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【コミカライズ】記憶を失くした悪役令嬢

作者:

ブクマ&評価ありがとうございます!

コミカライズされました!


2020.09.19 日間 異世界転生/転移 12位!

2020.09.20 日間 異世界転生/転移 5位!

2020.09.21 日間 異世界転生/転移 4位!

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2022.12.03日間 異世界転生/転移 13位!


「ヘルムート公爵令嬢!お前はアズラエル殿下に相応しくない!!婚約を破棄しろ!」


学園の中庭で突如始まった断罪に、その場にいた生徒達の動きが止まり、当事者に注目が集まる。


断罪を始めたのは編入生に籠絡され取り巻きとなった侯爵家の嫡男であり、他にも伯爵家や子爵家の令息が少女を護るように取り囲み、ヘルムート公爵令嬢に対峙している。


その姿はさながら、ヒロインを護る騎士(ナイト)のようでもある。

当人達はか弱い女性を護る騎士(ナイト)にでもなったつもりなのだろう。


偶然にも中庭の回廊を歩いていたアズラエルは突然に自分の名が出されたことに驚き、その言葉と光景を目にして唖然としている。


脳が理解を拒否しているのか、その光景を呆然と眺めてしまった。



(はっ?!え?何で今日?情報では明日、実行される筈だったが……)



前もって得ていた情報では、彼らがしている断罪は明日、行われる筈だったが。気分が高揚したのか本日、実行に移されていた。



中庭では断罪された令嬢が反応を示さないことで苛ついた令息の一人に『何とか言ってみろよ!』と怒鳴られ肩を押されてバランスを崩した。



(まてまてまて!!!)



アズラエルは慌てて中庭へ走り出す。


この一ヶ月、入念に準備したのに決行日が一日前倒しになり焦ったが、今日、実行しても問題ないと判断し、断罪現場で取り押さえることに決めた。






始まりは数ヶ月前、断罪を決めたのは一ヶ月前の出来事からーーーーーー

.

.

.

.

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一ヶ月ほど前ーーーーーー



「ごめんなさい。何も、何も覚えていないのです。貴方様のお名前も私にしてくださったことも」




アンナ・ヘルムート公爵令嬢は儚げな表情で、見舞いに来ていた婚約者である第二王子のアズラエル・ヴァスティアーノに告げる。


その表情は儚げで、今すぐにでも抱きしめたいと思わせるほど美しい。

蜂蜜色の長く美しい髪に空色の瞳は亡くなった彼女の母親譲りだ。


アンナはヘルムート公爵家の一人娘で婚約者であるアズラエルと共に学園へ通っている。


入学当初は共に登校し、定期的に昼の時間を一緒に過ごしていた。その関係性が崩れ始めたのは三ヶ月前、一人の少女が編入してきてからだ。


編入した少女はモノクロ男爵の養女で愛人の連れ子だ。モノクロ男爵は半年前に奥方を病気で亡くし、喪が開ける前に愛人だった娼婦を妻として迎え入れた。


貴族の通う学園へ入学した少女、ファミナ・モノクロ男爵令嬢はピンクブロンドに空色の瞳で母親譲りの豊満な身体と仕草は庇護欲を唆る。


数人の男達が彼女の取り巻きをし、誰が寵愛を得るか牽制し合っていた。


当初、貴族令嬢とは違う振る舞いは嫌悪されていたが籠絡された男子生徒は甘い言葉と彼女の魅力に骨抜きになり、忠告する婚約者と仲違いし解消に至った者もいる。


一つ上のアズラエルは、アンナの学年に編入生がいることを知っており、生徒会長であるが故にファミナの言動については報告を受けていた。


特に女子生徒や籠絡されていない男子生徒からは学園の風紀が乱れる、と、苦言が多数寄せられている。



そんなこともあり、アズラエルは何度かファミナを生徒会室へ呼び出して注意や指導をしていた。

もちろん、二人きりにはならず生徒会役員の女子生徒も同席して、だ。


にも関わらず、ファミナの取り巻き達は『ファミナがアズラエル殿下の寵愛を受けている。殿下が相手では自分たちに勝ち目はない』と事実無根の事を言い出し、瞬く間に噂が学園中に広まってしまった。


噂の出所に辿り着き、何故、そのように言い出したのか確認し、本人であるファミナに厳重注意をする予定をしていた所、アンナが学園の階段で足を踏み外して落下し強打する事故が起こった。


直ぐに当時の状況を調査し、目撃情報を集め、他の件についても動き始めている。



「そ、うか。身体の痛みは和らいだだろうか」



階段から足を踏み外して落下した際に身体を強打している。記憶喪失以外に怪我をしていないかアズラエルは心配だった。


アンナが階段から落ちた際、一階下の階段付近にいたアズラエルと友人は、間違いなく悲鳴を聞いた。そして、その場から駆け去る足音も。

悲鳴が聞こえた方へと急いで向かい階段の踊り場にアンナが倒れていたのを保護した。

その際、微かに『ち、がう……』と苦しそうに呟いたのを耳にした。



「はい、身体の痛みは感じません。ご心配をお掛けして申し訳ございません」



今のアンナにとっては見ず知らずの他人になるアズラエルに対しては無意識に王子妃教育で身に付けた淑女の仮面を被ってしまう。



あの愛らしい笑顔を、もう自分には向けてくれないのだろうかと寂しい想いが込み上がる。



「出逢い直せるだろうか。いや、出逢いから始めよう。俺はアズラエル・ヴァスティアーノだ。ヴァスティアーノ王国の第二王子で五年前にアンナと婚約した」




アンナの側に移動し跪いて手の甲に口付ける。



アズラエルにとってファミナとの間にヤマシイ事は何もない。これからもアンナと共に歩む未来を望んでいるから、出逢いから始めて、もう一度関係を構築したいと考えている。



「あ、の……私はアンナ・ヘルムートです。これ以上のことは何も……」


「それでいい。もう一度、思い出を積み重ねよう」


ソファーに座るアンナに微笑むと、頬を朱に染め恥ずかしそうにしている。が、直ぐに表情が曇る。


「貴方様が王子殿下なのでしたら、婚約は破棄された方がよろしいかと」


「何故?」


責任感の強いアンナのことだから、そう言うだろうと予想していた事ではあったが、心が痛む。

『婚約破棄』の言葉が心にチクリと刺さり胸が締め付けられる。


「記憶を失くしています」


「日常生活は問題ないのだろう?人に対する記憶だけ失ったと聞いている」


日常生活に必要な知識や領地に地方、国に対する知識は失っていない。王子妃教育で身につけたマナーや作法、コミュニケーションの基本能力は失われていない。


身体が覚えていることも同じように記憶として残っている。


「王族であるアズラエル殿下の婚約者としてご迷惑をお掛けすることになります。顔と名前がわからないのですから」


「覚え直せばいい。それが無理なら覚えなくていい。婚姻後、暫くは王宮に住むことになる。茶会を開く必要はないし、必要最低限のことから覚えるといい」


「ご迷惑を……」


俯いていたアンナは上目遣いでアズラエルを見つめる。その仕草が愛おしくて、思わずアズラエルはアンナを抱きしめた。


「迷惑なもんか。護れなくてすまなかった。あの時、近い場所にいたのにアンのことに気付いていなかった。言い争っていたなら耳を澄ませば聞こえていたかもしれないのに!」


ギュッと抱きしめられるとアズラエルの体温が伝わる。アンナは、その温もりが懐かしくて逃げ出すことはしなかった。



(私は間違いなく、この温もりを知っているわ。それにこの香り、とても安心できる)



心地良い温もりに包まれたことで、アンナはアズラエルの胸に身体を預け抱きしめられた時に強張った身体から力が抜けた。


アズラエルはアンナの身体から力が抜けたことを感じ、頭を撫で優しく抱きしめ続ける。


数分ほど、アズラエルはアンナを抱きしめていた。



「俺のことはアルと呼んで欲しい」



アンナが記憶を失う前は互いに『アン』『アル』と二人だけの愛称で呼び合っていた。

アンナにとって初対面となるのに、愛称呼びをしてくれるだろうかと不安になるが直ぐに打ち消される。


「アル、さま」


胸元に埋めていた顔を上げている姿は男としては堪らない光景だ。口付けたくなる衝動をなんとか抑え込みギュウッと抱き締める。


「さま、もいらない。二人の時は『アル』と呼んでいた。そう呼んで欲しい」


「…………」


王族を相手に呼び捨てなど家族でなければ不敬に当たる。以前、アンナに頼み込んで、やっとの思いで二人きりの時だけ敬称をつけずに呼んでくれるようになった。


その時と同じように、呼び捨てていいものか、と、悩んでいるのだろう。


「ア……アル」


「アン、ありがとう。もう、婚約破棄なんて言うな。アンが嫌な思いをせずに学園へ戻って来られるようにするから、だから、それまでは俺が邸へ通う。単位のことも心配しなくていい。別に試験を受けられるようにする」


「このまま、アルを信じていいのでしょうか。私、何か言われたように思うの。女の方に。でも、思い出せなくて……それが、もしかしたらアルのことかもしれないわ」


「無理に思い出す必要はない」



それから暫く、アズラエルはヘルムート公爵邸へと足を運びアンナとの逢瀬を楽しんだ。

同じ時間を過ごすことでアンナも以前のように自然な笑顔を見せてくれるようになった。


相変わらず記憶は戻らないが、それでも二人は思い出を積み重ねていった。


.

.

.

.

.

.


アズラエルは回廊から中庭へと全力で走ったが、令息に肩を押されたアンナはバランスを取れずに後ろへと倒れた。


その倒れた姿を見てファミナの取り巻き達は嘲笑っている。

ファミナが声をかけ手を差し伸べてもいいものの、怯えた様子で侯爵令息の腕にしがみついている。


だが、アズラエルは見逃していない。

アンナが倒れた瞬間に、ニヤリと笑った醜い顔を。


「アンナッ!!」


倒れたアンナを抱き起こすが、ギュッと瞼を閉じ身体を強張らせていた。


中庭では断罪する側に回ると思われていたアズラエルがアンナを助けた事で令息達や野次馬の生徒達が驚きを隠せないでいる。

ファミナ自身も、アズラエルの行動に驚いている様子だ。


「お前たち、自分が何をしているのか分かっているのか!」


キッと睨みつけたアズラエルの威圧に負けそうになりながらも侯爵家の嫡男が口を開く。


「アズラエル殿下、その女は殿下の婚約者に相応しくありません!!婚約を破棄するべきだと、その女に言い聞かせていたのです」


自分は間違っていないのだと、自信があるようだ。仮にも第二王子の婚約者である公爵家の令嬢を『その女』呼ばわりしても不敬にならないと思っているくらいには。


「ほぅ。相応しくない理由は何だ?」


「その女はファミナが殿下からの寵愛を受けていることに嫉妬して虐めをしています!愛されていないことを認めて婚約破棄を申し出るべきです!?」



アズラエルは目眩がし顳顬を抑える。何がどうしてそうなっているのか、目の前の男の思考回路が理解できない。


アズラエルが話を聞いていることを良いことに、他の令息も許可なく話し始める。


「ファミナに陰湿な嫌がらせをしています。編入当初から平民上がりと差別をし茶会に招待しないことも。ファミナの私物を壊したり、仕舞いには、三日前に階段から突き落としたんです!」


「わ……私、とても怖かった……」


そう言って涙を見せるファミナは、さながら舞台女優だ。


「証拠はあるのか?」


「ファミナが、そう証言しています!」


「他には?」


呆れてしまうが被害者の証言だけで罪を確定させることは出来ない。


「アンナ様は私がアズラエル様から寵愛を受けているから憎い、と。平民上がりの娼婦とまで言われてしまい……教科書を破られたりお茶会には招待していただけませんし……寵愛を受けている代償だと自分に言い聞かせていましたが、階段から突き落とすなんて……まさか殺されそうになるなんて思ってもいなくて……」


侯爵令息の制服の袖を摘み、アズラエルから視線をズラして涙をポロリと流す迫真の演技。


クスンクスンと小動物が怖がっているように見える様は、取り巻き達の庇護欲を唆るようで、令息達はアンナの誹謗中傷を言い始める。


「お前に名を許した覚えはない。それにモノクロ男爵令嬢を寵愛した覚えはない。何を勘違いしているんだ?寵愛していない女のことでアンナが嫉妬する訳もないだろうが」


その言葉に取り巻きの令息は目を丸くしている。自分達が信じていたファミナの話では殿下からは過ぎる程の寵愛を受けており未来の王子妃として望まれていること、アンナが悪者、悪役令嬢でアズラエルからの寵愛を失い嫉妬していると。


だって愛するファミナが、そう、話していたから。


『アズラエル様に優しくされていて、王族からの話だと断り辛い。それでも、皆んなとは仲良しでいたいから今まで通り接して欲しい』


『寵愛を受けていることがヘルムート公爵令嬢に知られて困っている』


『アズラエル様も後ろ盾になる公爵家には強く出られずアンナ様の態度に程々困っているようで、私達で助けて差し上げたい』


だから、権力を振りかざして我が物顔の悪役となる公爵令嬢に自分の立場をわからせようとした。


殿下の寵愛を受けている、自分達が愛しているファミナの言うことだから間違いないと信じて起こした行動だ。


ヘルムート公爵家としてアンナが対抗しても罪が暴かれれば、アズラエル殿下なら処罰してくれると考えていたのに、自分達と一緒に断罪する側になる筈のアズラエルがアンナを心配している。


そのことが令息達を不安にさせる。


「三日前と言ったな。何時頃に突き落とされたんだ?」


「放課後です!放課後に階段の上で話しかけられて……それで……」


ファミナは必死に怖かったとアズラエルへ訴えかける。


「ほぅ、間違いないな?」


「間違いありませんッ!!」


「なら犯人はアンナではない。その日、私たちは専用サロンで二人でいた」


「二人でいたなんて証拠になりません!私はアンナ様に突き落とされました!」


「王族である私が第二王子として証言している。お前の嘘の証言は問題なく、王族である私の証言は証拠にならないと?」


「そ、ういう訳、では……」


うっ……と、ファミナは押し黙る。

『王族の証言が虚偽である』と申し出て間違いであればタダでは済まされない。


「嫌がらせをしていたのはモノクロ男爵令嬢の方だろう?全ての証拠は揃っている。アンナを階段から突き落として殺害しようとしたこともなっ!!!衛兵、この女を捕らえろ!!」


「きゃぁああああ!!なんでよ?どうして?!ヒロインは私じゃない!なんでよっ!!イベントだってこなしたのに!あの女が!あの女がちゃんと悪役令嬢をしないから!!」


衛兵に取り押さえられたファミナは意味の解らないことを叫んでいる。

その声が頭に響くのか、アズラエルの腕に抱かれてあるアンナが身動ぎ瞼を開ける。


「あ、る?」


「アンナ!大丈夫か?痛いところはないか?」


アンナは目をパチクリさせ自分の掌を眺めている。


「わ、たし……。わたし!アズラエル様っ!!階段から突き落とされて……!」


「記憶が戻ったのか?」


記憶を失っていたアンナは自分が階段から落ちたことを覚えていなかったし、人に聞かされても言葉にすることはなかった。


それに、アズラエルを見る瞳が記憶を失う前のものと同じであることから元に戻ったと判った。


「ちょっとぉッ!!そこの悪役令嬢!お前のせいよ!お前が悪役をしないから私が酷い目にあっているじゃない!!なんでよ!アズラエルだって、本当は私のことが好きなんでしょ!私がいなきゃ何も出来ないじゃない!!」


「不敬だ、連れて行け。二度と私の視界にはいれるな」


ぎゃぁぎゃぁと騒ぐファミナは連行されて行った。残された令息達は唖然としてある。


「さて、残ったお前達だが、妄想を信じ虚言の真意を確かめずに信じたこと、第二王子の婚約者である公爵令嬢への無礼と暴行については後で沙汰を出す。それまで自宅で謹慎していろ」


アズラエルはアンナを抱き抱え馬車へと向かい王宮へと連れ帰った。


その後、王宮の侍医に診療させ、安静にした方が良いと言わせて自室の隣に部屋を用意させてアンナの看病に励んだ。


それはもう、甲斐甲斐しく世話を焼き、兄である王太子が呆れるほどだった。



ファミナは妄言や公爵令嬢の殺害未遂、第二王子の寵愛を受けていると虚言を吐き取り入ろうとしたこと、高位貴族の令息を騙したことから国家転覆罪とされ即刻、処刑された。


養女に迎えたモノクロ男爵は娘が第二王子の寵愛を受けている話を間に受けて高価な品を買い漁り、娘が王子妃になったら王家から支払わせると詐欺を働いた罪と王族を陥れた罪で爵位没収の上、借金返済のために奴隷として売られていった。

元娼婦の母親も借金返済のために性奴隷として売られた。


各々の家は公爵令嬢への暴言と暴行による名誉毀損と精神的苦痛による慰謝料を支払い、アンナを暴行した伯爵令息は廃嫡され平民に落ちた。これでも刑としては軽い方だ。

他の令息も同様に家から追い出され平民となった。

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「アン、身体の調子はどうだい?」


「もう!私は大丈夫です!二週間も経ちましたのよ?そろそろ邸へ戻っても平気です!」


「ダメだ。また馬鹿な女に殺されかけたら堪ったもんじゃない。王宮なら安全だからここに住むといい」


アズラエルは『それに』と言葉を付け加える。


「俺が馬鹿女に籠絡されたと思い学園では避けていたのだろう?俺もアンに危害が加えられたら困るから必要最低限しか接触しないようにしていたがコノザマだ。過ごせなかった期間の分、一緒に過ごしたい」


「うっ……すぐにご相談せず申し訳ない限りです。でも、事実として認められるのが怖くて……」


瞳が大きく、やや吊り上っているアンナが俯き悲しげな表情をするとギャップが大きい。

そこを堪えるのがアズラエルには負担だ。が、結婚するまで我慢だと自分に言い聞かせている。


「学園でする授業を王宮で受けよう」


「学園へ通います!ですから邸へ帰してください」


「俺が卒業したら一年はアンが一人で学園へ通うことになる。心配だから俺は留年するよ」


「やめてください!王太子殿下に怒られますよ!!お仕事があるのですから、留年はしないでください。それに、私もお友達がいますから安心して欲しいです」


「他の男がアンをやらしい目で見ると思うと居た堪れない」


ここから、さらに一週間の説得の後、アンナは公爵家へ帰宅し学園へも通えるようになった。


あの事件以降、学園ではアンナに対するアズラエルの溺愛っぷりが噂となり、過保護っぷりが加速した。


二人の仲睦まじい姿はアズラエルが卒業するまで続き、卒業後はもう見られないのか、と、在校生は寂しさを覚えた。



が、アンナを心配したアズラエルは特別講師として学園へ戻ってきた。

明後日な方向へと権力を行使して一年限定で教師となり生徒達は呆れている。



「アル様の仕事は教師ではなく王太子殿下の補佐でしょうが!!何やってるのよ!」


「おっ、アンはだんだんと威勢がよくなってきたな。そんな可愛い顔で怒るなんて反則だよ」



学園内に残るバカップルに周囲が呆れていることに気づかない二人である。

お読みいただき、ありがとうございます!


作者マイページより連載と他の短編もご覧いただければと思います。

4連休中の暇つぶしになれば幸いです。


▼連載

「男装令嬢は王太子から逃げられない〜男装したことで婚約者である王太子の想いを知りました〜」

https://ncode.syosetu.com/n4328gm/


「狂う程の愛を知りたい〜王太子は愛を乞う〜」

https://ncode.syosetu.com/n4767gl/


▼中編

乙女ゲーム通り婚約破棄の舞台には立ちません!〜悪役令嬢は逃亡して幸せを掴む〜

https://ncode.syosetu.com/n6977ht/


▼短編

「ごめんよヒロイン!メインヒーローは渡せない!〜気づいたら溺愛されていました」

https://ncode.syosetu.com/n7038gk/


「婚約破棄された令嬢は幼い恋心に気づく」

https://ncode.syosetu.com/n4002gk/


「悪役令嬢はゲーム開始前に王太子に攻略された」

https://ncode.syosetu.com/n8714gg/



お読みいただき、ありがとうございますm(_ _)m

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― 新着の感想 ―
とても素敵でした。アンナ溺愛が良かったです
[気になる点] 間に受ける→真に受ける ですかね。 [一言] アンナとアズラエルが最初から最後まで仲良くて良かったです。
[良い点] アンナとアズラエルの仲の良さ、それを上手く文章で描けている点。 抱きしめシーンで記憶は忘れても香りや温度で安堵を得る様がとっても良かった。 [気になる点] 2点ほど。 令息に突き飛ばされた…
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