革命 3
(レオン・レパード警部だと!? ・・・何故この人が麻薬王と親しげに・・・)
部隊ごと失踪した警察の対超能力者用特殊部隊 ”ヘル・ハウンド”。その隊長である目の前の男が、何故犯罪者と親しげに話しているのだろうか。
「ふふふっ・・・理解できない、そういった顔をしていらっしゃる・・・」
邪悪な笑みを浮かべながら、ゆっくりとレオンがケイゴの元へ歩み寄る。レオンの少したれた目がケイゴの小さな体を見下ろし、その薄い唇が歪にめくれ上がる。レオンは鍛え上げられた太い腕を大きく振り上げ、握り締めた拳をケイゴの顔面に思い切り打ち付けた。
わかりやすいほどのテレフォンパンチ。しかしそれ故に威力は半端ではなく、身動きの取れないケイゴは一瞬意識を手放しかけた。
ドウと地面に転げたケイゴを見下ろして、レオンは満足げな表情を浮かべる。ツカツカと歩み寄り、思い切りケイゴの腹を蹴り上げた。
「ハハハハハッ! どうしたヒーロー!? ほらほら、反撃して見ろよ!! この、ムカつくガキがよぉ!!」
興奮したようにギラギラと見開かれた瞳。上気した頬。レオンは動けないケイゴを執拗に蹴り続ける。
「見ろ! みんな大好きヒーロー様がこの様だ! ヒーローなんていらない・・・この俺こそが最強の能力者なんだからなぁああ!!!」
すでにケイゴの意識は無い。それでもなお、攻撃をし続けるレオンの右肩を、引き留めるようにセルジオが軽く叩いた。
「そろそろ止めときな新人くん。ゼロの指示を忘れたか? 面倒くせえが、ヒーロー共は生かしたまま連れて帰らなきゃならねえ」
「・・・そう・・・でしたねぇ。いや、失礼。私とした事が、少々興奮していたようでして」
意外にもレオンはわずかに冷静さを残していたようで、セルジオの制止を素直に受け入れた。しかしまだ蹴り足りなかったのか、未練がましくチラリと地面に倒れているケイゴを見るのだった。
「ッハ、まだヤリたりねえか。なら新人くんよぉ、ヒーローはもう一人残ってんだ、ソイツはテメェにくれてやるよ」
「・・・感謝しますよ先輩」
そしてレオンはくるりと踵を返して屋上を後にした。その後ろ姿を眺めながら、セルジオは機嫌が良さそうにクックと笑い声を上げる。
「全く、なんであんな野郎が警察なんてしてたのかねえ・・・このオレ様より狂ってやがるぜ」