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タルト
確かに石畳を踏んでいるはずなのに、足元はふわふわと頼りないような感覚がする。
(もしや)
しゃがんで手で触れてみたが、硬い凹凸の地面でしかなかった。
受け入れがたい状況に動揺している、単にそれを確認しただけとなった。
笹屋は溜息をつき、項垂れた。
「何をしている」
鶸が手を掴んで引き起こそうとする。
鶸の手は変わらず冷たい。
恐ろしい奇妙な一行が去った後、笹屋は震えを必死に抑えあれは何かと鶸に尋ねた。
「キボネだ。あんなのがここまで出張ってくるとはな」
そう言って何やら思案顔ののち振り返る。
「もしかしてあんた、迷い込んだくちではなくて、呼び込まれたか」
どう意味かと考えあぐね、ぼんやりと鶸を見上げた。
「だから誰かに呼ばれてここに来たか」
のろのろと立ち上がりながら笹屋は「友人に会いに来た」と答えた。
今になって気付いたが男と少年の浴衣の柄も帯の色も同じだ。
まさかと思って「あの少年は鶸さんですか」と口に出してみたところで馬鹿馬鹿しさに恥ずかしくなった。
一体どうしたら少年をこの男と間違えるのか。
「そうだが、あっちの姿がいいと言ってくれるなよ。歩くにはこっちでないと時間がかかって仕方がない」
揶揄われている方が未だ良かった。
笹屋は目を閉じた。
次に開いたら全て夢だったということを願ってやまなかった。




