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不穏な噂

「みんな、今日はありがとう!!」


 エマが満面の笑みで手を振ると、観客がワッと沸き立った。少し名残惜しいような気持ちを引きずりながらも舞台から退場するエマ。マネージャーから差し出されたペットボトルの中身を一気に飲み干し、喉の渇きを潤す。


「お疲れ様、エマ。今日のステージもよかったわよ」


「ありがとう・・・私も上手くいってホッとしてるわ」


 そうは言うものの、エマの表情はどこか不満げだった。そんな彼女の顔を見て何かを察したようにマネージャー苦笑する。


「不満げね。警察の例の部隊・・・確かヘルハウンドだったけ? それが出来てからまともにヒーローの活動ができていないんでしょ?」


「・・・そうね、確かにその事に少し不満はあるわ。ヒーローが出動するまでもなく事件が処理されているっていう現状は喜ばしいことよ・・・頭ではそうわかっているんだけど・・・」


 エマとて理解している。


 圧倒的に手が足りていなかった能力者に対する処理が、現状はかなり改善されている。警察の新部隊に対する国民の支持も高い。


 これはとても喜ばしいことだ。そもそも圧倒的に数の少ないヒーローに頼らざるを得なかった今までが、国の態勢としては未熟だったのだ。


 良いことの・・・筈なのだが。


「・・・なんかムカつくのよね、あのヘルハウンドのリーダー」


 思い出す。


 上層からの指示を受けて現場に急行したエマとケイゴ。すると現場には当たり前のように警察達が居て、そしてその部隊のリーダーがニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべながらこちらに歩み寄ってくるのだ。


 「アナタ方はまた間に合わなかった」「もうこの街にヒーロー部隊は不要だ」と、少し垂れた瞳がこちらを見下していた。


「色々と大変ね、アナタは・・・そういえばそのヘルハウンドについての噂何だけど、聞いたことあるかしら?」


 マネージャーの言葉にエマは首をかしげた。


「噂? 何のこと?」


「本当かどうか分からないんだけど・・・そのヘルハウンド部隊のリーダーが拘束した犯罪者に対して必要以上に暴力を振るっている所を見たって目撃情報が多数あがっているみたいなの」


「必要以上の・・・暴行を?」


 本当ならばそれは許されざる事だ。


 そもそもあのいけ好かない男がリーダーに選ばれたのも、その有する能力が犯罪者を無傷で無力化することに長けたものだったからと聞いている。


「しかもね・・・そのリーダーの男、犯罪者のを蹴りながら嬉しそうに笑っていたんだって」






 

 

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