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新長官

 しんと静まりかえった講堂。壇上に上がるのはピシリと隙無く警察の制服を着こなした中年男。白髪交じりの黒髪を短く刈り上げ、折れ曲がった鷲鼻と鋭い目つきが印象的な男は神経質そうな挙動でぐるりと周囲を一瞥した。


 マイクの位置を調整してそっと口を開く。落ちついた低音がスピーカーから講堂内に響き渡った。


「・・・皆さんお疲れ様です。私が新長官に任命されましたダン・アームストロングです」


 男・・・ダンは神経質な挙動で自身のネクタイの位置を確認した後に再びスピーチを続ける。


「前長官であるデイヴィッド・バイゴッド氏は先日のおぞましいテロによりその命を落としました・・・彼だけではありません、あの事件によりその尊い命を犠牲にした警官の数は計り知れない。この事実はひとえに強力な能力者による犯罪の恐ろしさと・・・その驚異に対応できない警察のシステム的弱さを表しています」


 そしてダンの鋭い瞳がより一層鋭さを増していく。まるで何かに対して強い怒りを感じているかのように。



「皆さん、私は現状の警察のシステムに違和感を感じています。


激化する能力者による犯罪。



警察側の被害は甚大だ。



しかし我々警察は殺意を持って向かってくる犯罪者に対して殺さずに対応を迫られるばかりか能力の使用も許可されていない。



強力な能力者に対応するべく編成されたヒーロー部隊は軍部の所属であり警察との連携がとりづらい・・・。



皆さんはこの現状をどう考えていますか?


超能力の存在が出始めていた古き時代とは違う。今この世界にはそこら中に強力な能力者が跋扈している。


警察の手は追いついていない。




だから私は・・・・・・」





そこで一旦話しを止めたダンは反応を覗うように周囲を見回す。ダンの言葉に困惑するような表情を見せている警察官たちの姿を見てダンの眉間に深く刻まれたシワはよりその深さを増した。


「・・・・・・だから私はここに宣言します。


激化する能力者の犯罪に対処するため・・・先日の悲劇を繰り返さぬ為に。







警察内部に能力者による特殊部隊を編成することを!」




 ざわざわと周囲がざわめき出す。


 そう、これは長官に任命された時に始めに考えた事。


 激化する能力者による犯罪・・・その圧倒的な戦力に対処できないようなこの現状は間違っている。




 ヒーローなんていらない。





 国民に対する人気取りなんて知ったことでは無い。


 犯罪者には、すべて警察だけで対処して見せる。


 ダンの鋭い瞳には決意の炎が燃えているのであった。




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