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荒天1
リフォーム済
風が吹き荒れ、激しい葉擦れの音が部屋のなかに響いている。
窓から庭を見下ろしてみると、庭木の枝が今にも折れんばかりにしなり暴風に耐えている。
雨はまだ降っていないが、分厚く黒々とした雲が空を覆う。
藤は寝台から下りて部屋を出た。
兄は家にいるのだろうか。
裸足のまま歩く薄暗い廊下はひんやりと冷たかった。
気温も昨日より随分低いようだ。
階段を下りていると小さな物音が聞こえる。
カチ
コンロの火を止めた音で兄が台所にいると気付いた。
「兄さん」
コーヒーの香りが漂う。
兄の葉が振り返った。
「おはよう。そろそろ起こそうかと思っていたから、ちょうど良かった」
「外がうるさいから目が覚めた」
藤の前に熱いコーヒーが入ったマグカップを置くと、葉は台所を出ていこうとする。
「どこへ?」
「雨が降らないうちに雨戸を閉める。あとお前の部屋だけだから」
自分でやると立ち上げりかけた藤を制し、兄は出て行った。
階段を上る音が兄の存在を知らせ、耳を澄ませながら藤はマグカップに息を吹きかけた。




