表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

88/103

不穏な噂 6

「ねえレパード警部、ボクの目を見てよ」


 青年はそう言ってグッとその顔を近づけてきた。男であるレオンすらハッとするような中性的な美貌、その藍色の双眸がジッとレオンを見つめる。


(どうする? 今能力を発動しても、目の前の男は拘束できるがセルジオがいるかぎりオレの勝ちは見えない・・・どうにかして外に居る部下達に合図を送れれば・・・)


 その時レオンはようやく自身の身に起きている異変に気がついた。


(体が動かない!? いや、それどころか言葉を発する事すらできないだと!? なんだこれは・・・まるで・・・・・・)


「動かないでしょ? 体」


 歪な笑みを浮かべた青年が嘲るように問いかける。しかし今のレオンはその問いに答えることすら出来なかった。


「相手を完全に無力化できる事ができるのが自分だけだとでも思った? ふふっ、残念だったねレパード警部。実は私も似たような事ができるんだよ」


 レオンはその言葉に愕然とする。嫌な予感が的中したのだ。目の前の青年は、レオンの”捕食者の眼光”と同様の、相手を無力化することのできる能力を持っている。


(そんな・・・馬鹿なことが・・・・・・オレは・・・オレは選ばれた人間の筈・・・なの・・・に・・・)


 自身の能力に絶対の自信を持っていたレオン。その、己こそが選ばれた人間だというアイデンティティが目の前の青年により崩されていく。そんなことあり得ないと否定したいが、全く体が動かないという現実がそれを許さなかった。


「ゼロ、あんまり遊びが過ぎると外の連中がやってくるぞ?」


 レオンの背後にいたセルジオが青年に呼びかける。


 ゼロと呼ばれた青年はセルジオの言葉に無言の微笑みで答えると、ソッとその右手でレオンの頬を包み込んだ。


「じゃあ遊びはここまでだ・・・・・・さて、レパード警部、ボクの目を見て」






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ