚い岩盤でできている。
さらにこの迷宮の場合、1層毎の高さもそこそこある為、破壊するのは容易ではない。
そんな地面を1層、また1層と、どんどん破壊していき、10層程破壊した所で勢いが止まった。
「…ちっ。頑丈な奴だなァ」
ガルムの渾身の一撃は、厄災の腕からいつの間にか生えた盾を砕いただけだった。
「言ったはずだ。お前らはオレより弱い。だが、お前は少々厄介だ。」
そう言いながら腕を刃物の形に変え、胸の前で交差させると、消えたかと思う程のスピードで突進してきた。
ガルムは1度防御体勢をとったが、嫌な予感がして後ろへ大きく飛び退いた。
次の瞬間、ガルムがいた場所が真っ二つに切れた。
「良い切れ味じゃねぇか」
ガルムの言うことを一切聞かず、厄災は刃物の腕を振り回す。
「ちっ。キリがねぇ…」
ガルムが気弾を飛ばしても、紙でも切るかのようにスパスパ切られてしまう。
さらに、あれだけ激しく動いていても、厄災は息も切らさずに平然と腕を振り回している。
ガルムは、攻撃を避けながら厄災を観察し、反撃の糸口を探る。
「クソ…何かねぇか……」
〜上層〜
「ユウさん!しっかりしてください!」
アテナが必死に声を掛けながら治癒魔法を発動する。
その間、調査隊の騎士達はアルリスの指揮で周囲を警戒する。
悠は既に意識を失っており、呼吸も止まっていて危険な状態だ。
「きゃ!」
外傷を粗方治し終わったと同時に、大きな地震と共に、下の層から雷のような爆音が鳴り響く。
少しして揺れが収まり、悠の治療に戻ると、微かに呼吸をしていた。
「ユウさん!聞こえますか!」
返事はない。
意識は未だ戻らないようだ。
それならばと、さらに治癒魔法を発動する。
「お願い…生きて……」
アテナは責任を感じていた。
悠はこちらの都合で召喚した人間。
それを、自分達より強いから、障壁が張ってあるからと、無警戒に敵に近付けたのは自分だ。
こんな所で死なせる訳にはいかないと、必死に祈る。
10分程そうしていると、悠の指先がピクリと動き、ゆっくりと目を開いた。
「ユウさん!良かった…。身体に異常はありませんか?」
「…アテナさん、ありがとうございます。今の所は問題なさそうです。」
問題ないとは言っているが、少し怠そうだ。
治癒魔法は、自然治癒力を劇的に高め、身体の内外の傷を治癒する魔法。
そのため、大きな怪我や重い病等の時は本人の体力をかなり消耗する。
「少し休んでください。今ガルムさんが下層で足止めしています。」
ガルムが戦っていると聞いて、悠は少し考えてこう言った。
「…わかりました。5分休んだら僕も下層に向かいます。」
ガルムが心配なようだ。
本当は、一度帰ってしっかり休養した方が良いが、そうも言っていられない。
何より、今の厄災は知性がある。ガルムは強いが、万が一もあり得る。戦力が多いに越したことはない。
悠の身体は心配だが、止める訳にもいかない。
だから、せめてもの願いを口にする。
「…どうか、無理だけはしないようお願いします。」
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