都内連続殺人事件編
初めて投稿する作品なので、下手くそだと思いますが、読んで頂ければ幸いです。
ルビがないので、漢字の表現がおかしいと思う場所があると思うことがあると思いますが、ミスではありません。ルビがあったらこうなるだろうと、予測して読んでください。
よろしくお願いします。
序 章 お姉ちゃん
少年は、何度も首元を締め付ける蝶ネクタイを緩めるよう、ゴム紐と首の間に指を突っ込んでいた。
息苦しい蝶ネクタイに、身動きが取りにくい子供用のスーツ服を着せられた少年は、いつもと違い落ち着きがない。
おまけに、朝から沢山の大人達に囲まれ、いろいろな場所に連れ回された。
そして、今、ようやく宿泊するためのホテルへと着いたのだが、それにより、少年は更に落ち着きを失った。しかし、それでも少年が泣き出したり、暴れ出したりしないのは、少年を一日中抱き抱えている姉のお陰だと言えるだろう。
彼女は、少年が驚いたり怖がったりした途端に、少年の後頭部に手を回し、自分の体に顔を埋めさせ落ち着かせている。
年に似つかず、子供の扱いには慣れているらしい。
学校の制服に白いイアリング、そしてローハー、髪の毛は少年を抱き抱えるのに邪魔にならないようポニーテールにしている少女は、少年を抱き抱えながら、レットカーペットを歩く。
ドラマでしか見たことないような真っ赤な絨毯の廊下を歩いているのが、彼女も少し照れくさかったのか、彼女は時折、少年の顔を見て少年とコミニュケーションをとっていた。
だが、レットカーペットの廊下を抜け、エントランスホールに入ると、多くのシャッター音とフラッシュが焚かれる。
警備員達が、一応彼女と少年に近づき過ぎないように、報道陣を止めているのだが、彼女は自らカメラを持った大人達の方へと歩み寄り、取材を受けることにした。
気まぐれか、何かの理由があったのか、それは彼女にも分からない。多分、少し人と話がしたかったのだろう。今日は早朝にロサンゼルス市内の会見場で記者会見を行い、そのまま空港に向かい、アメリカから授賞式が行われるスウェーデンへ飛行機移動。スウェーデンに到着しらしたで、空港から、このホテルまで直行。しかも、移動は彼ら授賞者の護衛のため専用機だったので、SPと関係者以外に同乗者は誰もいないので、話をする人間がいなかった。
まあ、引っ込み思案で人見知りの少年は、顔を姉の胸に埋めてしまったが。
姉の少女は、カメラを持った大人達十数名を相手に、終始楽しそうに質問に受け答えしていた。
記者達は、少女が抱える弟の少年に関して触れずに質問をしていたのだが、少年が先程から一度も身動きを取らないことに気がついた記者の一人が、少女に
「霜月さんの腕の中で寝ているのが弟さんですか?」
と言われ、弟を寝かしつけるように抱き抱え直し、少年の顔を覗き込むと、少年の瞼は今にも閉じてしまいそうな程、重かった。それを見た彼女は、取材陣に断りを入れ、SPに少年を預けようとしたが、
「おねぇちゃん眠い〜」
と言って、少年にしがみつき、全く離れようとしない。ここで無理に離れさせると、少年が泣き出すことは、姉の彼女が一番よく知っていた。
彼女は取材陣に断りを入れ、取材を打ち切ると、少し急ぎ足で部屋へと行く。
廊下を曲がり、取材陣の死角に入った瞬間、彼女は赤子をあやすようにして、少年の背中を一定のリズムで優しく叩き始めた。
すると、少年の睡魔は深くなり、ますます眠たそうに目を擦る。
エレベーターに乗り込むと、彼女は少年に聞く。
「どうしたの、寝ないの?」
彼女が優しく少年に訪ねると、少年が答えを帰すより早く、エレベーターが目的の階に付く。
エレベーターを降りると、彼女はエレベーターに乗ったままのSPに。
「ここまでで結構よ」
と言うと、扉が自動的に閉まり切るまでの間、ずっとSPは恭しく頭を下げていた。
SPがいなくなり、張り詰めていたモノを解き放つようなため息をした彼女を見て、少年はゆっくりと先ほど乗ってきたエレベーターとは違うエレベーターを指差し言う。
「おねぇちゃん、なんか変な人が来るよ」
彼女は、そう言われ、階数表示板を見る。
今二人がいるのは、二十八階のロイヤルスートルームがある階のエレベーターホール。
エレベーターの階数表示は八階。
今すぐ部屋に入れば、関係ないのだが、少年の姉である彼女は、弟が言う変な人、と言葉に今部屋に入るのはかえって危険だと本能が判断したため、彼女はエレベーターの到着を待つことにした。
扉が開くと、そこには、銃火器で武装した男達が三人、銃を構えた状態で現れた。
三人の男は、二人を標的だと判断した瞬間、ミニガンとアサルトライフルを乱射した。
少年と姉は、何も分からないうちに、蜂の巣になる。
はずだった。
しかし、その現実は、少年の力によって捻じ曲げられた。
少年が、自身の力によって捻じ曲げたのは、弾丸に働く力の方向。弾丸が斜め方向に曲線を描くように、弾丸に働く力の方向を、捻じ曲げた。
結果、二人の手前一メートル地点で、全ての弾丸が、通常では有り得ない弾道、曲線を描き二人の後方の廊下に全て着弾した。男達は、弾倉の弾が尽きるまでのおよそ一分間、二人に向かってくる弾丸は全て曲線を描き、壁に着弾した。
弾かれた弾丸は全て、壁を穿っていた。
二人の後ろの壁は、二人に代わりに、蜂の巣になっていた。
なまりが酷く正確に聞き取れなかったので自信はないが、ロシア語のような言葉で三人の男達は何か会話すると、二人の足元を目掛けて手榴弾を投げると同時に自分達はエレベーターホールの裏側の廊下へと飛び込んだ。
姉は少年をギュッと抱きしめると、少年は右手を握り締める。
それとほぼ同時に、手榴弾が爆発する。
二人は木っ端微塵に吹き飛ぶ。
はずだったが、その現実は、再び少年の力によって捻じ曲げられた。
爆発の直前に、少年は、エレベーターホールと廊下を障壁で区切り、爆風を遮断することで身を守った。
万策尽きたのか、男達は、エレベーターホールに再び出てくると、何を考えたのか、ナイフを取り出し、二人に突っ込んで来た。
銃火器でなければ、彼女でも相手は出来るが、彼らの行動を見る限り、三人は元軍人。彼女は少年にそのまま任せることにした。
少年は、子供が遊ぶ時によくする、指鉄砲を三人に向けると、三回引き金を引くようなに手を動かす。
すると、男達は、ナイフを手から落とし、頭を抑え始め、次の瞬間、フロア全域に聞こえるような大声で絶叫し、発狂しすると、悶絶して泡を吹き気絶する。
三人が完全に無効化されたのを確認して、少女は、近くにあった警報装置のボタンを押す。
警報装置が作動すると、警備室と連絡が取れるタイプの警報装置だったため、警備員に事情を説明し、しばらくすると警備員とホテル従業員、ホテル警備の警察官が現れ、彼らを取り押さえる。
事情聴取をしたそうな警官達だったが、自分達の警備にも落ち度がある上、ノーベル賞授賞式を明日に控える幼い彼ら二人に午後十時事情聴取をするのもどうかと思ったのか、彼は。
「後日事情聴取をするかもしれませんので、その時はご協力ください」
と言い残し、男達を連行していく。
当然、SP達も一緒に二八階までやって来たので、彼女は追い返そうとしたが、流石にこのような事件があった後では、彼らの主張は正しさを増しているため、彼女も強く追い返すことができなかった。
仕方なく、彼女は、部屋には絶対に入らないことと、扉のすぐ近くには立たないことを条件に、SP達を部屋の前に立つことを認め、部屋の中へ弟を連れ、入っていく。
部屋に入り防犯ロックを掛けると、彼女は、弟が完全に寝てしまう前にお風呂に入れることにしたのだが、少年はお風呂に入っている間もずっと眠たそうで、今にも寝てしまいそうだった。
それを見た彼女は、待たせると寝てしまうと判断し、自分も一緒にお風呂を済ませることにした。
お風呂から出て、弟にパジャマを着せた後、自分もパジャマに着替えている間に、少年は、洗面所の床で横になり、寝てしまっていた。
「仕方ないわねぇ。よっこいしょっと」
彼女は少年を起こさないよう、そっと抱き抱え上げ、ベッドルームへ連れて行く。
「おねぇちゃん」
ベットに少年を寝かせ、布団を掛け、制服をハンガーに掛けておこうと考えたのだが、少年の寝言を聞いた彼女は、
(明日はどのみちドレスアップさせられるだろうからそのまま放置してもいいか)
と考え、少年に添い寝する形で、一緒に寝ようと考え、少年の横に入ると、少年は、彼女の温もりを感じたのか、腕枕を要求するかのように彼女の腕を引っ張る。
彼女はそれに答え、腕を出すと、あっという間頭を乗せてきた。
姉は既に眠りについてしまた弟の頭をそっと撫でる。
すると、少年は姉に近づいてきてギュッと抱きついてくる。
その行動を可愛いと思ってしまった姉は、可愛い弟の寝顔を写真に撮り、スマホの待ち受け画面に設定し、携帯をサイドテーブルに置くと。
「おねぇちゃん」
甘えるような声の寝言。それを聞いた瞬間、少女は弟へに対しと、てつもない罪悪感と自分への嫌悪感に襲われ、心が押しつぶされそうになる。
先ほどの襲撃は、おそらく彼女への妬み嫉みを持つ者か彼女を殺すためか、彼女の研究技術の全てをその身に宿す弟を殺すつもりか、あるいはその両方を実行したい人間が大金を払って雇った者達だと、少女は襲撃された瞬間に理解した。
そして、それは、おそらく事実だろう。
自分の考えた超理論を研究し、その成果を弟に与え、データを取り、論文を完成させ、学会に発表した結果、少女は半月ほど前、ノーベル財団からノーベル化学賞授賞が通達された。
その時はちょうど、学校が学年末考査だったため、それを言い訳に記者会見を開かなかったのだが、三日前、アメリカへ用事がるため、アメリカへ出国しようとしたところ、記者達に囲まれたため、やむなく、アメリカで記者会見を開くと約束し出国した。
本来は、授賞者が泊まるホテルはゆっくり時間を掛けて宿泊用のホテルを用意し、十分な警備体勢を取るのだが、授賞式の日を含め、直前直後の予定が既に入っていた上、変更も延期も出来ない予定だっため、最初は欠席する予定だったが、ノーベル財団側から可能ならば出て欲しいと言われ、急遽予定を無理に開け、渡欧したため、十分な準備もできずホテルを選んだため、ホテルがあっさりバレた上、警備も体勢も不十分だったため、先ほど襲撃されたのだと、彼女は分析してた。
後で知らされたことだが、彼女のその分析は、完璧だった。
「おねぇちゃん」
ずっと同じ寝言を繰り返し言う弟を見て彼女は、弟の頭をそっと撫でる。
すると、少年は、嬉しそうな微笑みを浮かべる。
可愛いな〜
そう思うのは、女の子なら仕方ないのかもしれないが、可愛いと思う感情が心を満たす。
そして、それを超える罪悪感と自分への嫌悪感が、満たした心を闇の沼へと引きずり込む。
彼女は、天才だ。
だから、こんな事を考えても答えはでない、無駄な事だと頭は理解しているが、考えなければ、心が落ち着かない。だから無駄だと知っているのに、彼女は考えてしまう。
何故、私はまだ五歳にならない弟に《細核結晶体》などという危険なモノを移植した?
何故、こうなることを予想できなかった?
何故、私はあの時、この子を危険に晒すことを予想できななかった?
何故、この子は私を恨まない?
何故、この子は私を嫌いにならない?
何故、この子は私を姉として見てくれる?
私は、この子の姉で良いのか?
私は、この子の姉を名乗る資格があるのか?
私は、本当にこの子と一緒にいて良いのか?
私は、今まで通り、この子と接して良いのか?
私は、この子をこれから今まで通り可愛がって上がられるのか?
私は、この子とこれまで通り遊んであげられるのか?
私は、私は、私は、
答えのない無限回廊に落ちてしまいそうになった彼女を救い出したのは、彼女が答えのない無限回廊に迷い込んだ原因でもある、少年・弟だった。
「おねぇちゃん〜、大好き」
少女の指をしっかりと握り締める弟によって、現実に戻ってこれた。
彼女は、弟の手をしっかり握った時、自然と涙が流れていた。
「どうしたの、おねぇちゃん。なんで、泣いてるの?」
姉に手を握られ目が覚めたのか少年は、自分の瞼を擦りながらそう聞いてきた。
「うんうん、なんでもないよ」
ふと、時計を見ると、時計は午前一時直前だった。
どうやら、無限回廊におよそ一時間近く陥ていたらしい。
彼女は涙を拭うと、気丈な声で少年に答えると少年は優しい声で言う。
「さっきの男の人達が怖かったの? 大丈夫だよ、お姉ちゃんは僕が守るから」
一五歳も年下の弟にそんなことを言われる自分が情けないと思うと同時に、彼女は再びとてつもない罪悪感と嫌悪感を抱き、泣きそうになるが、
「ありがとう。もう寝よっか、ね?」
そう言って、彼女は、涙を堪え、少年を抱きしめる。
少年が眠ったの確認した彼女は、そっとベットから出て、テーブルの上に運び込まれていた旅行鞄から、新品ノートを用意すると、ひたすら新しい研究のテーマを、まるで何かを忘れようとするかのように、書き始めた。
だが良いアイデアは出ず、なんとなく部屋のデジタル時計に目をやると、朝の五時四五分を表示していた。
そのまま、窓の外を見ると、まだ真っ暗だった。
だが、色々と考えている間に、彼女の心はなんだか、スッキリとしていた。
ソファーに座り、三時間程仮眠をしていると、ベットの方向で弟が動き出したの感じ取り、体を起こすと、ベットの上に座り込み瞼を擦る弟の姿があった。
「おねぇちゃん、おはよう〜」
無邪気に笑いながら、自分に抱きついてくる弟。
「おはよう、美樹! さ、着替えて、朝ごはん食べに行こ♪」
それを見て、彼女は一晩、頭の隅から離れなかった、答えのない無限回廊の答えとは言い難いが、ある事を心に決めた。
この子は、何があっても絶対に、私が守る。
だが、彼女はこの数ヶ月後、弟に自分の研究成果を与えたことを激しく後悔する事件が、弟と彼女の身に起きた。
あれから、十年。
第一章~第四章まで続ける予定です。書き終え次第、上げていきますので、投稿のタイミングは不定期になると思いますが、よろしくお願いします。