階級と屋上
周りからひそひそと声が聞こえる。
気にしても仕方ないとは分かっているが、それでも周りの言っていることが気になってしまう。
盗み聞きで聞いてみると、大半が僕らの噂話だ。
今日から、授業が始まるということで、本当ならかなり早めに学校に行くつもりが、今朝にユミルが皿洗いを終わるのを待っていたせいで遅刻ギリギリになってしまった。
学生寮で、学校からは徒歩で大して時間がかからないはずなのに、遅れそうになったのだ。
もちろん、入学式でのこともあって、一緒に登校した僕らを見て、みんなが、口々に噂を伝染させ始めた。
聞くところによると「遅刻ギリギリになるまで何やってなのだろう」とか「なんだか、ユミルからいい匂いがする、きっとやった後にシャワーを浴びたんだ。」とか「ちくしょう、ソラは俺のものだぞ」とか・・・ん!?最後のやつ誰だ
僕が、貞操の危機を案じていると、ユミルが話しかけてくる
「ねぇソラ、みんなが何か言ってるね。」
どうやら、ユミルも気になっているようだ。
心配そうに僕を見てくると、大丈夫?とでも言いたそうな目を向けてくる
「まぁ、うん。気になりはするけど、大丈夫だよ。人の噂は75日っていうし」
「なにそれ?」
「ことわざだよ。」
「ふーん、そっか。75日か…意外と長いね」
困ったようなしかしどこか嬉しそうにはにかむユミル
僕はそんなユミルから視線をそらして、黒板を見る
そこには、先ほどの授業の内容が書かれている
入学式後の最初の説明会でも言われていたことだが、生徒には階級がある。
より上の階級ほど、学園への影響力があるようで、今度の身体測定で、その階級を決めるらしい。
とりあえず、まだ明確な階級がない僕らは、一番下の階級である、ロックになる。
階級は、【ロック】【コール】【アイアン】【ゴールド】【ダイヤモンド】【エメラルド】の6階級ある。
ロックから順に階級が高くなり、エメラルドが一番大きな階級になる。
この階級がどう影響するかというと、例えば学食が安くなったり、自習のために図書室の個別室の予約が入りやすくなったりとまぁ、いろんな特典がある。
ちなみにエメラルドの階級にいる者の待遇はすごいらしい。
この階級が高ければ高いほど、就職活動となった時に、自分の希望する職に就きやすくなる。
そのため、みんながみんな上の階級を目指すのだ。
しかし、この階級にはそれぞれ、人数制限がある。
階級は学園の全生徒で統計されるのではなく、学年別に統計されるのだ。
ロック・40%、コール・30%、アイアン・10%、ゴールド・8%、ダイヤモンド・7%、エメラルド・5%っという、配分になっている。
この階級は、三つの要素から決められるようで、1・魔力、2・知力、3・態度である。
4時限目が終わって、僕とユミルは学食に向かう。
地球の食べ物に慣れていた僕としては、最初に学食に行くときに心配ではあったが、メニューは意外と地球の食べ物も多くあり、僕でも安心して学食を利用できる。
そういえば、ユミルの作ってくれるものも、地球の食べ物が多かったな。
僕は、無難にカレーライスを選んで席に着く、するとユミルが当然のように同じものを頼んで、僕の隣に座る。
「……、向かい合って食べようか」
「あっ、ごめんね」
僕がそう言うと、ユミルは一度謝ってから、向かい合うように座りなおす。
しかし、同じものを頼むとは、いや別にいいんだけどな。
そう言った軽薄な行動で周りの目がより、辛辣というか……なんというか、すごく痛い物に
実際に一緒の席で一緒の物を食べようとしてる僕らを見る生徒たちがちらほらといる。
ユミルは気づいていないのか、嬉しそうにカレーを食べ始める。
「うん、これうまい」
「まぁ、カレーはうまいよな。」
僕も一口カレーを食べる。
ここのカレーは具が多く、入ってる肉も分厚いのがいい
食べ応えがかなりあって、腹も満腹になる。
「うん、おいしいな」
「今度作ってみるね」
「う、うん。ありがとう、でもそういう発言は周りから誤解を生むから場所をわきまえてくれ」
「そうね、部屋に帰ってから考えましょ」
僕は、ユミルの発言に呆れながら、カレーを食べ進める。
変な噂が流れているのって、大半がこいつのせいだよな。
ついにユミルの事をこいつ扱いし始めた僕は、カレーを食べ終わってから屋上へと向かう。
外の空気を吸いたかったというのが、理由だ。
もちろんユミルも一緒についてくる。
先生からの許可ももらい、屋上へと行くと
「んあ?なんだ誰だ…って問題児じゃねーか」
「誰が、問題児だって。」
「お前らだよ、入学式からイチャコラしてる、むかつくやつら」
屋上には、入学式に僕の隣の席に座っていた、あのウルフルズがいた。
どんどん、最新話を上げていくぜ
この作品もマホウタンくらいには見て欲しいので、作者頑張ります。
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また、明日!