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ハンマー 2

(・・・能力を使って銃器を取り出してもいいが・・・空間から取り出すタイミングで例の能力を使われたら先ほどの二の舞だな・・・となればその能力が発動したら自動的に相手の頭部に衝撃を与えるモノなのか、それともアイツ自身が場所を調整して頭部に衝撃を与えているのか調べる必要がある)


 ルーカスは右太もものホルダーから投げナイフを一本取り出すとソレをハンマーに向かって投擲しながら右前方に転げた。


 もしハンマーの能力が自分で発動する場所をコントロールするタイプのモノならこの予想外の動きをしているルーカスに能力を当てる事は困難な筈。


 そして、衝撃はこなかった。


 投げナイフはどうやら避けられたようだが思わぬ反撃に隙が出来ている。ルーカスは一気に駆け寄ってハンマーの顔に全力の拳を叩き込んだ。


 ルーカスの攻撃が初めてクリーンヒットする。大きく態勢を崩したハンマー、この機を逃すまいとルーカスは追撃をしかける。


 能力を発動している暇は無い。少しでも反撃の隙を与えたら例の能力が彼の脳天に叩きつけられるだろう。


 今ルーカスが出来る事はハンマーに反撃の態勢を与えないほどの追撃を与え続けてそのまま相手を戦闘不能にまで追い込むことだけだった。


 両拳を胸の前で構え、態勢を崩しているハンマーに向かって鋭く踏み込みながら左拳、少し遅れて右拳をコンパクトに叩き込む。ボクシングで言うワンツーの動き、さらにグッと身を捻ってローキックで上下に打ち分けた攻撃。


 ルーカスは正式に訓練を積んだ軍人だ。腕っ節が強いだけの素人に近接戦闘で負けるはずも無く、圧倒的な攻勢でハンマーにたたみかける。


「クソッ・・・調子にノんなぁ!!」


 逆上したハンマーが攻撃を受けながらも能力を発動。


 しかしやはりこの戦闘の最中では調整が難しいのだろう。例の衝撃はルーカスの頭部では無く右肩を直撃する。


 激しい衝撃が右腕全体をしびれさせるがプロテクターのおかげで骨に異常は無いようだ。それに頭部を攻撃されていないのなら意識がハッキリしている分、痛みをアドレナリンで打ち消してそのまま攻撃を続けられる。


 ルーカス足の構えを切り替えて、動かない右腕の代わりに左拳でストレートパンチを思い切り撃ち込んだ。


 全身の力を込めたその一撃は能力を使用した直後の隙だらけなハンマーの顔面に直撃、その意識を速やかに刈り取った。


 だらりと白目をむいてその場に倒れ込むハンマーの姿を確認してルーカスは荒い息を吐き出しながら膝をつく。


 ギリギリの戦いだった。


 もしハンマーの能力が自動的に頭部を狙ってくるようなモノだったら地に転がっていたのはルーカスの方だっただろう・・・。


「・・・チッ、しばらく動けそうにねえな・・・」


 すぐに警察庁へ向かう筈だったのだが、どうにも戦闘のダメージが大きすぎてすぎには動けそうに無い。敵の攻撃を受けた頭部と右肩が激しく痛む。


 せめてこの事実だけでも伝えようとルーカスは無線を左手で取り出すと本部のメグに向けて回線を繋げた。


「こちらガンマスター。至急伝えたい事がある、オペレーター応答してくれ」


 しかし返ってきたのは意外な人物からの言葉であった。


『よかった! ルーカスさん無事だったんですね!』


 オペレーターのメグでは無い聞き覚えのある声にルーカスは困惑した。


「・・・この声、まさか嬢ちゃんか?」


 そう、本部に居るはずの無いエマが無線に応答したのだ。







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