※この物語はフィクションなのでご都合主義な部分がございます。
でも、気にしないでください。
(速いっ!・・・だが)
迫り来るダイゴを前に、スミオはタイミングを計り始める。そして、
(猪と見間違えるぐらい動きが真っ直ぐ過ぎるぜ!!カウンターの餌食だ!!)
ここぞという瞬間を見極め、一気に右拳をダイゴの顔面向けて突き出した。その拳はダイゴの鼻を的確に捉える。
メキベキャッ、という何かが砕ける音が、ダイゴの鼻と『スミオの右拳』から聞こえた。
(拳が・・・鼻に負けた・・・!?)
スミオの表情が激痛と驚愕で歪む。それと同時に、ダイゴの体当たりがスミオの胴体にめり込んだ。
「ごっ・・・がっ・・・!?」
スミオはその衝撃で内臓系にダメージを負ったらしく、口から胃液の混ざった血を吐きながら、もの凄い勢いで地面を転がる。その回転は10m程続いた後止まった。
「ふじゅぅぅ・・・!ふじゅぅぅ・・・!」
鼻から鮮血を溢れさせながら、両膝に掌を付け、肩で息をするダイゴ。しかし、その双眼は地面に横たわるスミオを見据えたままであった。その体勢で、ダイゴは呟く。
「・・・なんが、アイヅぢぃばいでだげど、大丈夫が?」
鼻血のせいで何を言っているのか全く分からない。ちなみに翻訳すると「なんか、アイツ血ぃ吐いてたけど、大丈夫か?」である。
「ズズズッ・・・ペッ」
鼻を啜ることで鼻血を口に移動させて吐き出すダイゴ。とてもばっちい。
「・・・近づいてみるか」
しかし、そのお陰で何とか言葉が明瞭になったダイゴは、そう呟いてからスミオにゆっくりと近付き、その物言わぬ体を見下ろした。
「・・・息は・・・あるみてぇだな。良かった」
そう言って、ほっと一息吐くダイゴ。
「テメェの息は絶えるがな」
その時、スミオの目が突然開いたかと思うと、その左手がダイゴの右足を掴んだ。
刹那。
「ガボォッ!!!?」 ベキャッ
ダイゴの口から胃液の混ざった血を噴き出し、それと同時にダイゴの右拳が嫌な音を立てて砕けた。
「な・・・!?え・・・!!?」
状況が理解できないまま、ダイゴは地面に両膝を着く。
そんなダイゴとは反対にスミオは立ち上がると、口から血を垂らしながら笑った。
「よぉ。何が起こったか分かんねぇって面してんな」
その台詞を受け、ダイゴは口から血を流しながらスミオの顔を睨み付ける。
「・・・何・・・しやがった・・・」
「決まってんだろ?心象だよ心象。ま、効果は教えねぇけど」
スミオはそう言ってから、地面に置いてある自分のリュックサックの方へと歩く。しかし、その歩き方はどこかぎこちない。どうやら先程地面を転がった時に足も痛めていたようだ。
ダイゴは右足を引き摺りながら歩くスミオを目で追いながら、あることに気付く。
(・・・右拳と腹の激痛で分かんなかったけど、何か足首もズキズキと痛ぇな・・・。・・・丁度、あの野郎が引き摺ってる方と、同じ右足首がよ・・・。・・・・・・まさか!!!)
「・・・あ、ガハッ!待ちやがれ赤メッシュ・・・!ゴホッ!テメェの心象の効果、分かったぜ・・・!」
「ほー。是非聞きたいねぇ。テメェの推論をよぉ」
スミオはダイゴの方を一瞥もすることなく、自分のリュックサックに手を突っ込む。言葉とは裏腹に全く聞く気は無いようだ。
しかし、構わずダイゴは自分の推測を述べ始める。
「・・・テメェの、心象のこ、ゲホッ!!ご、効果は、『自分の負ってるあらゆるダメージを、そっくりそのまま相手に与える』だな・・・!!」
「おー。大体合ってる。案外やるなテメェ。確かに俺の心象『痛甚』は、俺の負ってるダメージを全部相手に負わせることが出来るっつー効果だ。ま、心象の効果を発揮する為には自分の細胞を相手の肉体に接触させなきゃなんねぇし、その上ダメージを相手に『負わせる』だけで『移す』事は出来ねぇから、こうして自分のダメージは残ったまんまなんだがよ」
スミオはダイゴの推測に対してそう答えた後、「って、ちょっと喋りすぎちまったな」と苦笑しながら、リュックサックから例の『変若水』を取り出し、それを飲み干した。
直後、指が全て変な方向に曲がっていたスミオの右手が元に戻り、同時に口からの血も止まる。どうやら内臓系のダメージも回復したようだ。
外傷も内傷も全快したスミオは、悠々と白槍の突き刺さっているところまで歩き、それを引き抜いてからダイゴに言った。
「・・・カウンターを体当たりの勢いで攻略されるっつーアクシデントも有ったが、終わってみりゃこっちは無傷、テメェは満身創痍だ。まあ終わり良ければ全て良しって言うし、結果的にこの戦いは俺の圧勝って感じだな」
「っ・・・!!」
最早言い返す気力も無く、ダイゴはただただ唇を噛むことしか出来ない。
そんなダイゴに対し、スミオは白い槍先を向けて言った。
「・・・じゃあなハゲ。精々苦しまねぇよう、一突きで殺ってやるよ」
スミオが槍を僅かに後ろに引き、突き出す。ダイゴは迫る槍先に、堪らず目を瞑った。
その時だった。
突如として横から青い光弾が飛来し、スミオの白槍を弾き飛ばしたのである。
スミオはその光弾が飛んできた方を睨め付けて怒鳴った。
「誰だァ!!!」
ダイゴもその方向に視線を移す。
「・・・コンビニから出た途端に近くで怒号が聞こえたもんだから慌てて来たけど・・・。間に合ったみたいだね。無事か、ダイゴ」
「み、ミール!!」
そこには、ハンドガンのような物を構えた茶髪の青年、ミールの姿があった。
あ、今日はもう少し投稿します。




