プロローグ
俺は月永悠。どこにでもいる普通の高校3年生。
「ふわぁ〜、…今日も暇だなぁ」
と、欠伸しながら1人寂しく帰宅していると、いつも通る空き地の地面に、キラッと何かが光ってるように見えた。
なんとなく気になり、その何かに近づき、手に取ると、どうやら無色透明な水晶の様だった。
「ふむ、よく占い師とかが使ってるやつのちょっと小さいやつだな」
そう独り言を言いながらそのまん丸で手のひらサイズの水晶を弄んでいると、突然視界が真っ暗になり、気を失ってしまった…。
ふと気がつくと、真っ白な四角い小さな部屋にいた。
「どこだここ?」
ドアも窓も無い、ただ真っ白な部屋。試しに壁をぺたぺた触ってみるも、特に反応はない。
何もすることなく、ただ辺りを見渡していると、上からA4サイズ程の紙が落ちてきた。
「 月永悠 貴方は召喚の水晶に触れました。よって、これより貴方達の言う異世界へ召喚されます。
問答無用という訳ではありません。対価を払えば召喚を拒否する事もできます。対価については、身体機能・運・財産の中からランダムで選出されます。
何か質問はありますか?」
「なんだこれ?意味がわからん。てか対価ってなんだよ怖いわ」
そう言いながら、どこか知性を感じ、とりあえず質問してみる
「あんた誰だ?いるなら出てきて直接話してくれないか?もしかしてずっと紙でのやり取りじゃないよな?」
そう言うと、正面の壁が光り出した。
眩しくて、顔を手で覆い、光が収まるのを待った。
光が収まるとその壁には電話BOXにあるような、緑色の電話がおいてあった。
不審に思いながらとりあえず受話器を取ってみると、透き通る様な女性の声が聞こえてきた。
「こんな形になってしまい、申し訳ございません。その部屋は召喚された者以外入ることはできません。それは女神である私も同じです。」
「女神って、本物ですか?!それに異世界って…」
女神相手にタメ口はまずいよなぁ、そう思いながら異世界と聞いてワクワクしていた。
「あなたが召喚されたのは私が創った世界、アルバンです。年に一度の神託により、その世界のエルダス神国という国に召喚されました。」
「なんで直接召喚しないんです?それにエルダス神国ってどんな所ですか?」
明らかに宗教国家だろ。面倒くさそうだなぁ。
「私には世界を創った際、少々力が足りず今後人間に直接干渉出来ないという制約を受けています。なので私自身が召喚する事はできないのです。
エルダス神国は、その名の通り私、女神エルダスを祀る国です。所謂、宗教国家ですね。
その国の大半の人間は私を信仰しています。この世界の事を質問されたという事は召喚には応じてくださるということでいいですね?」
「あ〜、まぁ召喚には応じます。元の世界はどうせ暇だったので。ただもう少し質問してもいいですか?」
俺は元の世界ではぼっちだったからな。それに親も兄弟もいないから俺がいなくなっても別に問題は無い。
「それは勿論です。その部屋は時間の流れがほぼ止まっているような状態なのでお気になさらず。」
「そうですか。なら質問させていただきますね。」
「はい、遠慮なくどうぞ」
ならとりあえずこれだろ、とワクワクしながら聞いてみる。
「じゃあまず魔法やスキル、ステータスはありますか?それとエルダス神国は安全な場所、つまり僕みたいなのが入っても大丈夫な所ですか?」
「ええ、魔法や武術、スキルにステータスなど、あなた方が読んでいる書物に書いてあるような事は一通り存在します。それとエルダス神国ですが、宗教国家ではありますが宗教の自由を認めて貰っています。ただ教会の上層部や一部の信者は納得していない者もいるでしょう。なので、上層部や信者の前で信者ではない事を無闇に言ったりしなければおそらく安全かと思います。」
ふむふむ…なるほど
やっぱり信仰宗教の違いによる差別はあるみたいだな、気をつけよっと
「そうですか。では最後に、スキルを貰えたりはしないですか?」
「そうですね、大丈夫です。ではどんなスキルが良いですか?」
よし!じゃあ貰うスキルはよく考えないとな。
そう思いながら顔がニヤつくのを堪える。
「では…あ、もうちょっと質問してもいいですか?」
「はい、良いですよ」
「ステータスがあるならレベルもあると思うんですけど上限はありますか?」
「はい、レベルの上限は999となっています。」
へぇ、99じゃないんだな
「では、スキルや魔法の取得上限はありますか?」
「それは、ありません。努力すれば好きなだけ取得することができます。」
ふむふむ…
「そうですか。では貰えるのは1つだけですか?」
「そうなりますね。申し訳ありませんが」
まぁ、そうだよなぁ
「いえいえ、大丈夫です。予想はしていたので。…少し考える時間をください」
「ええ、構いませんよ」
スキル、どうしよっかなぁ〜…