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合流

「・・・・チビ助・・・なんでここに?」


 目の前に現れた祖父の家に行っている筈のケイゴにエマは驚いて目を見開いた。


 ケイゴはセルジオの血が付いた刃渡りの短い刀を宙で振って付着した血を払いながらエマに向き直って笑いかける。


「テレビでテロの事を知って急いで戻ってきたんだ・・・何にせよ間に合ってよかった」


 その屈託の無い笑顔に、エマは何故か自身の顔がカアッと熱くなるのを感じた。


「な、何よ! 別に手助けなんていらなかったんだから!」


「まあそう言うなよ・・・サポートはボクの役目なんだからさ」


 そして倒れたセルジオを鋭い目線で見据えるケイゴ。その立ち姿に隙は一切無く、祖父の家での修行が彼を大きく成長させた事を物語っていた。


「痛てぇ・・・痛てぇじゃねえか」


 背中を刀で斬られたセルジオは強烈な痛みに顔を歪めながらフラフラと立ち上がる。その瞳には強い怒りの色があった。


「汚えぞ小僧・・・不意打ちに凶器攻撃だと? それがヒーローのやることかよ・・・」


「そうだね。ボクの戦い方はヒーローとしては些か汚すぎる・・・だからいつまでたってもサポート役なのさ」


 そしてケイゴは刀を構えるとじりじりと間合いを詰めていく。その油断の無い姿に何かを感じ取ったのだろう。セルジオは短く舌打ちをすると自らの怪我の状況も鑑みてこの場は撤退することが最善だと悟った。


 どんなに激情しても引き際はきちんと心得ている。そのクレバーさが彼の強みであった。「・・・小僧、テメエはいつか絶対に殺してやる」


 捨て台詞を吐いてセルジオは能力を発動する。


 加速能力。


 視認すら難しいその速度が実力を最も発揮するのは今のような逃走時であるのだ。


 目の前から消えてしまったセルジオ。ケイゴはしばらく周囲を警戒して完全に気配が消えた事を確認すると背中に背負っていた鞘に刀をしまい込んだ。


「・・・とりあえずこの場はしのげたかな? 強力な能力者だ、万全の状態でまともに戦っていたら二対一でも勝てるかわからない・・・奇襲で手傷を負わせられてよかったよ」


 そしてケイゴはエマに向き直る。


「エマ、今の状況を教えてくれないかな?」


「・・・ええそうね。私もあまり詳しい訳じゃ無いんだけれど・・・」


 エマがケイゴに説明をしようとしたその時、部屋に設置されていた無線機の通信がつながった。



『こちらガンマスター。至急伝えたい事がある。オペレーター応答してくれ』



 それはヒーロー ”ガンマスター”ことルーカスからの通信だった。エマはすぐ無線機に飛びついて応答をする。


「よかった! ルーカスさん無事だったんですね!」




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