出会い 後編
目が覚めると、空が明るくなっていた。
少し伸びをして、洞から出ようと顔を出すと、茶髪のオールバックで強面の顔が目の前にあった。
「うわっ?!」
びっくりして手を滑らせたが、外の男から手を掴まれた。
「坊主、大丈夫か?」
一応優しい人のようだ。
「あ、えと、大丈夫です。ありがとうございます。」
「俺はエルダス神国のギルドマスター、ガルムだ。
とりあえず出てきな。」
「え、ギルドマスターなんですか?!」
驚きつつも洞から出る。
外にはガルム以外に、金髪で身の丈程の杖を持った、あまり歳の変わらなそうな少女と、深い緑色の髪の女騎士も居た。
「昨日、冒険者登録した15歳の男。
お前で合ってるか?」
「え、15歳……あ!はい、合ってます。」
15歳の身体になっているのを忘れていた。
「?まぁいい。それで、あの惨状を作ったのもお前で合ってるんだな?」
ガルムが、ここからでも見えるシャドウウルフ達の死骸の山を指差しながら言う。
「っ!えぇ〜っと〜、はい…。」
やり過ぎたのだろうか?
決定的な証拠を突き付けられた容疑者の気分だ。
言葉を待っていると、金髪の少女が前に出て話しかけてきた。
「あなたは、別の世界から召喚されましたか?」
いきなり言われて驚いたが、何となく察した。
「え、という事はあなた達は教会の関係者ですか?」
「間違いないようですね。
紹介が遅れました、私はアテナ・エルノーツ。エルダス神国の現国王、エドワード・エルノーツの娘であり、この国では聖女と呼ばれています。
召喚の儀を行ったのは私です。」
金髪の少女、アテナと言うらしい。
遠目では同い年に見えたが、近くで見ると童顔で背も低いため、少し幼く見える。
次は女騎士が出てきた。
「私はアルリス。アテナ様の護衛兼エルダス神国聖騎士団の副団長をしている。」
アルリスは黒髪かと思う程深い緑の髪をポニーテールにしている。
陽の光に当たると、しっかりした緑色で綺麗な色だ。
背は165cmの俺より少し高い。
最後にギルドマスターのガルムが出てきた。
「改めて、俺はエルダス神国の冒険者ギルドでギルドマスターをやってるガルムだ。
何かあったら言ってくれ。」
最初に見た時も思ったが、見た目がめちゃくちゃ怖い。
茶色のオールバックで鬼かと思うような強面、さらに身体もかなり鍛えているのか筋骨隆々で身長もおそらく180cmぐらいある。
相手側の自己紹介が終わったので次はこっちの番だ。
「あ、はい。よろしくお願いします。
僕は月永悠です。お察しの通りこの世界に召喚されました。
教会に出ると聞いてたんですが、何も無い草原に放り出されて驚きました。何か問題でも起きたんですか?」
「ツキナガユウさんですね。よろしくお願いします。
私達にも原因は分かっていません。今、国中の識者達を呼んで調べているところです。」
「あぁ、そうなんですか。出会えて良かったです。あと、ユウで良いですよ?」
「そうですか。ではそう呼ばせていただきます。」
「ところで坊主。お前、武器を持ってないって事はアイテムボックスか?それとも素手か?」
聞いてくるガルムの顔が少しニヤついている。コワイ。
「え〜っと、僕はアイテムボックスは持っていません。
持ち物は今身に付けている衣類と素材を入れる為の革袋だけです。」
「ほぉ…。そうかそうか……。
にしても、シャドウウルフの群れ相手によく生き残れたな?」
何を企んでいるのか分からないが、横の2人が呆れている所を見るとろくな事ではなさそうだ。
「そうですね。昼間のうちにホーンラビットでレベル上げをしていたので、何とかなりました。」
「ホーンラビットでレベル上げ?お前、今レベルいくつだ?」
「え?今は…40ですね。」
「40…。もしかして必要経験値減少とか持ってたりするか?」
「えぇ、持ってますよ。」
「なるほどな、それにしては早い気がするが…まぁいい。
とりあえず、一旦ギルドに戻るぞ。依頼の品は持ってるか?」
「あ、はい。持ってます。」
「そうか、ならさっさと行くぞ。」
〜ギルド〜
ギルドに着くと、依頼の報告をした後にギルマスの部屋に通された。
「さて、来てもらって早々なんだが、坊主の事を聞いてもいいか?」
「分かりました。」
「まず、僕は先程お話した通り、武器は使いません。
武器も良いんですが、武器は持っていないと使えませんし、元々武器なんて扱ったこともありません。」
元々、ゲーム等でも剣士や弓士のキャラより格闘家や拳闘家のキャラの方が好みだった。
その影響もあって自分もやってみたくなったのだ。
ガルムも満足気に頷いている。
「スキルは、今は秘密って事で良いですか?」
「ん?構わんぞ。そもそも簡単に人に教えるもんでもねぇからな。
かくいう俺も今の今まで隠してきたから、そう珍しい事でもない。」
「あ、そうなんですね。…ん?でも…」
「あぁ、スキルを公開してるって話だろ?
あれは、隠す必要も無いスキルとか、調べて欲しいって奴が公開してるんだ。」
「そうだったんですか。僕については、とりあえずそんな感じです。」
「そうか。坊主はこの後、聖女様と一緒に城で国王と謁見してもらう。
服とかはこっちで用意してあるから心配するな。」
「分かりました。」
そう言いながらも国王と聞いて急に緊張し始めた。
そこに、ガルムは
「坊主、これは個人的な事なんだが俺と手合わせしねぇか?」
と言ってきた。
今までガルムの横で静かにしていた2人もギョッとしている。
「ガルム殿、流石にまだ早いのでは?」
「そうですよ。まだこの世界に召喚されて2日目なんですよ?」
「まぁ、そりゃそうだが、あの群れ相手に生きて帰ったんだ、ただのガキじゃなさそうだろ?」
「それは…そうですが……。
しかし、あなたは元S級なんですよ?
しかも、まだ引退してそれほど時間も経っていません。」
とんでもない情報が出てきた。
どうやらこの人、見た目通りかなり強いようだ。
さらに今までの反応から、かなり戦闘が好きなように見える。
「え、S級なんですか?
確か、S級って一国を相手に戦える程の戦闘力があるとか聞いたんですが?」
「なんだ、知ってんのか。
まぁ間違いじゃないが、所詮人は人だ。国相手じゃ分が悪い。
ただ、俺はそのくらいなら自信あるけどな。
勿論そんな事はしねぇから安心しろ。」
この人は見た目も中身もやばい人だったようだ。
本当に鬼なんじゃなかろうか?
思わず乾いた笑いがこぼれる。
「ははは…とりあえず今は保留でお願いします。」
「そうか、そりゃ残念だな。手合わせしたくなったらいつでも言ってくれ。」
出来ればやりたくないが、ガルムはまだ諦めていないようだ。
いつかやる事になるかもしれない。
「じゃ、そろそろ城に行く準備でも始めるか。」
「そうですね、そろそろ連絡がくる頃だと思いますよ。」
その時、部屋の扉がノックされた。
「受付のコリンです。」
「あぁ、入っていいぞ。」
入ってきたのは、俺の依頼の受付をしてくれた受付嬢だった。
「で、どうした?」
「先程、城より封書が届きましたのでお渡しします。」
「ありがとう、仕事に戻ってくれ。」
「はい。」
コリンさんが部屋を出ていくと、ガルムが早速封を開けて読み始めた。
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ガルム殿
異世界の者の捜索、感謝する。
謁見の間にて会合を行いたいところだが、機密事項故、召喚の間にて行う事とする。
それから、あまり緊張しないよう伝えておいてくれると助かる。
エドワード・エルノーツ
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見せてもらうと、どうやら国王様から直々に手紙が来たようだ。
緊張するなというのは少し無理がある。
が、とりあえず準備をしよう。
数十分後、全員の準備が終わって城に着いた。
召喚の間に入ると、明らかに王様という格好の男と護衛らしき騎士、ティアラを頭に乗せた王妃らしき女性の3人に迎えられた。
「父上、只今到着致しました。」
「うむ、ご苦労。
して、そなたが今回異世界より召喚された者か?」
「はい。」
「ふむ、歓迎するぞ。ひとまずそこの椅子に座るといい。」
目の前の椅子に座る。
椅子は魔法陣の周りに沿って置いてある。
エドワード、アリル、ガルム、アテナ、俺が椅子に座るとエドワードが話し始めた。
「では、始めるとしよう。」
少しグダグダ書いてる所もありますがご容赦くださいm(*_ _)m




