革命
「ケイゴ! 出動だ、急げ!」
ヒーロー”ガンマスター”こと、ルーカスが事務所にいたケイゴに声をかける。エラく慌てた様子で装備を整えている彼を見て、ケイゴは気を引き締めながら疑問を口にした。
「了解いたしました・・・何が起こったんです?」
「麻薬王セルジオ・バレンタインの目撃情報だ・・・・・・逃げ足の速いあの野郎を今度こそオレらでとっちめるぞ!」
真剣な顔で頷くケイゴ。
麻薬王セルジオ・バレンタイン。
幾度も追い詰めながらも、その逃げ足の速さ故に逮捕することができなかった犯罪者。しかし彼の持つ影響力は凄まじく、放置していい相手では無いのだ。
「嬢ちゃんはアイドルの仕事、リーダーはまだ入院中だ・・・二人だけだが、いけるな?」
「もちろんですルーカスさん。ボクらだけで捕まえて、二人を驚かせてやりましょう」
二人は漢の笑みを浮かべると、無言で拳をぶつけ合ったのだった。
◇
「おいおいマジかよお前達! オレ様を名前を出しただけでこんなに人数集まるとか・・・さてはお前達、オレ様のファンだな?」
ゲラゲラと下品な笑い声を上げる大男。麻薬王セルジオ・バレンタイン。とあるホテルの一室で、優雅にソファーで寝そべっている彼の周囲は、無数の警察官で囲われており、さらに駆けつけたヒーローが二人・・・まさに絶体絶命の状況の筈だ。
しかしセルジオは余裕の笑みを浮かべながら、ソファーの上でワインのボトルをラッパのみする。
「麻薬王セルジオ・バレンタイン! 流石のお前もこの状況で逃げる術はない・・・大人しく投降するのが身のためだぞ?」
一歩前に出たルーカスがセルジオに声をかける。その手にはライフル銃が握られており、セルジオが少しでも妙な動きを見せたら発砲する構えを見せている。
「・・・・・・本気で言ってんのか? オレ様が何の根拠も無くこんな余裕ぶっこいてると思ってんの? それこそ爆笑だぜ」
パチンとセルジオが指を鳴らす。それを合図に部屋に突入してきた武装集団。応戦する警察官。狭い部屋の中は一瞬にして阿鼻叫喚に包まれた。
「・・・ッツ!? 奴はどこに行った!?」
戦乱の中、ルーカスはいつの間にかセルジオの姿が見えなくなっている事に気がつく。キョロキョロと周囲を見回すと、開いたドアの向こう側に、余裕の表情でウインクをしてきたセルジオの姿が・・・。
「逃がすかよ!!」