表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ウシロダくん  作者: つるのひと
2/3

起①


 ぱた。

 ぱたぱた。


 廊下に上履きの音がこだまする。

 みんな帰って、校舎には誰もいない。


 ぱた。

 ぱたぱた。


 逢魔ヶ時もとっくに過ぎた。

 夜の帳が、私とあの子の間に降りる。


 ぱたぱた。

 ぱたぱた。


 輪郭が闇に溶けそうになる。

 何もかも、ぼやけて曖昧だ。



 ぱたぱた。

 ぱたぱたぱた。



 足音が増えた気がした。

 それは、あの子のものじゃなくて、

 あの子にちかづこうとする、私の、




「その『境界』を、越えてはいけないよ」




 足音が止まった。

 違う。

 ()()()()()()()()()


 立ち止まったあの子の声が、

 ぴんと張った糸のような声が、

 ()()()()()()()()()のだと、気づいたから。


 まるで反響定位のように、

 曖昧模糊とした闇が払われ、

 私とあの子を形を露わにする。




 あの子は廊下の真ん中で、

 私に背を向けて、立っている。


 すらりとした長身。

 うなじが見えるショートカット。

 スカートをはいていなければ、

 ここが女子中学校でなかったら、

 あの子を男の子だと思っただろう。




 そうして、私は、もうひとつ気がつく。




 ()()()()()()()()()()()()()()






 では。

 あの子は、誰?

 貴女は、誰?


 

 まるで私の疑問が聞こえたかのように、


 彼女は、振り向いた。




 夜の6時50分。

 2階の渡り廊下、その真ん中で。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ