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意外な救援

「いや、何とも嘆かわしい光景だ。我が愛すべきヒーロー同士が殺し合うなんて・・・何とも醜悪で見るに堪えない」


 ジョセフはやれやれと首を振ると、おもむろに右手を高く掲げて大きく指を鳴らした。次の瞬間、彼の周囲を灼熱の炎が出現する。


 彼を守るようにして出現したその炎は、突如影から出現したニンジャボーイを退けた。


「君の能力は把握しているよニンジャボーイ・・・あれだけ派手にやられたんだ、もう君の奇襲は受けない」


 次の瞬間、土煙の向こうから無数の銃弾がジョセフに襲いかかる。ハッと息を呑むエマ。しかしジョセフはフンと鼻を鳴らすと、再び指をパチンと鳴らす。すると彼の周囲を覆っていた炎が前方に収束し、一枚の盾となる。


 炎の盾に着弾した鉄の弾丸は、その高熱に触れて一瞬でどろりと融解した。


「いやだねえ、重火器なんて。鉄を溶かすレベルの炎を出すのは疲れるんだよ」


 そういうとジョセフは右手を前方に突き出す。盾となっていた炎が勢いよく前方に射出され、銃器を構えていたガンマスターを吹き飛ばす。


「ガンマスター!?」


 鉄を溶かす程の炎が直撃し、人間が絶えきれる筈が無い。


 エマの叫び声に、ジョセフは何のことは無いとばかりに返答した。


「大丈夫、私はヒーローが大好きでね。彼らを殺しはしないよ」


 はたしてその言葉のとおり、煙が晴れた後に見えたのは、少々焦げついてはいるものの、五体満足なガンマスターが気絶している姿だった。


 二人のヒーローと相対し、相手が死なぬように手加減までする余裕。圧倒的な戦闘能力。最強のテロリスト、ジョセフ・ボールドウィン。


「さてニンジャボーイ・・・あとは君だけだが、まだやるのかな? 一度君に負けた私としては本調子で無い君を叩きのめすのは不本意なのだが・・・」


 そう言いながらコキリと首を鳴らすジョセフ。一瞬迷った様子を見せたニンジャボーイだが、一人では勝ち目がないと考えたのか、俊敏な動きで懐から何かを取りだして地面に叩きつける。


 周囲に広がる煙、遮られる視界。ジョセフがすかさず火球で攻撃をしかけるも、すでにそこに二人の姿は無かった。


「・・・逃げられたか。まあ、あのニンジャボーイの能力相手に追跡は不可能かな?」


 ポツリと呟いたジョセフ。そしてゆっくりと怪物のマスクを外すと、振り返ってエマに微笑みかけた。


「色々と聞きたいこともあるだろうが・・・まずは負傷したミスターTを病院に運ぼうか」




  

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